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夏休みを前にまだまだ続く猛暑… 脱水症、熱中症には引き続き警戒を

2018-08-03 18:30:10


執筆:藤尾 薫子(保健師・看護師)
医療監修:株式会社とらうべ
今年は「命に危険を及ぼすほどの猛暑」が日本全国で続いています。
気象庁も異例の会見を開いて災害レベルという認識を示し、熱中症に厳重な警戒を呼びかけています。
ウェザーニュースによると、今後9月までの気温は全国的に平年に比べやや高い~高い傾向で猛暑が続くとのこと。
引き続き注意が必要ですので、いま一度、脱水症と熱中症についておさらいをしておきましょう。
【参考】ウェザーニュース『猛暑見解2018』(https://weathernews.jp/s/topics/201807/180045/)

脱水症について


成人の体内を占める水分量は、体重のおよそ5~6割と言われます。
そのうち約3分の2は細胞内液として、残りの3分の1は血液・リンパ・唾液・細胞間質液などの体液として存在しています。
これらの体液が不足している状態が「脱水」です。
発汗や水分補給の不足によって脱水状態になると、体調にさまざまな変化が起こり、これを「脱水症」と呼んでいます。
脱水症は熱中症や夏バテ、二日酔いの原因などにもなりますから、この時期は特に注意が必要です。
脱水症のサインを症状の程度別にご説明します。

軽度の脱水症


 ・見た目にはわからない程度
 ・ふらつき、めまい、微熱などの症状が現れる(約6%の水分不足)

中程度の脱水症


 ・血圧や臓器血液の低下(約10%の水分不足)
 ・感染症、心・腎・呼吸不全

重度の脱水症


 ・意識低下・ショック
 ・死に至る(約20%の水分不足)
また、脱水症になると体調に次のような変化が生じます。
 ・体温を調節する汗が出なくなり、体温が上がる(その一例が熱中症)
 ・汗や尿が出なくなり、体内に老廃物が溜まる
 ・血流が悪化して必要な栄養分や酸素を運ぶ機能がうまく働かなくなり、全身の機能に障害が起こる

水分が多い「脳」は脱水症の影響が出やすい!


水分不足による脱水症は、体液の多い場所から影響が出やすいと言われており、一番は「脳」、次いで「胃腸」「筋肉」「その他」という順になります。
重さの約85%を水分が占める脳は、渇きに敏感で水分が不足すると正常に働かなくなります。
頭がボーっとする、めまい、頭痛、もの忘れ、集中力の低下などの症状がでます。
さらに重度の脱水状態になると、手が動かない、マヒが起こる、脳梗塞のような症状が出るなど、脳機能の異常が全身に及ぶこともあります。
胃腸など消化管(水分量約70~80%)は、脱水によって体液量が減少すると、食欲低下や消化不良、下痢、便秘、嘔吐、腹痛などを引き起こします。
筋肉(水分量約75.6%)の脱水は、筋肉痛やこむら返り、力が入らないなどの原因になります。

熱中症の分類


熱中症は、ここ数年全国で患者数が2.5万人を超えていると言います。
血液や汗の働きで保たれている体温バランスが崩れると「熱中症」になります。
高齢者に多いのですが、誰にでも起こります。
現在、熱中症は重症度によって次の3段階に分けられています。

Ⅰ度(熱ストレス)


 めまい・失神・筋肉痛・筋肉硬直・手足のしびれ・気分不快などが生じる

Ⅱ度(熱疲労)


 頭痛・吐き気・嘔吐・倦怠感・虚脱感が現れ、軽い意識障害も起こる

Ⅲ度(熱射病)


 Ⅱ度に加えて、意識障害・痙攣・手足の運動障害・高体温・肝機能や血液凝固などの障害が起こる。
 Ⅱ度以上は病院への搬送が必要
高齢者の場合、一日の中で主な時間を過ごしている場所で熱中症になりやすいことが分かっていますので、その場所の環境整備が重要です。
また、「蒸し暑い時」、「無風状態」、コンクリートなどの「輻射熱(ふくしゃねつ)」が3大悪条件と言われます。
さらに、気象庁は「暑さ指数(WBGT)」を算出し、「注意」「警戒」「厳重警戒」「危険」の順に危険度を発信していますので、この情報を有効に活用してください。
【参考】環境省『熱中症予防情報サイト2018』(http://www.wbgt.env.go.jp/heatillness_gline.php)

こんな体調のときは、とくに熱中症に注意


熱中症の予防には、何より発汗で失った水分や塩分を補給することが大切です。
1日の水分摂取の目安は、食事以外に約1.2リットルと言われています。
夏場は汗を多くかく分、増やす必要があります。
また、身体に溜まった熱を逃がすにはクールビズも有効です。
次のような体調の時は、熱中症になりやすい状態ですから、熱中症に注意する意識を高めましょう。

風邪などで発熱していて、体温が高くなっている


下痢・嘔吐などで水分・塩分・ミネラルが不足している


深酒や二日酔いなどで水分不足になりやすい状態である


寝ている間の汗で水分や塩分が排出されている上に、朝食を食べていない


睡眠不足で体温調節をする脳の働きが乱れている


おしまいに、環境省が公開している熱中症対策マニュアルから、水分補給のポイントをご紹介します。
利尿作用があるアルコールは逆効果です。
ビールが大変美味しい季節ですが、くれぐれも気をつけてください。

こまめに水分補給


のどが渇く前に水分補給


アルコール飲料での水分補給はNG


1日あたり1.2リットルの水分補給


起床時、入浴前後に水分を補給


大量に汗をかいた時は塩分も忘れずに


【参考】環境省『熱中症環境保健マニュアル2018』(http://www.wbgt.env.go.jp/heatillness_manual.php)
<執筆者プロフィール>
藤尾 薫子(ふじお かおるこ)
保健師・看護師。株式会社 とらうべ 社員。産業保健(働く人の健康管理)のベテラン
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供

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情報提供元: mocosuku

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