元気になれる色は何色? 色彩と健康の関係について
2018-03-07 18:30:09
執筆:山本 恵一(メンタルヘルスライター)
医療監修:株式会社とらうべ
わたしたちは日常のさまざまなシーンで「色」を選んでいます。
インテリアやファッションのカラーコーディネートなど…。
あなたも、こだわりをお持ちでしょう。
ところで、色は健康にも何か影響を与えるのでしょうか。
今回は「色と健康」の関係性を考察していきます。ご一緒に色について、探っていきましょう。
色の三属性
色は「色相」「明度」「彩度」の三属性によって構成されています。
色相は、赤、黄、緑、青などの「色味」です。
明度は色の明るさの度合いで、明度が最も高い色は「白」、最も低い色は「黒」です。
彩度は色味の鮮やかさの度合いを表わします。
なお、白、黒、灰色は「明度」の属性しか持たないため「無彩色」、それ以外の色みのある色は「有彩色」と呼ばれます。
有彩色のなかでも、それぞれの色相でもっとも彩度の高い色は「純色」といいます。
色がもつイメージ
色は単に赤、白、黒といった名称や明度・彩度という分類ではなく、「暖色系=暖かい色」「寒色系=寒い色」のように分けることもできます。
一般に「暖色」は赤やオレンジ、黄色など、「寒色」は青や水色、青紫などです。
どちらにも属さない緑や紫などは「中性色」と呼ばれています。
また、色は私たちの心理に特定のイメージを与える効果も持っています。
たとえば、赤は「愛情」「歓喜」「明るさ」「嫉妬」「怒り」、ピンクは「優しい」「健康的」「いやらしい」「意地悪」、青は「知的」「誠実」「信頼」「さわやか」「冷たい」「孤独」「憂うつ」などです。
ファッションにおいても「茶=ナチュラル、落ち着いた、安心、地味」、「緑=個性的、大人っぽい、ナチュラル」、「白=清潔、さわやか、上品、まじめ」、「黒=おしゃれ、かっこいい、都会的、知的」などのイメージがあるようです。
もちろん、このイメージに固定する…という訳ではありませんが、色が人の心理に何らかのイメージを与えているのは間違いないでしょう。
だからこそ、色はデザインのみならず、環境、政治や芸術など、社会のさまざまな分野で象徴的な役割を果たしているのです。
色でみる健康状態
色は人間の健康とも密接に関係しています。
たとえば、ウンチの色で健康状態をチェックすることができます。
黄金色のウンチは腸内環境が善玉菌優勢で好調、反対に悪玉菌がはびこると黒くなりますし、病気が隠れていると黒、赤、白(灰色)と変色する、野菜をたくさん食べると「緑」のウンチが出るなどです。
ほかにも、おしっこの色然り、爪や舌、顔色なども同様でしょう。
また、食材の色についても人間の健康状態と同じように、鮮度や成熟度合い、主要成分、毒の有無などを知ることができます。
「不調や病気のサイン」を発信して私たちの健康維持に寄与していることも、色の大きな役割といえるでしょう。
色が健康に与える影響
色が人間の筋肉に緊張と弛緩という変化を起こすことが実証されています。
この変化を「トーナス変化」、数値化したものを「トーナス値」といいます。
トーナス値では、平常時を23として、光線の色により筋肉の変化レベルを示しています。
最も高いのは赤で42、次いで橙35→黄30→緑28→青24の順に低くなります。
数値が高くなるほど、緊張・興奮の度合いが高いということです。
また、イギリス人のN.ハンフリー(心理学者)は、赤色と青色の光が人間に与える影響について実験をしました。
その結果、赤色は血圧の上昇、脈拍が速まり呼吸数が増加、筋肉は興奮・緊張状態に、一方青色は、血圧降下、脈拍と呼吸数が安定、筋肉の弛緩をもたらしました。
サルを使った実験ではありますが、色が身体の変化に影響を与えていることを示唆する研究結果です。
あたかも、赤=交感神経、青=副交感神経のように感じられる興味深い結果です。
色と身体の関係…事実なのか思い入れなのか!?
このように、私たちの身体や心は、色に対してさまざまな反応を示すことが分かってきています。
健康という視点でみると、赤はアドレナリン分泌を促進する、心拍数が上昇する、新陳代謝を促進する、自律神経を刺激して緊張状態にする、食欲を増進する、ヒトをより活発にさせるといわれています。
そこで、たとえば風邪を引いたときは赤いパジャマや服を着て身体を温める、食欲のないときはオレンジの照明や食器類を使って内分泌を促進する、眠れないときはブルーのパジャマやシーツにして精神安定を図る…など、色がもたらす効果を利用して治癒力を高めるという考え方もできるわけです。
しかしながら、色と健康の関係に明確な定義づけをするのは難しいでしょう。
なぜなら、たとえば海の色を象徴する青に「鎮静作用」があるといっても、東日本大震災で大変な思いをした人にとっては逆の作用をもたらすかもしれないからです。
ですから、色が身体に与える影響は「そうであるかもしれないし、そうでないかもしれない」という結論になろうかと思います。
ただし「鰯の頭も信心から」、「信じる者は救われる」という諺もありますので、自分のラッキーカラーは大切にした方がいいかもしれませんよ。
最後に余談です…昔から「赤い下着をつけよう」という健康法がありますね。
いわゆる「赤パン健康法」です。
赤い下着は本能的なパワーを覚醒する「やる気カラー」で、アドレナリンの分泌を促すとか、闘争心を掻き立てるなどといわれています。
これもまた、科学的真実というよりは心理的真実という方が妥当でしょう。
医療用語でいうところの「プラセボ効果(プラシーボ効果)」にあたるでしょうか。
【参考】
山脇恵子『色彩心理のすべてがわかる本』(ナツメ社 2016年)
<執筆者プロフィール>
山本 恵一(やまもと・よしかず)
メンタルヘルスライター。立教大学大学院卒、元東京国際大学心理学教授。保健・衛生コンサルタントや妊娠・育児コンサルタント、企業・医療機関向けヘルスケアサービスなどを提供する株式会社とらうべ副社長
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供
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情報提供元: mocosuku