【SLSテイクオーバー2026 LA】初出場の韓国カン・ジュニが大快挙の優勝!佐々木音憧が3位 女子はクロエ・コベル圧勝
2026-04-07 09:00:09
4月4日(現地時間)ロサンゼルス・ダウンタウンで世界最高峰のスケートボードコンテスト、ストリートリーグ(Street League Skateboarding以下SLS)テイクオーバー大会が開催され、初出場の韓国カン・ジュニ(17歳)が、カリフォルニアの高校にあった伝説的なスポット“エルトロ”を模したかのような20段ステア&ハンドレールを制して初優勝。
SLSには久しぶりの登場となる、アメリカのジャガー・イートン(25歳)がスイッチスタンスのハンマートリックを次々と繰り出し2位。
SLS決勝初出場となる、日本の佐々木音憧(19歳)が9.4点のナインクラブを叩き出す活躍を見せ、3位で表彰台入りを果たした。
SLS最多優勝回数を誇るナイジャ・ヒューストンは、トリックを2本しか決められず4位となった。
佐々木とカン・ジュニは予選となるワイルドカードジャムを勝ち上がっての大金星となった。
先月ワールドスケート世界選手権2連覇を成し遂げた佐々木音憧と、2024年のタンパアマ王者のカン・ジュニだが、SLSではワイルドカードジャムからのスタート(他のファイナリストは決勝スタート)。
忖度は一切ないSLS、出場への壁は非常に分厚い。
個人的に注目だったのは、クリス・ジョスリンのリザーバーとして出場した、アントワン・ディクソン(37歳)。
誰も真似できないスケートスタイルで一世を風靡したスター選手だが、ドラッグや暴力事件などで刑務所へ入るなど、紆余曲折の後、ふたたびスケート界にカムバック。
今回のSLSでも、唯一無二のスタイルをファンに見せてくれた。
※アントワン・ディクソンについてはこちらを参照。
https://magazinesummit.jp/hobby_sport/7582390201209
「マガジンサミット:【佐藤駿平・解説】アントワン・ディクソンの映像から紐解くスケートボードの“スタイル”ってなに?」
SLS3連勝中の小野寺吟雲は、直前まで出場予定だったが、怪我のため今大会の出場はなかった。
女子はクロエ・コベル(16歳)が、他を寄せ付けない圧倒的スキルで制し、SLS通算7個目の優勝トロフィーを手にした。
2位はスペインのダニエラ・テロル(17歳)、3位はアメリカのペイジ・ハイン(18歳)がそれぞれ表彰台入り。
今大会は女子日本勢の出場はなかった。
SLSは人気、実力ともに世界中から厳選されたトッププロのみが出場できる、世界最高峰の大会。
年間を通してアリーナ大会とテイクオーバーイベントが開催され、SLSポイントランキング上位者は、最終戦となる12月のスーパークラウンへの出場権を手にすることができる。
【SLSテイクオーバーのルール】
●SLSテイクオーバーイベントは、コース内の自由な場所で1発技を行うシングルトリック(五輪で言うところのベストトリック)を7本行い、上位3本の合計得点で順位が争われる(1トライにつき10点満点で採点)。
合計得点が同点の場合は、点数が高いシングルトリックを決めた方が上位になる。
●判定は3人の審査員によって行われ、10点満点方式で採点。
※9点台のトリックはナインクラブと呼ばれ、賞賛される。
●男子のテイクオーバーにはワイルドカード枠が2つ用意されており、ワイルドカードジャムで勝ち上がった2人が決勝に出場できる。
ジャムは採点制ではなく、初めに1本ずつトライした後に15分間順番に次々と滑走し、ラスト1分はフリーセッションのカオス状態に突入。終了時点で上位4人が5分間の延長戦へと進む。
最終的に上位2人が、本戦へ勝ち上がるという形式。
●今後は5月にテイクオーバー(詳細未定)、8月にブラジルでテイクオーバー(詳しい日にちは未定)、10月3日にフランスでアリーナ大会、11月14日に日本でアリーナ大会、12月5日から6日にブラジルのサンパウロで、スーパークラウンが予定されている。
※4月5日時点。
【韓国の超新星、満を持して登場/ワイルドカードジャム】
SLS男子だけに設けられているワイルドカードジャム、日本からは佐々木音憧がエントリー。
以下、佐々木とカン・ジュニが行ったトリックを紹介。
1本目、佐々木のトリック。
・ハンドレールで、バックサイドノーズブラントスライドをメイク。
カン・ジュニのトリック。
・ギャップtoレールで、スイッチフロントサイド270ブラントスライド フェイキーをメイク。
この時点でトップがカン・ジュニ、2位が佐々木。
2本目、佐々木のトリック。
・ギャップtoレールで、キャバレリアル バックサイドリップスライドをメイク。
カン・ジュニのトリック。
・ギャップtoレールで、ノーリーバックサイド270ボードスライドをメイク。
3本目、佐々木のトリック。
・ギャップtoレールで、キャバレリアル バックサイドノーズブラントをミス。
