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絹、木綿、焼きに充填… 豆腐イロイロ、違いはなあに?

2018-10-02 18:30:05


執筆:山本 ともよ(管理栄養士・サプリメントアドバイザー・食生活アドバイザー)
医療監修:株式会社とらうべ
和食に欠かせない食材で、日本人にとって老若男女問わず大変馴染み深い「豆腐」
栄養的にも優れていて料理のアレンジも豊富なので、家庭の食卓によく登場する食品の一つです。
ところで、スーパーなどの豆腐売り場には、絹ごしや木綿、充填など、いくつかの種類が販売されています。
これらの違いを知ると、豆腐をもっと美味しく、バリエーション豊かに取り入れることができます。

豆腐の栄養


水に浸した大豆を砕いて煮沸し、豆乳とおからに分離します。
この豆乳に凝固剤を入れて固めて作られるのが豆腐です。
身体に嬉しい栄養素が豊富に含まれる、日本を代表する健康食品です。

良質なたんぱく質


「畑の肉」という呼び名を持つほど、たんぱく質を豊富に含んでいます。
さらに豆腐が優れているところは、その質の高さ!
たんぱく質はアミノ酸がたくさん連なってできているのですが、構成されるアミノ酸の種類によって特質が変わります。
アミノ酸の種類のうち、体内で合成できない「必須アミノ酸」と呼ばれる9種類のアミノ酸があります。
豆腐のたんぱく質はこの「必須アミノ酸」をバランスよく含んでいます。
こうした特性を持つ食品は動物性食品に多いのですが、大豆は植物性でありながら質の高いたんぱく質を含む、ヘルシー食材なのです。

レシチン


レシチンは細胞膜の成分やエネルギー源になり、血液中のコレステロールや中性脂肪の量を調整する働きがあります。
また、脳の情報伝達に関わる神経細胞の材料となり、記憶力や集中力を高めます。

カルシウム


カルシウムは骨や歯の主成分となり、丈夫な骨や歯を維持します。
また、神経伝達にも関わって精神を安定させる働きもあります。
日本人はどの世代においてもカルシウム不足が指摘されていますので、積極的に摂りたい栄養素です。

ビタミンB1・ナイアシン


水溶性ビタミンのビタミンB群は熱に弱いという特徴があります。
豆腐は製造工程で熱を加えたり水分を抜いたりするため、含有量は多いとはいえません。
それでも、ビタミンB群のうちビタミンB1やナイアシンを、豆腐からある程度摂取することができます。
ビタミンB1は代謝を促進し、ナイアシンは皮膚や粘膜の健康を維持する働きがあります。

ビタミンE


ビタミンEは血流を促す働きがあります。
血流がよくなると、冷えや肩こりの予防、身体の隅々に栄養を届けて美肌・美髪につながるなど、健康と美容への効果が期待できる栄養素です。

サポニン


大豆サポニンはポリフェノールの一種です。
ポリフェノールは植物に多く含まれていて、細胞を傷つける活性酸素の働きを抑制する「抗酸化作用」があります。
とくに、脂質の酸化を防いでコレステロールの蓄積を抑え、生活習慣病を予防する働きに期待が持たれています。

イソフラボン


イソフラボンもポリフェノールの一種で、女性ホルモン(エストロゲン)と似た働きをする点が最大の特徴です。
女性ホルモンが減少するとそれを補うような働きをすることがわかっています。
更年期の女性に現れる、女性ホルモンの減少にともなう諸症状の改善に効果が期待されています。
また、女性ホルモンは骨の健康保持、血液中のコレステロール量の調整などにも作用するので、骨粗鬆症や生活習慣病予防の観点からも、同様に効果が期待されています。

