「大規模災害時における外国人観光客の避難」という課題について⼭梨県などが研究会を立ち上げ。研究成果の実装・具体化を目指す
2026-07-09 14:21:21

日々増え続ける日本への外国人観光客。観光地の経済面での活性化に加え、日本の文化を世界に知ってもらうという意味でも喜ばしい状況です。
一方で、激甚災害発生時における外国人観光客の広域避難や帰国に関わる法的な位置づけ、具体的な実務ガイドラインの整備は未だ十分とは言えない状況にあります。
このような課題を解決すべく、⼭梨県や内閣府、観光庁、新潟県、⻑野県、静岡県は、2026年7月2日 (木)、「大規模災害時における外国人観光客の超広域避難具体化研究会」の⽴ち上げを発表。当日は関係機関が参加するワーキンググループを開催しました。
大規模災害時における外国人観光客の超広域避難具体化研究会

激甚災害発生時における外国人観光客の避難や帰国に関する取り決めがいまだ不十分な状況を受け、これまで独自に防災対応⼒を研究してきた新潟県・⻑野県・静岡県・⼭梨県の4県は、研究成果を国家レベルの政策にすべく研究会を設立しました。
研究会座⻑・⼭梨県知事の⻑崎幸太郎氏は今回の研究会の冒頭に次のようにコメント。
「政府は2030年には外国人観光客を6,000万人にすることを目標としています。多くの外国人観光客が我が国を訪れる中、大規模災害が発生した際に、いかに安全を確保し、⺟国へお帰りいただくか、その対策は重要な課題であると認識しています。2024年に『外国人観光客の超広域避難に関する研究会』を⽴ち上げ、昨年9月には研究成果を取りまとめました。
その研究成果を踏まえつつ、対策の具体化を図る目的で、この研究会を創設します。大規模災害が起きた時、外国から訪れる方の安全を確保し、⺟国へ帰国してもらう。これは、お客様をお迎えする、おもてなしの考え方であるとともに、我が国の責務であり、日本人としての矜持でもあります。この研究会を創設することは重要な一歩になると考えています。」
「富士⼭噴火」を想定したシミュレーション

研究会で行われたワーキンググループでは、具体的な脅威として「富士⼭噴火」を想定し、⼭梨県富士河⼝湖町を最初のモデルケースに指定。外国人観光客の帰国支援に向けた課題の抽出や、具体的なルート、移送方法、広報手段に関して検討が⾏われました。
ワーキンググループには、東京大学名誉教授の藤井敏嗣座⻑のもと、関係省庁や自治体に加え、交通・インフラ事業者、各国大使館の担当者が参加。これまでの検討経緯や、富士⼭噴火時に想定される火⼭現象の解説、富士⼭噴火時を想定した広域避難について意⾒交換を⾏いました。
山梨県富士山科学研究所長・藤井敏嗣氏インタビュー

ワーキンググループの終了後、山梨県富士山科学研究所長・藤井敏嗣氏にインタビューを行いました。
―― 本日は富士河⼝湖町をモデルとした実践的な検討が始まりました。このワーキンググループを終えて、どのような手応え、あるいは課題を感じましたでしょうか。
藤井氏「今回は非常に限定的なシナリオで進めることになり、それに関する論点を提示したばかりですね。まだ消化するには時間がかかると思いますので、それぞれの機関、それぞれの国の大使館から意見を集めて、さらにブラッシュアップして次の回に備えたいと思います。」
――災害時に外国人観光客を含めたすべての人の安全を守り、円滑な避難や移動支援、情報発信を実現するために、今後どのような仕組みや連携が不可欠になるとお考えでしょうか。
藤井氏「ひとつは情報伝達における言葉の問題ですね。日本人に関してはちゃんと伝達ができていて、住民についてはハザードマップも含めて色々なことが周知されているわけですが、外国人に限らず観光客はそういった情報をほとんど知らないまま富士山周辺に来ることになりますよね。それらを踏まえた上で何ができるのか、どういう手法がいいのかということを考えたいと思います。」
――将来的な山梨モデルの全国展開に向けての意気込みをお聞かせください。
藤井氏「非常に限定的なシナリオに基づいて今回はやるわけですけども、そういうことを積み上げていかないと様々な災害の時にどうしたらいいかというのは分からないので、まずはスタートして徐々に問題点を洗い出していきたいと思います。」
国と自治体が連携する全国初の取り組みとなった「大規模災害時における外国人観光客の超広域避難具体化研究会」。もしもの時の前に、ぜひ仕組みづくりを完成させておいてほしいと思います。
情報提供元: マガジンサミット