頭皮にもある神経痛。ピリピリした痛みは頭皮神経痛の場合も
2018-03-01 18:30:36
執筆:藤尾 薫子(保健師・看護師)
医療監修:株式会社とらうべ
洗髪やブラッシングがとても痛い、髪の生えぎわや額にピリピリと痛みを感じる…といった経験はありませんか?
頭皮などに感じる電気が走るような鋭い痛みは、頭皮神経痛の可能性があります。
「神経痛」と聞くと手足や関節などを思い浮かべるかもしれませんが、頭皮にも神経痛は起こります。
今回は、頭皮神経痛の症状や原因などについて解説します。
神経痛とは
神経痛は末梢神経(まっしょうしんけい)が圧迫されたり、炎症を起こしたりすることで起こる痛みの総称です。
「末梢神経」は、脳や脊髄などの中枢神経から全身に広がっていて、脳の命令を手足に伝達する、反対に感覚器官や皮膚などで得た情報を脳に伝える、という役割をしています。
神経痛を身体の部位別にみると、「三叉(さんさ)神経痛=顔面」、「肋間(ろっかん)神経痛=胸」、「坐骨(ざこつ)神経痛=腰」などがよく知られています。
この神経痛の症状が頭部にでた場合「後頭(こうとう)神経痛」あるいは「頭皮神経痛」と呼んでいます。
頭皮神経痛の症状
頭皮神経痛は、後頭部や頭頂部にピリピリ、ジンジンといった痛みを感じます。
目の奥の痛みやめまいといった症状がでる場合もありますが、一般的には頭の表面のピリピリとした痛みと、シャンプーやブラッシング時の痛み、ドライヤーの風が異様に熱いなどの症状が特徴です。
ほかの神経痛と同じように、突発的に鋭い痛みが現れ、本人はすごく痛がりますが、しばらくすると痛みは消えます。
頭皮神経痛の原因
頭皮神経痛の原因は生活習慣ではないかといわれ、次のような点が指摘されています。
姿勢が悪くて骨格がずれて、身体に負担をかけている
睡眠不足でストレスが生じている
ビタミンやミネラルなどの微量栄養素が不足し疲労が蓄積されている
背骨が凝ったり歪んだりしている
騒音、気候の変動、大気汚染などの外的ストレスにさらされている
仕事や人間関係のストレスが昂じている
頭皮神経痛の対策
今のところ治療法は確立されていませんから、鎮静剤の服用といった対症療法か、痛みが鎮静化するのを待つ以外にありません。
ストレスや生活習慣が痛みの原因になると考えられていますので、生活習慣の見直し、ストレス発散・回避など、「予防」を心がけることが大切になります。
具体的には次のようなことです。
姿勢を悪くしない、長時間同じ姿勢でいつづけない
肩凝りや腰痛を治す
急激な運動によって発症しないように気をつける
騒音や大気汚染などの外的ストレスに対し、環境を変えることも考える
人間関係や長時間労働など仕事のストレスは上手に発散する。もしくは、相談をして状況を変えるように努める
栄養に偏りのないバランスよい食生活を心がける
質の良い十分な睡眠を習慣とする
オン・オフのけじめをつけリラックスする時間を確保する
ものごとに取り組む際、必要以上に悲観的にならないようにする
頭皮神経痛ではない別の病気の可能性
頭部が痛む、という症状は頭皮神経痛に限りません。
頭皮の「ヒリヒリ、ちくちく」という痛みは、乾燥によるかゆみなどが起因しているかもしれませんし、頭の奥の方がズキズキ痛む「頭痛」もあります。
注意しなくてはならないのは、専門的な治療が必要となる重要な病気が隠れているケースです。
たとえば、脳梗塞やくも膜下出血などが挙げられます。
痛みが生じていて、痛みのほかにも手足のしびれや嘔吐などの症状があるときは、すみやかに医療機関を受診してください。
頭部の痛みを自己判断すると、危険な場合もあります。
やさしい頭皮ケアを!
頭皮神経痛が出現すると、新陳代謝が低下して頭皮が硬くなるため血液の循環が悪くなります。
髪に栄養がゆきわたらなくて抜け毛につながることもあります。
しかし、痛くてブラッシングやシャンプーなど、頭皮ケアにも支障がでますから、老廃物が溜まりやすい状態である点にも留意しましょう。
刺激を与えないで丁寧に頭部をケアすること、そして冷たい外気や紫外線などから頭皮を保護すること、さらに乾燥にも気を配りましょう。
<執筆者プロフィール>
藤尾 薫子(ふじお かおるこ)
保健師・看護師。株式会社 とらうべ 社員。産業保健(働く人の健康管理)のベテラン
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供
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情報提供元: mocosuku