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誰にでも起こり得る「メニエール病」について

2016-12-04 18:30:03


井上 愛子(保健師・助産師・看護師)
「メニエール病」は現在2万人ほどの患者がいる、誰にでも起こり得る病です。
30~50代の男女ともによく発症することから、ストレスが大きな要因として考えられています。著名人では、ジャーナリストの鳥越俊太郎さんや歌手の久保田利伸さんなどが公表している病です。
このメニエール病、どのような病気なのか、詳しくご説明していきます。

メニエール病とは


メニエール病は、明らかな原因がないのに、日常に支障をきたす重度の回転性めまい(自分や周囲がぐるぐる回るような感覚)が突然生じる病気で、吐き気やおう吐をともないます。
くり返し起こり、耳鳴りや難聴が伴うこともあります。
「内リンパ水腫(すいしゅ)」とも呼ばれ、内耳に存在している液体量のバランスが崩れることで起こると考えられています。

おもな症状と間違われやすい病気


メニエール病は、回転性めまいを発作的に繰り返すという特徴があります。
しかも、進行性であるため発作を繰り返すたびに悪化していきます。おもな症状として次のようなものがあります。

回転性のめまい


回転性のめまいは、自分自身または周囲のものが動いているまたは回転しているような感覚に陥るめまいです。

耳鳴り


常に聞こえる場合、断続的に生じる場合があり、「ぶんぶん」「ゴーゴー」といった比較的低い音の耳鳴りが多いようです。
回転性めまい発作の最中や前後に悪化することがあります。普通は片方の耳だけに起こります。

難聴


耳鳴りに消されるようにして外の音が聞こえにくくなっていきます。耳鳴りが軽くなった後も、低音域を中心に数年かけて徐々に悪化していきます。こちらも普通は片方の耳にだけ起こります。
また、同時に起こりやすい症状として次のようなものがあります。
・しめつけられるような痛みの頭痛
・めまいに伴って起こる吐き気・嘔吐
・耳の閉塞感や圧迫感(発症した側の耳に起こる)
・発汗
・下痢
・歩行不安定など

症状が続く時間は2~3時間程度ですが、なかには24時間続くこともあります。
またメニエール病以外でも起こる症状のため、安易に自己診断するのは危険です。
同じように回転性のめまいを生じる病気には、内耳の病気である前庭神経炎(ぜんていしんけいえん)、突発性難聴、中耳の感染、脳の病気であるてんかんや脳卒中(脳梗塞・脳出血)、脳腫瘍などがあります。

メニエール病の原因、なりやすい人


残念ながら、はっきりとした原因はわかっていません。
一般的には、ストレスやホルモンバランスの乱れ、過労、睡眠不足などの要因が関係しているといわれています。
耳には音を聞くだけでなく、バランスを保つはたらきもあります。内耳にある三半規管(さんはんきかん)が身体の平衡感覚を保っています。三半規管の中にあるリンパ液がからだの傾きや動きを察知しているのです。
リンパ液は、分泌と再吸収によって一定量に保たれていますが、何らかの原因で増えてしまい、メニエール病が起こっていると考えられています。リンパ液が増えてしまうと、三半規管のなかで自由に動けなくなり、身体の傾きなどを察知することができなくなって、めまいが起こります。
なぜ液体の生産量が増えてしまうのか、あるいは再吸収が減ってしまうのかについては、わかっていません。
考えられる要因のひとつとして、ストレスが挙げられています。メニエール病が、仕事や人間関係などが大変になってくる30~50代に多く見られる病だからです。
ストレスは真面目な人ほど感じやすいものです。
自分を犠牲にして人のために動く人、嫌なことも我慢して行う人、妥協せずに一生懸命行う人、自分で抱えて頑張ってしまう人などは、自分ではうまくストレスを発散できない傾向があります。
性格的には、几帳面・真面目・頑張り屋・神経質な人がメニエール病になりやすいといえます。

症状への対処と予防


減塩食にし、アルコールやカフェインを避けること、利尿薬(りにょうやく)を内服することで発作の頻度を減らせる場合があります。また、めまいの緩和に抗コリン作用薬が使われます。
ストレス、疲れを溜めないよう、生活習慣にも気を配ることが予防につながります。
仕事については特に制限はありませんが、身体を使う仕事の場合はいつ発作がおこるかわからないため、周囲に伝えておくといった細心の注意が必要です。
サポートをお願いすることに、抵抗がある方もいらっしゃるかもしれません。
しかし周りの理解を得ないままに仕事を中断してしまうと、余計に「迷惑をかけている」というストレスから発作が起こりやすくなります。
誠意を持って伝えることで職場の方の理解が得られるはずです。
心配な人は、会社の産業医や保健師に相談することをおすすめします。
<執筆者プロフィール>
井上 愛子(いのうえ・あいこ)
保健師・助産師・看護師・保育士。株式会社とらうべ社員、産業保健(働く人の健康管理)のベテラン

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情報提供元: mocosuku

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