運動中にむし歯リスクが高まるって本当? プロテイン飲料はどうなの?
2022-06-11 08:00:50
2022年6月4日から6月10日までは、歯と口の健康週間でした。6月は歯の健康を意識したい時期です。また、外で運動して汗をかく季節ですが、実は運動中にむし歯リスクが高まるといわれているのです。健康のために運動をしている人も多いと思いますが、それで歯の健康が損なわれてしまうのは避けたいですよね。日本大学教授 歯学部保存学教室修復学講座の宮崎真至教授に伺いました!
■運動中は「水」がいい?スポーツドリンクは…
2022年5月、モンデリーズ・ジャパンが実施した「“カラダ作り”と歯の健康に関する実態調査」では、対象となった現在カラダ作り(ダイエット、トレーニング、運動など)をしている全国の20-59歳の男女800名が、運動時にどのようなものを飲んだり食べたりしているかが分かりました。
「運動のとき、水分や栄養補給として、食べているものや飲んでいるものは?」と尋ねたところ、「水」が59.9%でトップに。次いで、「スポーツドリンク」が39.4%、「プロテイン製品(ドリンクや食品など)」が33.1%となり、「おにぎり(15.7%)」や「大豆・大豆製品(15.7%)」と、食べ物を摂取する人もいました。また、「なにも摂っていない」人は20.6%でした。
運動中の飲み物や食べ物について、選び方によってはむし歯リスクがあると宮崎教授は述べています。
「運動に伴って発汗することは、体から水分が出てしまうことを意味します。そのため、必要な水分を補給することは大切となり、これによって体の機能が維持されます。水分の補給には『水』が基本となります。これ以外にスポーツ飲料などがありますが、これらの多くはカルシウムイオンなどを含有しているので、歯を溶かすような効果は抑制されると考えられています。一方、果実ジュースなどは唾液が出にくい状況にあるスポーツときに摂取すると、歯の表面を溶かすような影響を生じるとされています。運動中の水分補給はとても大切ですが、どのようなものを摂取するかについても、少し気にすることが求められています」
ちなみに「運動中の炭水化物の摂取は、細菌により生じた酸で口内が酸性に傾くことから、これもまたむし歯を生じさせる原因につながります」とのこと。おにぎりなどを食べる人は注意が必要といえそうです。
■運動時のプロテイン飲料にむし歯リスクはある?
ところで、最近はプロテイン飲料を運動中や運動前後に飲む人が多いでしょう。プロテイン飲料に、むし歯リスクはあるのでしょうか?
「プロテインは、基本的にはむし歯に関連する物質ではないのですが、甘味料の種類として、砂糖が含有されている場合は注意が必要です。プロテイン飲料を飲みやすくするために、香料や甘味料が含有されていることが多いのですが、最近では人工甘味料を用いることが多いので、むし歯を生じさせることはほとんどないと思われます。
一方、プロテイン飲料を摂取した後に、お口の中をリフレッシュさせることは必要だと思います。口腔内の清涼感を得るものとして、洗口剤や歯みがきの実施なども、気分をリフレッシュするために行うことをおすすめします。またガムを噛むことなども、唾液の分泌を促進するところから、洗浄効果が得られる方法の一つと言えます」
ガム商品にはデンタル系と呼ばれる、特定保健用食品のモンデリーズ・ジャパンの「リカルデント」やロッテの「キシリトールガム」などがあるので、それらを利用してみるのもいいかもしれませんね。
ぜひ運動時のむし歯リスクを回避しながら、全身の健康を目指して運動しましょう。
【取材協力】
宮崎 真至教授
日本大学教授 歯学部保存学教室修復学講座
1987年日本大学歯学部卒業。1991年日本大学大学院修了(歯学博士)。1994年(~1996年)米国インディアナ州立大学歯学部留学。2005年日本大学歯学部保存学教室修復学講座教授。
【調査出典】
モンデリーズ・ジャパン「“カラダ作り”と歯の健康に関する実態調査」(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000004.000098234.html)
情報提供元: マガジンサミット