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寒くなると古傷が痛む… これどういうこと?

2016-10-24 18:30:21


執筆:井上 愛子(保健師・助産師・看護師・保育士)
「寒い日や天候の悪い日には古傷が痛む」と耳にしたり、実際に経験したことはありませんか?
寒さや天気は、昔のケガに影響を与えるのでしょうか、それとも単なる迷信なのでしょうか。
詳しく解説していきましょう。

古傷とは何を指す?


そもそも古傷とは、過去にケガをしたところや、古い傷痕の総称を意味します。
何かで切ってしまったり、転んでしまった時にできた傷痕だけでなく、打ち身や凍傷、やけど、骨折、そのほかなんらかの病気の治療として行った手術の痕なども含みます。

古傷が痛む原因


このような古傷が寒さによって痛むことには、いくつかの理由が考えられています。
まずは血行不良。
傷痕が残ったり、記憶に強く残る大きなケガや手術の痕は、病院での治療上完治していても、周りの筋肉や神経に少なからずダメージが残っている場合があります。このような古傷の周辺にある筋肉には傷が残り、血液の流れが悪くなったり、スムーズに筋肉が収縮しづらくなっています。
また、天候が関連する理由として、寒くなったり、天気が悪くなったりすると、人間の身体にある交感神経の働きは活発になります。
その時に分泌される「ノルアドレナリン」というホルモンによって血管の収縮が起こりますが、血行不良となっている古傷の周りでは、神経が刺激されるので、痛みを感じると考えられています。

痛みが強い時は受診を


また、過去にケガをした部分は、身体のほかの場所よりもダメージに弱くなっていることがあります。
とくに、よく動かす関節周辺の靭帯や腱などを痛めたことがある場合、無理な負荷がかかるとケガの再発が起こる可能性もあります。
運動をするときにウォーミングアップは大切ですが、寒い時期は、気温差の身体への影響がより出やすいため、さらに注意が必要です。古傷の痛みが強いときは、病院を受診することも頭に入れておきましょう。

心配し過ぎも良くない?


一方で寒くなると古傷が痛むのは、気持ちの問題だと考えられることもあります。
「古傷が痛む」ということが世間で広く知られているため、寒さや天候の変化に気がつくと必要以上に痛みを意識してしまう場合は、精神的な不安から痛みが増している可能性もあるでしょう。

寒さによる古傷の痛み、対策とは


このように状況にもよりますが、古傷の痛みを和らげるために有効な方法は温めることです。
寒さで古傷が痛む場合には、お風呂にゆっくり浸かったり、カイロなどを活用することで身体をあたため、血行をよくするよう心がけましょう。夏場でも冷房によって身体が冷えることがあるため、温度調整ができる衣類を持っておくなどして、身体や古傷の周辺を冷やさないようにすることが大切です。
またマッサージなどで古傷の周りの筋肉をほぐしたり、適度な運動を取り入れ身体の血のめぐりを良くすることも効果的です。

「寒くなると古傷が痛む」という人は、自分にあった対策をみつけ、血行不良になりがちな身体も不安な気持ちもほぐすようにしましょう。
<執筆者プロフィール>
井上 愛子(いのうえ・あいこ)
保健師・助産師・看護師・保育士。株式会社とらうべ社員、産業保健(働く人の健康管理)のベテラン

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情報提供元: mocosuku

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