医薬品・医薬部外品・化粧品… この三つの違いはなに?
2018-03-06 18:30:47
執筆:吉村 佑奈(保健師・看護師)
医療監修:株式会社とらうべ
ドラッグストアなどで買い物をするときに、「薬用」とか「医薬部外品」といった表示が気になったことはありませんか?
薬やスキンケア用品などは「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律
」、略して「薬機法(旧:薬事法)」という法律によって、医薬品・医薬部外品・化粧品の3つに分類されています。
いずれも私たちの日常で折にふれて見かける表記ですが、明確に区別をする機会は少ないかもしれません。
それぞれの違いについて詳しく見ていきましょう。
1. 医薬品
医薬品は病気の治療や予防を目的とする、いわゆる「薬」のことで、厚生労働省が効果・効能について認可した有効成分が含まれています。
医師や歯科医師による処方箋が必要な医療用医薬品と、薬局などで市販している一般用医薬品(=OTC医薬品)があります。
さらに、医療用医薬品は新薬(先発医薬品)とジェネリック医薬品(後発医薬品)に分けられます。
また、OTC医薬品は副作用などのリスクによって、さらに第一類・第二類・第三類医薬品の3種類に分けられます。
治療を目的とする医薬品は、身体への作用が大きいため、医師や薬剤師など専門家の指示・助言に従い十分注意して使用する必要があります。
2. 医薬部外品
積極的な治療に用いられるのではなく、おもに予防や衛生を目的としている製品を医薬部外品と呼んでいます。
法律上、医薬部外品は医薬品と化粧品の中間的な位置づけで、医薬品と違う点は治療目的ではないことです。
ちなみに、「薬用」という表記も医薬部外品と同じ意味です。
薬機法には「薬用」というカテゴリーはありませんので、「薬用化粧品」などもいわゆる通称名です。
医薬部外品には厚生労働省が認可した成分が一定濃度で配合されていて、「効果・効能」を記載することができます。
3. 化粧品
化粧品は身体への作用が緩やかで、身体を清潔に保ったり保護したり、美化したりすることを目的とした、いわゆる美容商品を指します。
有効成分の配合は許可されていませんので、医薬品的な効能・効果をうたうことはできません。
なおかつ、化粧品はパッケージなどに全成分を記載するという法律上の義務があります。
医薬品や医薬部外品にそのような記載義務はありません。
選び方と注意点
このように、薬やスキンケア用品は、「有効成分」によって法律で厳しく分類され、表示の義務などが細かく定められています。
前述のとおり、パッケージ等に有効成分を記載できるのは「医薬品」と「医薬部外品」で、「化粧品」はできません。
私たちは薬機法で三者の基本事項と違いを理解して、自分の状態や目的にあった商品選びをすることが大切です。
医薬品は医師による処方ですので、用法用量の説明を聞き不明点は確認して自己判断に任せないようにしましょう。
また、成分の表示義務がない医薬部外品も、多くのメーカーは自主的に記載しています。
有効成分表示を読み、気になる成分が含まれていればきちんとリサーチしましょう。
使用してみて、症状が治まらない、いつもと違う症状で身体に合わない…などと感じたときは、すぐに使用を中止してください。
化粧品は有効成分が入っていませんが、緩やかに身体に作用する分安全性は高いといえます。
さらに、化粧品の成分表示は、配合量の多い順に記載するよう定められていますから、自分にあった商品を選ぶときの参考にしましょう。
日ごろから、身体に合う成分・合わない成分を見極めておくことをおすすめします。
法律上、効果・効能は、医薬品>医薬部外品>化粧品となります。
だからといって、「より高い効果を得たいから医薬品を手に入れよう」という安直な考えは危険です。
副作用のリスクなどを考慮し安全に運用してもらうために、薬機法のような法律があるのです。
たとえば、本来は治療が目的の医薬品を美容目的に用いるような行為は間違っていますから、十分に気をつけてください。
また、私たちはこれらをドラッグストアなどで購入するとき、ついつい「より効き目が高い(強い)ものを」…という判断基準で選びがちです。
安全かつ効果的に使うためには、自分の身体の体調や状態に合わせること、含まれる成分が自分の体質に合っているか確認することがポイントになるでしょう。
<執筆者プロフィール>
吉村 佑奈(よしむら・ゆうな)
保健師・看護師。株式会社 とらうべ 社員。某病院での看護業務を経て、現在は産業保健(働く人の健康管理)を担当
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供
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情報提供元: mocosuku