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「マクロビオティック」は日本発祥? どんな健康法?

2019-04-02 18:30:07


執筆:山本 ともよ(管理栄養士・サプリメントアドバイザー・食生活アドバイザー)
医療監修:株式会社とらうべ
マクロビオティックは、その普及団体である日本CI協会によると「“健康維持、体質改善、治病、長寿”を目的とする穀菜食を中心とした食事法」と定義されています。
昨今は「マクロビ」という略称も認知されるようになり、この食事法を取り入れたレストランや食品、マクロビを紹介する書籍などもよく目にします。
食事から健康を目指すマクロビオティックは、私たちの食生活の中でどのように活用することができるのでしょうか。

マクロビオティックとは


「マクロビオティック」は「マクロ=大きな」「ビオ=生命」「ティック=術・学」の3つの言葉から成り立っています。
長寿を目指すための生活方法を説く考え方で、とくに食生活については、人と生き物と環境のバランスを考えながら心身の健康を保つ食事を目指します。
マクロビオティックを提唱した日本CI協会創設者の桜沢如一氏は、日本に古くから伝わる食養生の考えをベースに、東洋思想の原理を加えた食事法を確立しました。
そして、海外にもこの手法を広めるべく「マクロビオティック」と命名し、ヨーロッパを中心として世界各国に普及していったのです。

マクロビオティックの原則


それでは、マクロビオティックはどのような特徴をもった食事法なのでしょうか。
3つの原則をご紹介します。

身土不二(しんどふじ)


「身体(身)と土地や環境(土)はバラバラではない(不二)」これはマクロビの基本的な概念です。
平たく言うと、その土地で育った旬の食材を摂ることで、環境に適応した身体が作られ健康な生活を送れる、という意味です。
たとえば、四季のある日本では、季節ごとの旬の食材に身体のバランスを保つ栄養素が含まれています。
「春は苦味、夏は酸味、秋は辛味、冬は脂肪を摂れ」という言葉があります。
言わんとするところは、春は山菜などの苦味を摂取して新陳代謝を活発にし、夏は酢をはじめとした酸味を使って食中毒を予防、夏バテに負けないよう食欲を増進。
そして、秋になると辛味を摂取して夏の疲れが溜まった身体を整え、冬には寒さに耐えうる体力や皮下脂肪をつけるため脂肪を摂る、ということです。
たとえば、夏野菜のトマトやキュウリは水分が豊富で熱を冷まします。
一方、冬野菜のゴボウやニンジンは水分が少ないので加熱調理して食べることが多く身体を温めます。
このように旬の食材を積極的に摂ることで健康維持が可能になります。

一物全体(いちぶつぜんたい)


食材は丸ごと全てでバランスがとれているため、全てを摂ることで身体のバランスもとれるという意味です。
たとえば、精米していない玄米、野菜や果物は皮や葉、種ごと、アクなどもできるだけ取り除かない…などを実践すると栄養素を余すことなく摂取できるという考えです。

陰陽の調和


「物ごとには陰と陽の側面があり、その調和をはかることでバランスが保てる」という考えです。
「陰」は拡散していく遠心的なエネルギーで身体を冷やす働き、「陽」は収縮していく求心的なエネルギーで身体を温める働きがあるとされています。
この陰陽の原理をもとにして、食材や調理法の性質を判断しながらバランスをとるように選択します。
なお、動物性食品の摂取については、基本的には控えることが勧められているようです。
身土不二や一物全体の考えに基づくと植物性食品が中心になりますが、丸ごと食べられる小魚は摂っても良いとされています。
重要なたんぱく質の摂取源である動物性食品の代わりに、植物性食品でたんぱく質が豊富な大豆製品や麩などを積極的に取り入れるていくことでバランスがとれるといいます。

簡単マクロビオティックレシピ


豆たっぷりの和風トマトリゾット


<材料>(2人分)
 炊いた玄米200g 玉ねぎ1/2個 にんにく1かけ
 菜種油小さじ1 ミックスビーンズ100g トマト缶1/2缶 
 豆乳100cc 水50cc 味噌小さじ1 青のり小さじ1
<作り方>
①深めのフライパンに油をしき、みじん切りにした玉ねぎとにんにくを炒める
②トマト缶、豆乳、水、玄米、豆を加えて弱火で煮る
③水分が減ってとろみが出てきたら火を止め味噌を加え混ぜ、器に盛り付けて仕上げに青のりを飾る
 夏野菜で身体を冷やす「陰」の食材であるトマトを煮込み、身体を温める「陽」として取り入れられるレシピです。
また、動物性食品が少ないと鉄分が不足しがちですが、青のりは植物性食品ながら鉄分を補える優秀食材です。

マクロビオティックの考えに基づく生活習慣


身体と環境のバランスを整える生活の実現には、何を食べるかだけではなく、その他の生活習慣においても大切な事柄があるとして、次のような点が強調されています。

よく噛んで、時間をかけて食べる


食事の量は腹8分目程度にとどめる


食べ物への感謝の気持ちを持つ


煙草は吸わない


お酒は少量にとどめる


睡眠や休息を十分にとる


毎日適度な運動をする


マクロビオティックを上手に取り入れよう


生活のしかたは人それぞれ違いますので、どんなによい生活習慣でも、自分の生活リズムに合っていなければ健康につながるとは言えません。
長寿法とされるマクロビオティックの考え方も、数多ある健康法の一つとして、自分の状況に合わせて活用すれば健康維持に役立つと思います。
興味を持たれた方は、マクロビの食事の3原則や心がけるべき生活習慣のなかから、まずは無理なく自分の生活に取り入れられる要素を実践してみてはいかがでしょうか。
なお、日ごろから自らの身体の状態をしっかりと把握し、マクロビを取り入れた後の経過が適切かどうか、見直しを繰り返すことが大切なポイントになります。
<執筆者プロフィール>
山本 ともよ(やまもと・ともよ)
管理栄養士・サプリメントアドバイザー・食生活アドバイザー。
株式会社 とらうべ 社員。企業で働く人の食と健康指導。糖尿病など疾病をもった人の食生活指導など活動中
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供

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情報提供元: mocosuku

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