豆腐の種類と特徴


豆腐の種類はおもに製法の違いによるものです。
食感や含まれる栄養素の量など、それぞれに特徴があります。
代表的な豆腐および関連製品をご紹介します。

木綿豆腐


木綿豆腐は昔ながらの一般的な製法で作られています。
加熱した豆乳に凝固剤を加えて均一に行き渡るように撹拌すると、一定時間経過後に固まります。
次に、凝固したものを一度崩して、固まらなかった水分や油を分けやすくしてから、布を敷いた型に入れて布で覆います。
上から重しをのせて圧力を加えると、型には穴が開いているので余分な水分や油分が取り除かれ、きっちりと成型することができます。
木綿豆腐は余分な水分や油分をしぼるので、たんぱく質やカルシウムが多い反面、水溶性のビタミンB1や脂溶性のビタミンEはやや少なめです。
料理の素材として見ると、水分がある程度抜けて固めなので、崩れにくく味がしみ込みやすいです。
煮物や炒め物、揚げ物に向いていて、鍋や肉豆腐、麻婆豆腐などにおすすめです。
ちなみに、「おぼろ豆腐」や「寄せ豆腐」も木綿豆腐の仲間です。
型に入れて成型する前の段階、凝固剤で固めた状態をザルなどに盛った製品です。

絹ごし豆腐


なめらかでやわらかい豆腐です。
木綿豆腐のように、攪拌する、重しをのせて成型をする、といった工程がありません。
凝固剤を入れた型に熱い豆乳を一気に流し込み、この勢いで凝固剤が均等に混ざって固まります。
絹ごし豆腐は水分含有量が多く、木綿豆腐よりもカロリーが低く、ビタミン類は多くなります。
食感の良さから、冷奴やサラダなどに好まれます。

充填豆腐


絹ごし豆腐と同じようになめらかでやわらかい豆腐です。
豆乳を冷やして凝固剤と一緒にできあがり量を容器に注いで密閉し、加熱して固めます。
機械化による流れ作業の大量生産に適しています。
密閉後に加熱するので、日持ちの良い点が特徴です。
栄養価や食感は絹ごし豆腐と似ています。

焼き豆腐


焼き豆腐は固めに作った木綿豆腐を水切りして焼き、焼き目を付けた豆腐です。
木綿豆腐よりもさらに崩れにくく味がよくしみこみますので、すき焼きや田楽などに使われます。
水分が少ないため栄養価が凝縮していて、たんぱく質やカルシウムが豊富です。

高野豆腐(凍り豆腐)


豆腐を凍らせてから、乾燥させて作ります。
乾燥によって水分が抜け栄養素がギュッと凝縮した、栄養価の高い保存食品です。
味がしみやすく煮物によく利用されますし、最近では肉の代わりに炒め物や揚げ物に使う、ヘルシー食材としても注目されています。たんぱく質、カルシウム、鉄、食物繊維などが豊富で、女性に嬉しい食材といえます。

おから


豆腐とは異なりますが、豆腐の原料となる大豆から豆乳を搾りとった搾りかすが「おから」です。
とくに豊富に含まれるのは、皮や胚芽に多い食物繊維です。
そのほか大豆に含まれる成分も残るため、豆腐と同じような栄養成分も少量含まれています。
料理では卯の花が有名ですが、ハンバーグのつなぎやお菓子の粉類の代わりに使われることも多く、有効活用されています。

豆腐ではない「〇〇豆腐」


大豆を原料として作られるのが正式な豆腐ですが、形状が豆腐に似ていることから「豆腐」と呼ばれている食品があります。
もちろん、原料は大豆ではありませんから、栄養面は豆腐とは全く違いますがご参考までに。
・玉子豆腐:溶き卵に調味料を加え蒸したもの
・ごま豆腐:ごまをすり、葛粉(または片栗粉)で固めたもの
・くるみ豆腐:くるみが原料で、ごま豆腐と同じ作り方
・杏仁豆腐:杏子の種の成分を抽出して寒天で固めたもの
このように、同じ豆腐でも製造方法の違いによって栄養価や食感が異なり、料理の向き不向きもあります。
こうした違いを知った上で用途や好みに合わせて選ぶと、豆腐の魅力がますます深まるのではないでしょうか。
<執筆者プロフィール>
山本 ともよ(やまもと・ともよ)
管理栄養士・サプリメントアドバイザー・食生活アドバイザー。
株式会社 とらうべ 社員。企業で働く人の食と健康指導。糖尿病など疾病をもった人の食生活指導など活動中
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供

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情報提供元: mocosuku

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