■福岡国際マラソン2024(1日、福岡県・平和台陸上競技場発着、42.195㎞)
東京世界陸上(25年9月)の男子マラソン代表選考会を兼ねている福岡国際マラソンが1日に行われ、吉田祐也(27、GMOインターネットグループ)が日本歴代3位の2時間5分16秒(速報値)で2度目の優勝を飾った。
9月のベルリンマラソンで池田耀平(26、Kao)が歴代2位の2時間5分12秒を出したばかりで、鈴木健吾(富士通)が日本記録(2時間4分56秒)更新の可能性もみえた快走をみせた吉田が、大迫傑の2時間5分29秒を上回り、見事歴代3位の好タイムでフィニッシュ。
世界陸上参加標準記録(2時間6分30秒)、自己ベスト(2時間6分37秒)を大幅に上回り、代表有力候補に名乗りを上げた。
2022年世界陸上オレゴン代表の西山雄介(30、トヨタ自動車)、西山和弥(26、トヨタ自動車)、2023年世界陸上ブダペスト代表の其田健也(31、JR東日本)と多くの日本代表経験者が出場した福岡国際マラソン、天候は晴れ、気温は14.6℃、湿度53%とやや日差しの強いコンディションとなった。
最初の5㎞は日本記録を上回る14分59秒で通過、先頭集団には西山雄介、西山和弥、其田など有力選手はしっかりと付いていった。7㎞付近でパリオリンピック™の中国代表、2023年杭州アジア大会の金メダリストの何傑(25)がハイスピードに付いていけずに遅れ始めた。10㎞でも日本記録を上回るペースとなった。
11㎞付近では気温も15℃を越えて来たが、給水ポイントで有力選手はしっかりと自分たちのスペシャルドリンクを取った。15㎞で日本新記録ペースから3秒遅れ、3度目の給水ポイントでは17人の先頭集団となり、混戦の中、西山和弥が給水に失敗したが土井大輔(28、黒崎播磨)がドリンクを渡し、助け合っていた。
21㎞、中間地点で一気にペースが上がり、西山雄介が先頭集団を引っ張る形となった。ここで集団が縦長となり、吉田祐也(27、GMOインターネットグループ)、古賀淳紫(28、安川電機)が付いていき、先頭集団は5人。西山和弥、其田は遅れ始めた。
27㎞付近で西山雄介が遅れ始め、約10mの差が付き、先頭は初マラソンとなったT.ゲタホン(26、イスラエル)と吉田の2人になった。青山学院大OBの吉田はレース前に青山学院大・原晋監督(57)と話をして「前に出るな、中団の後ろで付いていけ」とアドバイスを受けていた。
30㎞付近、ペースメーカーが離れると、吉田が少し前に出て、初マラソンのゲタホンに揺さぶりをかけた。32㎞付近の給水ポイントでゲタホンがスピードを落とすと、吉田はここでスピードをあげて、ゲタホンとの差を広げた。
34㎞付近から単独走となった吉田だったがペースは落ちず、35㎞までの1㎞は2分54秒とタイムを上げていった。吉田はその後もピッチが落ちることなく、安定感のある走りを見せて、38㎞からの1㎞も2分57秒のタイムで走り抜けた。40㎞付近では日本記録から7秒の遅れ。40.6㎞付近ではさらにスピードを上げていった。
41㎞付近では苦しい顔を見せて腕を大きく振り、ピッチを上げていった。大声援で競技場に入ると最後の力をふり絞り、ガッツポーズを見せて2時間5分16秒でフィニッシュ、日本歴代3位の記録で東京世界陸上(25年9月)の参加標準記録を突破した。
吉田は「2020年に初優勝してから4年間というのは本当に辛かったこと、悔しいことがあまりにも多くて、言葉にできないんですけど。記録から遠ざかっていく自分が本当に嫌で、忌々しかったんですけど。たくさんの人が支えてくれたから今こうしてこういうレースができたんじゃないかなと思います」と涙を見せながら応えた。「タイムを意識してなくて優勝争いを意識していた。優勝争いをすれば自然とタイムが出ると思っていた」とレースの勝因を口にした。東京世界陸上の参加標準を突破したことについては「必ず世界と戦う力をつけたい」と誓った。
東京世界陸上の参加標準記録(2時間6分30秒)を切っているのは9月のベルリンマラソンで2時間5分12秒をマークした池田耀平(26、Kao)と2月の大阪マラソンで初マラソン日本最高記録、2時間6分18秒をマークした平林清澄(21、国学院大)の2人に加えて、吉田も入ってきた。
【福岡国際マラソン 】
優勝:吉田祐也 2時間5分16秒
2位:西山雄介 2時間6分54秒
3位:P.ワンブイ 2時間8分38秒
4位:其田健也 2時間8分52秒
5位:二岡康平 2時間9分46秒
6位:V.ライモイ 2時間9分51秒
7位:B.カロキ 2時間10分18秒
8位:吉岡龍一 2時間10分50秒
9位:西山和弥 2時間11分33秒
10位:田中飛鳥 2時間12分13秒
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