AIもシズルを感じ“脳よだれ”を垂らすのか?本能に訴えかける写真展『脳よだれ展2023』表参道で開催中
2023-09-04 12:23:41
株式会社博報堂プロダクツのフォトグラファー22名と株式会社博報堂のアートディレクター22名がタッグを組み、企画・制作した作品展『脳よだれ展2023』が2023年9月2日~9月13日まで「SpiralGarden」(表参道)にて開催中です。
2015年に開催された「VOICES展」から数えて今回で4回目となる「脳よだれ展」は、“Brain Drool(本能をゆり動かす)”というコンセプトのもと、博報堂プロダクツのフォトグラファーと博報堂のアートディレクターが1対1でペアを組み自由に作品をつくる写真展です。
言葉や理屈を超えて人間の本能に強く働きかけるビジュアルを探求する同展は、「ADFEST2017(アジア太平洋広告祭)」などでの展示を通して、世界に通じるユニークなコンテンツとして知られており、オープニングイベントに登場した博報堂プロダクツのフォトクリエイティブ事業部本部長の高橋秀行氏は「作品を解釈するなどはひとまず置いといて、感じたこと、沸き上がってきた感覚などを楽しんでほしい」と挨拶しました。
さらに、今回の展示では「AIという別知性と対峙する挑戦」にも取り組んでおり、博報堂グループに所属するアートディレクターやフォトグラファーの知性や感性を導入したAI「脳よだれくん」を開発。会場には「脳よだれくん」に感性を推測させた結果が映し出される高さ約5mのスクリーンが置かれ、22組の写真作品を観たAIがどのような反応を示すのか楽しめる体験型の展示イベントとなっています。
あなたの写真の“脳よだれ量”はどれくらい?
そもそも「脳よだれ」というネーミングは広告制作で使われる“シズル”が由来。シズルとは肉がジューっと焼ける音を指す英語 “SIZZLE”が語源であり「おいしそう」「飲みたい」「涼しそう」など、コトバにならない人間の本能に訴えかける直感的表現を指します。
鑑賞体験をアップデートするAI「脳よだれくん」は、キャラクターの表情やオノマトペを用いて、楽しい、幸せ、リラックス、温かい、恐怖、怒りなど50種類の感性項目と5段階の“脳よだれ噴出量”で作品を評価する仕組み。展示された作品以外にも、来場者が撮った写真を「脳よだれくん」に読み込ませることで「○○な感じぃ」と感性評価をしてくれるコーナーもあります。
写真)QRコードから写真を取り込ませると…「脳よだれくん」が感性評価をしてくれる。思ってもみない表現や、なかなか人間が発しないコトバがでてくるので面白い!(5mのスクリーンに大写しになるので、あまりにおバカな写真を選ぶと、やや、後悔する可能性あり)
博報堂アートディレクターの小山秀一郎氏は、「みなが知っている絵文字というものを使かって「脳よだれくん」をカタチにし、インタラクティブ作品に落とし込んで拡張していった」と制作過程を説明。「ともすると難しく考えられがちなアート作品だが「脳よだれくん」の評価を通じて、より身近なものになったら嬉しい」とコメント。
また、AIの作成に携わった博報堂プロダクツ テクニカルディレクターの熊谷周太氏は、「「脳よだれくん」は作品ひとつひとつに違った表情を見せる。人間の意識や感性を学習させたものではあるが、AIらしい、人とは違う観点で反応したりもするのでそこが面白いポイント」と話し「ぜひ、写真を一緒に鑑賞するパートナー的な存在として楽しんで欲しい」としています。
写真左から)博報堂 アートディレクターの小山秀一郎氏、博報堂 アートディレクター小畑茜氏。
写真左から)博報堂プロダクツ テクニカルディレクターの熊谷周太氏、博報堂プロダクツ フォトグラファー百々新氏。
クリエイティブ×AIの融合という試み
今回、はじめて参加したという博報堂のアートディレクター小畑茜氏は、自身が苦手とする虫をテーマに作品を制作。蚕を特殊なカメラを使い超ズームで撮影したことで「まるで犬のようなフサフサとした毛並みで別の生物に見えた」そう。22組の写真作品には、切り取り方やクリエイターのちょっとしたギミックによって、身近なモノやコトが今までとは異なって見えたり発見があったりと、本能を刺激される何かが隠されています。
博報堂プロダクツ フォトグラファーの百々新氏は、「作品を自由に作れるぶん、一般的なものか個人的なものか、何を軸にどこを掘り下げていくのか決めるのが難しい。好きな部分や人が気付かない部分など、いろいろな角度から掘り下げて、驚きや既視感のない感じをどう生み出していくのかがクリエイターの腕のみせどころ」と、クライアントがいる広告制作とは違った作品づくりの難しさと楽しさあったようです。
博報堂プロダクツでは、ChatGPTをはじめとした生成系AIをクリエイティブの場でどのように活かしていくかといった課題について、過去作品を学習させたAIから、アィディアの種となるクリエイティブのアウトプットができる生成機能など、クリエイティブAIを発展させた技術の取り組みにも力を入れていきたいとしています。
その前例として、AIもシズルを感じ“脳よだれ”を垂らすのか?という、今までにない観点と視点で開発された「脳よだれくん」と、本能をわしづかむ22組のプロフェッショナル達のフォト作品たち。ぜひ、この機会にご覧あれ。詳細はhttps://brain-drool.jp/2023/ まで。
情報提供元: マガジンサミット