「ダンサー整体」でダンス業界を支え、ダンスを長く楽しめる未来へ
2025-04-01 12:00:33

一般社団法人日本ダンサー整体セラピスト協会は、日本初のダンサー専門の整体協会だ。代表理事の長谷部健氏は、ジャズダンスの全国大会で優勝し、文部科学大臣賞を受賞した経歴を持つ。彼が提供する「ダンサー整体」は、ダンサー特有の怪我や身体の負担に特化した施術法だ。今回は同氏に、整体との出会いが人生をどう変えたのか、法人設立の経緯、そして今後の展望について話を聞いた。
たった一度の施術が、ダンサー人生を大きく変える

プロダンサーを目指し始めた21歳のころ、練習すればするほどダンスが上達すると信じ、1日12時間もの猛練習を重ねていました。しかし、ある日突然、身体が思うように動かなくなり、ダンスをきれいに踊れなくなってしまったのです。丁寧にセルフケアをしても、病院に行っても改善せず、保険適用のマッサージを受けても効果はありませんでした。
そんなとき、ダンス教室で生徒に指導をしていると、教室を取りまとめている先生から「君のダンスの動きに違和感がある。私は整体を学んでいるので、一度施術を受けてみないか」と声を掛けられました。半信半疑でしたが施術を受けてみたところ、驚くことにたった一度の施術で不調がすっかり改善したのです。それだけでなく、身体の使い方が変わり、疲れにくくなり、ダンスの上達スピードも格段に上がりました。ダンサーにとって、自分の身体に合った整体がいかに重要かを痛感した瞬間でした。
この経験を通じて、「ダンサーが安心して施術を受けられる環境を作りたい」と強く思うようになりました。まずはタイ古式マッサージのスクールに入学し、卒業後は整体院で働き始めました。さらに、ダンサーに適した施術法を探求し、さまざまな手法やアプローチを学び続けました。そしてついに、ダンサーの身体に特化した整体法、「ダンサー整体」にたどり着いたのです。
さまざまな施術を融合し生まれた、唯一無二の「ダンサー整体」

「ダンサー整体」は、体の歪みや滞り、筋肉の硬さ、姿勢を改善するだけでなく、ダンスに最適な柔軟性や体幹のコントロール力を高めることを目的とした整体技術です。無理に揉みほぐすことなく、身体や筋肉への負担を最小限に抑えた施術を行います。
ダンサーの身体はとても繊細で、整体のアプローチによってはかえってパフォーマンスが低下することもあります。一つのアプローチの例としては筋肉を無理に揉みほぐすことで筋繊維が傷つき、かえって筋肉が硬くなってしまう場合もあるのです。「本番直前に身体を整えたいけれど、整体で逆に調子を崩すのが怖い」「整体院が多すぎて、どこを選べばいいかわからない」「セルフケアでは時間がかかり、思うような効果が得られない」という悩みを、私自身も抱えていましたし、周りのダンサーたちの苦労も目の当たりにしてきました。
私たち日本ダンサー整体セラピスト協会は、そんなダンサーたちの悩みを解決するために設立されました。「一生懸命練習していて身体の疲労が抜けない」「練習しているのに思うように上達しない」と感じている方こそ、安心して施術を受けていただきたいと考えています。
ダンサーが自らの身体を理解し、より高いパフォーマンスを発揮できる環境を

身体のコンディションを整えることに悩んでいるダンサーが多くいます。そのようなダンサーを支援したいと思いながらも、1人の力では限界があると思い、協会を立ち上げました。現在、協会に登録しているセラピストの半数以上はダンスのインストラクターであり、ダンサーの身体に精通した専門家です。私たちは多くの方にダンサー整体を体験してもらい、その重要性を実感していただきたいと考えています。そして、舞台でのサポートやアーティストのツアーでのケア担当など、セラピストたちの活躍の場を今以上に広げることを目指して事業を展開していきます。
日本の人口は減少していますが、ダンス人口は年々増加しています。従来のダンス業界では、身体のケアが後回しにされ、「練習を重ねれば上達する」という風潮がありました。しかし、そのように無理に負荷をかけ続けたダンサーの中には、年齢を重ねてから身体を壊す人が少なくありません。多くのダンサーは、自分の身体の状態を理解しておらず、ストレッチの方法を誤っていることも多いのです。このままでは、その負の連鎖が次の世代に引き継がれてしまいます。
私たちは、自分の身体を理解し、無理なくダンスを上達させる方法を広めていくことに力を入れています。これにより、多くのダンサーが健康的に長くダンスを楽しめるようにしたい。さらに、この取り組みを世界中に広げ、ダンス業界全体を活性化させることを目指しています。
情報提供元: マガジンサミット