カン・ジュニのトリック。
・ハンドレールで、アーリーウープからのスイッチフロントサイド270 ボードスライドをミス。
4本目、佐々木のトリック。
・ギャップtoレールで、キャバレリアル バックサイドノーズブラントをミス。
カン・ジュニのトリック。
・メインの20段ハンドレール(以下ハンドレール)で、アーリーウープからのスイッチフロントサイド270 ボードスライドをメイク。
5本目、佐々木のトリック。
・ギャップtoレールでキャバレリアル バックサイドノーズブラントスライド フェイキーをメイク。
カン・ジュニのトリック。
・ギャップtoレールで、ノーリーバックサイド270ノーズスライドをメイク。
6本目、佐々木のトリック。
・20段のビッグステア(以下ステア)で、バックサイド360をミス。
カン・ジュニのトリック。
・ハンドレールで、バックサイドノーズブラントスライドをなんとかメイク。
7本目、佐々木のトリック。
・ステアで、バックサイド360をメイク。
カン・ジュニのトリック。
・ギャップで、スイッチフロントサイド360をメイク。
8本目、佐々木のトリック。
・ギャップtoレールで、ノーリーフロントサイド180フェイキーノーズグラインド リバートをメイク。
カン・ジュニのトリック。
・ギャップtoレールで、スイッチフロントサイド180 バックサイドKグラインドをミス。
9本目、佐々木のトリック。
・ギャップtoレールで、ハーフキャブバックサイドスミスグラインドをメイク。
カン・ジュニのトリック。
・ギャップtoレールで、スイッチフロントサイド180 バックサイドKグラインドを、体勢をくずしながらもメイク。
10本目、佐々木のトリック。
・ギャップtoレールで、ノーリーヒールフリップ フロントサイドノーズブラントをミス。
カン・ジュニのトリック。
・ギャップtoレールで、ノーリーバックサイド270ボードスライド 270アウトを着地でワンハンドしながらもメイク。
11本目、佐々木のトリック。
・ステアで、ハードフリップをミス。
カン・ジュニのトリック。
・ギャップtoレールで、アーリーウープ気味に入るバックサイド180からフェイキーノーズグラインドリバート(通称スチュウグラインド)を着地でミス。
12本目、佐々木のトリック。
・ステアで、ハードフリップをふたたびミス。
カン・ジュニのトリック。
・ギャップtoレールで、アーリーウープバックサイド180からフェイキーノーズグラインドリバート(別名スチュウグラインド)をミス。
ここからラスト1分間のカオスタイムへ突入し、佐々木がステアでのハードフリップをメイク。
ここまでの順位は、カン・ジュニ、佐々木音憧、ローマン・ハガー、エヴォン・マルティネスとなり、上位4人が5分間の延長戦へ突入。
カン・ジュニはギャップtoレールで驚異の高難度トリックとなる、ノーリーバックサイド270ヒールフリップ ノーズスライドを立て続けに9回挑み、決めきることはできなかったが、順位は変わることなく首位通過で、SLS初出場を決めた。
佐々木は延長戦2本目にハンドレールで、ノーリーフロントサイド270 ノーズグラインド リバートをメイク。
昨年からテイクオーバーのワイルドカードジャムに出場を続けていたが、今回3回目にして2位で初のSLS本戦への出場権を手にした。
ちなみに3本目以降も、20段ステアをノーリーヒールで飛び続けており(結局メイクはできなかったが)、一体どういう膝をしているのか不思議でならないほどの攻めっぷりであった。
【クロエ圧勝/女子決勝】
女子決勝はオーストラリアのクロエ・コベル、フィリピンの英雄マージリン・ディダル、スペインのダニエラ・テロル、アメリカのペイジ・ハイン、同じくアメリカのシャイロ・カトリの5人で争われた。
内容的にはクロエ・コベルがただ一人、ナインクラブのトリックを繰り出して他を圧倒。
1本目にギャップtoレールで、フロントサイドブラントスライドを決めて(7.0点)首位に立つと、20段のハンドレールでフロントサイド50-50グラインド(6.9点)、20段ステアでキックフリップを決めてナインクラブ(9.0点)を獲得し、合計22.9点。
3本を終えた時点で、早くも試合を決定づけた。
今回、オリンピック予選の日本代表出場権を決める日本オープンと日程が重なっていた影響もあってか日本勢の出場が無く、内容的にもやや物足りなさの残る女子決勝だった。
【初出場の2人が大金星/男子決勝】
男子決勝はワイルドカードで勝ち上がり、SLS本戦初出場となる韓国のカン・ジュニと佐々木音憧が出場。
他にはフランスのオーレリアン・ジロー、ポルトガルのグスタボ・リベイロ、アメリカ勢のナイジャ・ヒューストン、アントワン・ディクソン、ダショーン・ジョーダン、アレックス・ミドラー、久しぶりにSLS出場のジャガー・イートンによる9人で争われた。
以下、上位3人のトリックを紹介。
