高校生が“建築の現場”を体験── 一建設が宮城県で特別授業を実施
2025-10-22 15:00:56

建築・建設業界では高齢化や担い手不足が課題となる中、若い世代の関心を高める取り組みが各地で進んでいます。そうした中、住宅メーカーの一建設(はじめけんせつ)株式会社もその一環として、建築科の高校生たちに向け、特別授業を実施しています。
2025年10月10日(金)には、宮城県白石工業高等学校の建築科の1年生37名を対象に木造住宅の建築現場見学会と住宅設計体験会を開催しました。その模様をレポートします。
■木造住宅の建築現場見学会の様子

一建設は、飯田グループホールディングスの中核企業。自社の住宅づくりのノウハウを活かし、将来の建築・建設業界を担う高校生に建築のリアルを体験してもらうことを目的に、この特別授業を企画しました。

午前中は、宮城県柴田町にある建築中の2階建木造住宅で建築現場見学会を実施しました。
現場では基礎工事や躯体工事の説明に加え、実際の住宅図面やプレカット材(集成材)・補強金物・工具などを見せながら作業工程を紹介しました。また、高校OBの阿部大工の指導のもと、生徒たちは電動ドリルを使う体験に挑戦。安全に配慮しながら、真剣な表情で作業に取り組んでいました。

2階部分では小屋組・耐力面材・配線・配管工事・下地造作・内装(クロス貼り)など、施工の流れを見学。施工管理アプリ「ANDPAD」を用いたタスク管理の実演も行われ、デジタル化が進む現場の様子を間近で体感しました。
その後、請負大工と社員大工の違いの説明や記念品の贈呈、高校生からの御礼の挨拶で終了しました。
■住宅設計体験会の様子

午後は、同社の住宅展示場「はじめギャラリー名取」に移動し、住宅設計の仕事について学ぶ体験会を実施。
担当者による仕事内容の説明の後、3D CADを使った住宅設計の実演を見学しました。

その後、生徒たちは自ら建売住宅の設計プランを作成。住む人の生活を想定しながら図面を作成し、講評を受けました。最初は緊張気味だった生徒たちも、次第にアイデアを膨らませながら楽しそうに設計に取り組んでいました。

■生徒「貴重な体験に感謝」、責任者「楽しそうな姿を見てやってよかった」

一日を通じた感想として、参加した男子生徒は「木造建築の金具やつなぎ方など、授業で学んだこと以外にも、屋根工事などを先取りして学べてありがたかったです。設計は想像以上に難しかったですが、とても楽しかったです。設計士や建築士に興味があるので、今回の学びを今後に活かしていきたいです」とコメント。
女子生徒からも、「現場に足を運んだことで、教科書では分からなかった材料の大きさや重さを実感できて良かったです。設計体験では、住む人のことを考えながら図面を引く大変さを感じました。将来は大工になりたいので、社員大工さんの話がとても印象に残りました」といった声が寄せられました。
一建設の執行役員・藤川氏は、「高校生のみなさんが笑顔で質問してくれる姿が印象的でした」と語り、開催の意義について次のように述べました。
「建築業界は“きつい・厳しい”というイメージを持たれがちですが、実際の現場に触れてもらうことで、その印象を変えたいと思っています。
今回のような体験を通して、建築の魅力を感じてもらい、将来の就職先として考えてもらえればうれしいです。過去の参加者から採用につながった例もあり、今後も継続して実施していきたいです」
1日に渡って行われた一建設による特別授業を通じて、生徒たちは「建築の仕事」を肌で感じる貴重な一日を過ごしました。今後の建築・建設業界の担い手を増やすためにも、今後も開催を継続することに期待します。
情報提供元: マガジンサミット