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渋谷慶一郎「AI時代は欲望が一番大事」國領二郎氏と人間の本質を語る

2026-10-15 14:25:25

独立行政法人情報処理推進機構(IPA)は10月13日、千葉・幕張メッセで開幕したデジタルイノベーションの総合展「CEATEC 2026」に出展した。

IPAは「デジタルで豊かな社会に」を掲げ、サイバーセキュリティの確保やデジタル人材の育成、AIの信頼性確保、デジタル社会の基盤整備などに取り組む独立行政法人。

今回のブースでは「PROTOCOL ENGINE」をテーマに、来場者がテクノロジーに関する質問に回答すると、その結果が頭上の円形LEDに光の図形として映し出される参加型インスタレーションを展示している。

國領二郎×渋谷慶一郎のトークセッション

ブース内で行われたトークセッション「テクノロジー右脳左脳対談」では、慶應義塾大学名誉教授の國領二郎氏と、AIやアンドロイドを活用した作品を手掛ける音楽家の渋谷慶一郎氏が登壇した。

渋谷氏は、冒頭から「テクノロジー右脳左脳対談」というタイトルに言及。「アーティストが右脳しか使ってないみたいに取られるわけですよ。そんなことは全くなくて。芸術活動には、高度な論理性も求められます」と切り出した。

AIの進化について國領氏は「AIによってもう一回、人間が深刻に自分たちの本質って何なのか問い直す時期が来ている」と指摘。一方、渋谷氏はAIが人間の能力を超えつつある現状に触れ「それを人間がどうするかって考えること自体の有効性を疑った方がいいんじゃないかな」と投げかけた。

セッションでは、渋谷氏が2008年に亡くなった妻をモデルに制作したアンドロイドとの共演についても紹介された。妻の人生に関する情報を学習させたアンドロイドに歌唱を覚えさせ、その後会話ができるよう調整したところ、意図せず生前の妻に似た話し方になったという。

さらに、渋谷氏は公演のカーテンコールでアンドロイドの手に触れた瞬間、泣き崩れてしまったことを告白。「AIとかアンドロイドが自分たちの手に入ってなかったら、僕のその感情は起きていなかった」と語った。

AI社会のルールについて、國領氏がAIエージェントの本人性や代理権などを例に挙げ「今までのルールをパッチワークでやってきたけど、もうそれだけじゃ済まない時代が来ちゃってる」と指摘。

一方、渋谷氏は創作物やデータの共有への危機感を問われると「危機感は全くなくて。今の時代っていうのは、人が真似できないことをやらない限りは全く勝ち目ないんですよ」と持論を展開した。

また、かつてIPAの未踏事業で研究者の池上高志氏とともに支援を受けた経験にも言及。「本当に優れた人を選んで、そこに注力して力を与える。これを徹底してやるっていうのが、僕はIPAに期待していることですね」と明かした。

人材育成の話題では、渋谷氏が「欲望」の重要性を強調。現在取り組む文化庁との人材育成プロジェクトにも触れ「欲望がない人を育てるっていうのは、多分ほとんど不可能。実戦の中に飛び込ませるっていうのが一番有効」と説明した。

終盤には、AIによって技術的なハードルが下がる中、渋谷氏が「人物的な能力だったりとか、知識、教養っていうのはすごく重要」と強調。

質疑応答では欲望の定義についても質問が寄せられ、渋谷氏は「これをやらなかったら死んだ方がいい、これをやらなかったら私は生む価値もないという、これを見つけられるかどうかが欲望じゃないですか」と補足。

「今日の結論は欲望ですね」と國領氏がまとめる場面もあり、AI時代に人間が何を求め、何を生み出していくのかを問いかける対談となった。

情報提供元: マガジンサミット