※()内は合計得点。
[1本目]
佐々木
ステアでバックサイド360を狙うが、着地で板が折れてミス。
カン・ジュニ
ギャップtoレールで、スイッチフロントサイド270ブラントスライド フェイキーアウトをメイクし8.3点。
ジャガー・イートン
ハンドレールでスイッチバックサイドリップスライドをメイクし、8.8点。
[2本目]
佐々木
ふたたびバックサイド360にトライし、またもや板を粉砕。
しかし、デッキから降りずに耐えきったため、メイク判定で8.2点(8.2)。
カン・ジュニ
ハンドレールで、アーリーウープからのスイッチフロントサイド270 ボードスライドをメイクし、9.5点(17.8)。
ジャガー・イートン
ハンドレールで、スイッチフロントサイドフィーブルグラインドをメイクし、8.9点(17.7)。
[3本目]
佐々木
ハンドレールで、キャバレリアル バックサイドリップスライド フェイキーアウトをメイクし8.6点(16.8)。
カン・ジュニ
ギャップtoレールで、ノーリーバックサイド270ノーズスライドをメイクし、8.7点(26.5)。
ジャガー・イートン
ハンドレールで、スイッチバックサイドスミスグラインドをミス(17.7)。
[4本目]
佐々木
ハンドレールで、ノーリーフロントサイド180スイッチスミスグラインド(通称ノーリーバーレー)を狙うがミス(16.8)。
カン・ジュニ
ワイルドカードジャムで決めきれなかった、ギャップtoレールでのノーリーバックサイド270ヒールフリップ ノーズスライドにトライ。
着地までは決めたものの、両手を地面についてしまい0点(26.5)。
ジャガー・イートン
ハンドレールで、スイッチバックサイドスミスグラインドをメイクし9.0点(26.7)を獲得し、暫定首位に立つ。
[5本目]
暫定3位の佐々木
ハンドレールで、ふたたびノーリーフロントサイド180スイッチスミスグラインド(通称ノーリーバーレー)リバートを狙うがミス(16.8)。
暫定2位のカン・ジュニ
ハンドレールで、ノーリーバックサイド270ボードスライドを狙うがミス(26.5)。
暫定首位のジャガー・イートン
ハンドレールで、スイッチバックサイドオーバーKグラインドを狙うがミス(26.7)。
[6本目]
暫定3位の佐々木
ハンドレールで、ノーリーフロントサイド180スイッチスミスグラインド(通称ノーリーバーレー)リバートを決め9.4点の高得点(26.2)を記録。しかし順位は変わらず3位のまま。
暫定2位のカン・ジュニ
ハンドレールで、ふたたびノーリーバックサイド270ボードスライドを狙うがミス(26.5)。
暫定首位のジャガー・イートン
ハンドレールで、スイッチバックサイドオーバーKグラインドを完璧に決めて9.1点(27.0)、さらに合計スコアを伸ばす。
[7本目]
※ラストは順番が下位の選手からに変わる。
暫定3位の佐々木、首位に立つには9.1点が必要な場面。
ハンドレールで、ノーリーフロントサイド180 スイッチバックサイドフィーブルグラインドを狙うが、惜しくも着地で失敗(26.2)。
暫定2位のカン・ジュニ、首位に立つには8.9点が必要な場面。
ハンドレールで、ふたたびノーリーバックサイド270ボードスライドにトライし、これを完璧にメイク!9.3点(27.5)を獲得して首位に立つ。
暫定2位のジャガー・イートン、首位に立つには9.5点が必要な場面。
ハンドレールで、スイッチフロントサイドKグラインドをミス(27.0)。
カン・ジュニが、韓国勢初となるSLS優勝という大快挙を成し遂げた。
SLSテイクオーバー2026ロサンゼルス大会の映像
https://rumble.com/v77knvc-sls-dtla-takeover-watch-live-april-4-2026-.html?e9s=src_v1_ucp_a
【テイクオーバー2026・LA女子リザルト】
1位 クロエ・コベル(オーストラリア)–22.9
2位 ダニエラ・テロル(スペイン)–19.1
3位 ペイジ・ハイン(アメリカ)–18.2
4位 マージリン・ディダル(フィリピン)–10.8
5位 シャイロ・カトリ(アメリカ)-7.7
【テイクオーバー2026・LA男子リザルト】
1位 カン・ジュニ(韓国)–27.50
2位 ジャガー・イートン(アメリカ)–27.00
3位 佐々木 音憧(日本)–26.20
4位 ナイジャ・ヒューストン(アメリカ)–17.80
5位 アレックス・ミドラー(アメリカ)–16.60
6位 グスタボ・リベイロ(ポルトガル)–16.10
7位 オーレリアン・ジロー(フランス)–15.80
8位 ダショーン・ジョーダン(アメリカ)–7.80
9位 アントワン・ディクソン(アメリカ)–6.30
10位 ジュリアン・アグリアルディ(アメリカ)–棄権
文 小嶋勝美
スケートボード放送作家のスケーター
情報提供元: マガジンサミット