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通常のアレルゲンと違う「仮性アレルゲン」をご存じですか?

2017-05-23 18:30:44


執筆:藤尾 薫子(保健師・看護師)
医療監修:株式会社とらうべ
とろろイモを食べたら口の周りがかゆくなったり、トマトの汁で皮膚が赤くなったり、古くなったサバを食べたらジンマシンが出たなど、まるでアレルギー反応のような症状が引き起こされる食品があります。
こうした食品の中に含まれていて、反応をひき起こす化学物質を「仮性アレルゲン」と呼んでいます。
案外、多くの食品が仮性アレルゲンをひき起こします。

アレルギーとアレルゲンの違いは?


アレルギーは免疫の異常によって引き起こされる症状です。
本来は病原体から身体を守ってくれるのが免疫ですが、それが自分を攻撃するのがアレルギーといえます。
免疫病とも呼ばれます。
アレルギーの原因となるものを「アレルゲン」と呼び、次のようなものがあります。

  • ・吸い込むもの
     花粉、ハウスダスト、カビ、ペットフケなど

  • ・体内に直接入るもの
     ハチの毒、薬、ワクチンなど

  • ・皮膚に触れるもの
     金属のアクセサリー、歯科治療の金属、ペットの唾液など

  • ・食物など口から摂取するもの
     卵、小麦、牛乳、果物、甲殻類(エビ・カニ)など


食物アレルギーは、この最後の「食物など口から摂取するもの」の代表格です。
アレルギー反応は、もともとは無害なアレルゲンによって引き起こされます。
身体に侵入したアレルゲンは、抗体(免疫グロブリン)と結合し、肥満(マスト)細胞からヒスタミンなどの炎症性物質が放出され、全身に運ばれていって、炎症などの症状を引き起こすのがアレルギー反応です。
ひどくなると、生死にかかわる重篤な「アナフィラキシー・ショック」を起こすことさえあります。

食物アレルギーについて


三大アレルゲンといわれる鶏卵・牛乳・小麦を始め、ピーナッツ(ナッツ類)、甲殻類、魚介類、肉類、果物、野菜、そばなどのタンパク質に反応して食物アレルギーは起こります。
症状は多様で、次のようなものが多く、全身に影響が拡がっていきます。

皮膚


かゆみ、むくみ、赤くなる、湿疹

呼吸器


ゼーゼーする、呼吸困難、セキ

粘膜


口の中の違和感や腫れ、のどがふさがる感じ、のどのかゆみ、イガイガ感、声がかれる、くしゃみ、鼻づまり

消化器


腹痛、吐き気、嘔吐、下痢、血便

ショック


顔色が真っ青、冷や汗、ぐったりする、脈が速く弱い、呼吸が浅く速い

精神症状


不安や興奮、意識の異常、イライラ、怒りっぽくなる、元気がない
こうした症状の起きかたには、すぐに症状が出る「即時型」と、時間をかけて現れる「遅発型」とがあります。

仮性アレルゲン


アレルゲンが免疫グロブリンや免疫細胞と結合し、ヒスタミンなどの化学物質が放出されるという、通常のアレルギー反応の経路をとらずに、食品中に含まれている化学物質が、直接皮膚などの組織に作用して、まるでアレルギー反応のような症状をひき起こすことを「仮性アレルゲン」と呼びます。
仮性アレルゲンとなる主な化学伝達物質と、それを含む食品は次のようなものです。

ヒスタミン(かゆみ、むくみ、蕁麻疹)


ホウレンソウ、ナス、トマト、えのきだけ、牛肉、鶏肉、発酵食品、鮮度の悪い青背魚(サバ、カツオ、イワシ、マグロなど)

アセチルコリン(自律神経失調、血管の拡張、気管支喘息)


タケノコ、トマト、ナス、ピーナッツ、ソバ、山芋、サトイモ、マツタケ、クワイなど

セロトニン(血管の収縮、平滑筋の収縮)


トマト、バナナ、キウイ、パイナップル、メロン、アボガドなど

チラミン


チーズ、ワイン、チョコレート、鶏レバー、ニシン酢漬け、プラムなど

フェニルチラミン


チーズ、赤ワイン、チョコレートなど

イノリン


サンマ、タラ、サケ

トリメチールアミンオキサイド(アレルギー反応を悪化させる)


エビ、カニ、イカ、タコ、アサリ、ハマグリ、カレイ、タラ、スズキなど

仮性アレルゲン:注意する点


仮性アレルゲンはこのように、食物にすでに含まれていて、アレルギー症状を引き起こす物質によって起こります。
一般的には、大量に摂取すると症状が強くなること、アレルギー反応のように毎回起こらないことが特徴です。
また、症状も比較的軽く、一過性で1時間以内に消失することが多いともいわれます。
しかし、大量摂取の場合には、全身の蕁麻疹、頭痛、呼吸困難など、アナフィラキシー・ショックに似た強い症状も起きることが稀にあるので、軽くみないに越したことはありません。
また、その症状がアレルギー反応なのか、仮性アレルゲンの影響なのかは、やはり受診をして専門医に診断をしてもらう必要があります。
仮性アレルゲンは普段食べている食品に含まれているので、避けることは難しいでしょう。
ですから、以下のことに注意してください。

  • ・一度にたくさん食べたり、毎日食べることを避ける

  • ・あく抜きや湯通しをしたり、加熱調理をする

  • ・体調が悪い時には控えめに摂取する


<執筆者プロフィール>
藤尾 薫子(ふじお・かおるこ)
助産師・保健師。株式会社 とらうべ 社員。産業保健(働く人の健康管理)のベテラン
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供

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情報提供元: mocosuku

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