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「薬だけでは足りない」女性の健康寿命を延ばすために。山城公園レディースクリニックの取り組み

2025-09-05 12:00:26

平均寿命と健康寿命の間に存在する、約12年というギャップ。この社会的な課題に、徳島県の「山城公園レディースクリニック」院長、國見幸太郎先生は「女性のヘルスケア」という観点から真摯に向き合う。思春期から老年期まで、女性のあらゆるライフステージに寄り添い、その幸せに貢献することこそが、家庭、ひいては社会全体を明るく照らすと信じている。偶然の導きと自身の病の経験を経てたどり着いたという、その揺るぎない信念と、クリニックが目指す医療のかたちに迫った。

偶然と病の経験が生んだ「地域を支える」という新たな使命

「もともと、強い決意があって医師になったわけではないんです」と、國見先生は朗らかに語り始める。成績優秀者が医学部に進むという、地方の進学校ではよくある流れで医師の道へ。産婦人科を選んだのも、クラブの先輩からの誘いがきっかけだったという。大学病院や総合病院で、手術や分娩のエキスパートとしてキャリアを積んでいた彼に転機が訪れたのは49歳の時。

自身の緑内障が発覚し、外科医として手術を続けることへの不安を感じていたタイミングで、先輩の女性医師から「クリニックを継がないか」と声がかかったのだ。「最後のキャリアチェンジのタイミングだと思いました」。総合病院とは異なり、入院設備も手術室もない環境で、自分に何ができるのか。深く自問自答を重ねた末にたどり着いたのが、地域に根差し、女性の生涯にわたる健康を支える「女性ヘルスケア」という新たなミッションだった。偶然と病という経験が、國見先生を新たなステージへと導いたのである。

健康寿命延伸の鍵。人生を豊かにするホルモン補充療法

「日本の女性の平均寿命は87歳を超えていますが、健康寿命は75歳。この12年のギャップの原因の一つが、骨粗しょう症など、閉経後の女性に多いトラブルです」。そう語る國見先生が、健康寿命延伸の鍵の一つとして普及に力を注いでいるのが「ホルモン補充療法(HRT)」だ。日本ではまだ実施率が数パーセントと低いが、欧米では30%を超えるという。HRTは更年期症状の緩和だけでなく、骨密度の維持や、一部のがん予防にも繋がるというメリットがあるにもかかわらず、その事実はあまり知られていない。

「閉経後10年以上経ってから始めるとデメリットが出ることもありますが、適切な時期に始めれば、人生をより豊かにしてくれる素晴らしい治療なんです」。その重要性を伝え続けることで、クリニックには治療を長く継続する患者が多いという。女性の体を、そして人生を、科学的根拠に基づいて長期的にサポートする。それこそが、國見先生の目指す医療だ。

最新機器と後進育成で、クリニックの未来を創造する

「わざわざ遠くの都会まで行かなくても、地元で最高の治療を受けられるようにしたかった」。その想いから、國見先生は近年、四国に数台しかない最新の医療機器を導入した。ホルモン療法だけでは改善が難しいGSM(閉経関連泌尿生殖器症候群)や尿漏れに悩む女性にとって、これは大きな希望となっている。常に学び、最新の治療法を取り入れる姿勢は、医師として当然の務めだと語る。そのモチベーションの源泉は、「一番は家族、二番はスタッフ。

患者さんへの貢献が、結果として大切な人たちの幸せに繋がる」という、彼独自の温かい哲学にある。56歳を迎えた今、見据えるのは次世代へのバトンタッチだ。「このクリニックを存続させ、地域の女性たちを支え続けること」。そのために、信頼できる後継者を育てていきたいと語る。その視線は、目の前の患者だけでなく、地域の未来、そしてその先にある社会の明るさまでも、確かに捉えている。

プロフィール

企業名:山城公園レディースクリニック
肩書き:院長
⽒名 :國見 幸太郎(くにみ こうたろう)
HP:http://yamashiro-park-lc.jp/

情報提供元: マガジンサミット