来月開幕するJリーグで異色の選手がデビューイヤーを迎える。J3の高知ユナイテッドSC、松本光平(35)選手は視覚に障がいがあり、左目はかすかに見える程度、右目はほぼ見えていない。35歳でJリーグに初挑戦する意気込みをnews23の喜入友浩キャスターが取材した。
【写真を見る】視覚障がいのJリーガー「右目が見えなくてもサッカー出来る」松本光平“やっとスタートラインに立てた”
目が見えていた時に出来なかった目標が目が見えなくなってから達成出来た
Q.Jリーグのチームに加入が決まった時の気持ちは
松本光平:
Jリーグでプレーしたいってのは小学校からの目標でした…本当はもっと早くなる予定だったんですけど、ただこんな年齢になってしまいましたけど、それでもこうやってJの舞台でチャレンジ出来るというのはすごく嬉しい事ですし、目が見えていた時に出来なかった目標が目が見えなくなってから達成出来たという事はすごく意味のある事なんじゃないかなと思っている…自分としては本当に今、やっとスタートラインに立てたなぐらいに思っている。
ここからが本当の勝負だと思ってますし、今まで積み重ねてきた事があったおかげでこのスタートラインに立ったと思っているので、ここから年齢は35歳ですけど、まだまだやれると自分で思っているんで、しっかりとチームに貢献できるようにしたいなと思ってます。
右サイドバックなので「右目が見えなくてもサッカー出来るな」
ガンバ大阪ユースで将来を期待され高校卒業後、08年には海外でプロ選手に、様々な国で経験を積み、19年にはFIFAクラブワールドカップにも出場した。しかし、2020年。練習中にトーレニング用のチューブが両目に当たり、左目の視力は0.01以下、右目はほぼ見えない状態になった。
Q.怪我をした時の痛みを思い出す事は
松本:
痛いのは本当に人生で一番、痛かったですね。でもバーンってぶつけて「パラリンピックだ」って最初、思ったんですけど。ただ冷静に考えたら僕右サイドバックでこっち(右)タッチラインだけなんで、右目が見えなくてもサッカー出来るなって思ったので、とりあえず早く治療して、復帰して、またサッカー選手として復帰したいなって思ったので、本当に怪我した直後からすぐリハビリをしようと思ってました。
Q.ギャップはなかったのか?
松本:
怪我した時に、本当にいろんな方からメッセージをいただいたりとか、お話をさせて貰って、自分と同じように右目が見えなくなってしまったりとかっていう人の話とかも聞いて、そういった人たちがどういうリハビリをして、どういうふうに日常生活に戻ってという話とかを聞けた。
多分2年生くらいの男の子が事故で右目が見えなくなって、その子も片目だけど、サッカーがしたいからリハビリをしたけど、最初は真っ直ぐ歩けなかったりとか、ちょっと歩いたら気分が悪くなったりっていう状態だったんですけど、その後、『僕は3年かけてリハビリして、また今サッカーができるようになりました』というメッセージをもらって、自分もリハビリを始めた時に、まっすぐ歩けなかったりとか気分が悪くなったりってあったんですけど、そういった子供たちからもメッセージをもらって、自分もこういうふうになるんだなって予め準備ができたので、本当にいろんな人からの支えであったり、サポートがあったおかげでリハビリも乗り越えられたんじゃないかなとは思ってます。
右側は見えないけど、首を振ったら見える
3年のリハビリを経て再びピッチに帰ってきたが、現在はどう見えているのか?
Q.怪我をして見え方はどうなった
松本:
右目がもう全然見えてなくて、左目に関しては水の中に浸かっているような感覚。全部がぼやけて見えてたりとか、ボールがブレて見えて止まっててもブレ球みたいな感じで見えたりとか、二重、三重に見えたりとかっていう感覚ですかね。ただ、色とかシルエットは分かるので、サッカーするには全く問題なくて普通にプレー出来てます。<僕の目の見え方のメガネ>で人に(自分の)見え方を聞かれた時に口では分からないのでメガネを掛けて貰った方が伝わりやすい。
実際に松本選手の見え方を再現したメガネを喜入キャスターが掛けてみると…
「明らかに右側が全く見えない」と驚く。松本選手はそのわずかな視界でサッカーを続けてきた。
松本:
首を振ったり、体の向きを変える。右側は見えないけど、首を振ったら見える。
チームの指揮官も期待を寄せる。
秋田豊監督:
本当に見えてないのかなというのはすごく感じますね。プレーやってて違和感もないですし、普通に入って何の問題もなくやっているんで、そういう所はびっくりしたっていうのはありますね。(期待するのは)運動量。やっぱりうちのチームは若いチームなんで、やっぱり必要とされるんで、そこに対してはフィットしてくると思いますね。
自らの挑戦で伝えたい事
自らの挑戦で伝えたい事。松本選手は未来をしっかり見据える。
松本:
本当に日本全国に視覚障がいを持った子供たちもたくさんいてますし、目が見えないという事でスポーツを諦めている子たちもたくさんいるんで、自分がこういったJリーグの舞台であったり、プロの世界で活躍する事で目が見えなくてもこういった舞台に立てるんだよっていう姿は見せていきたいなとは思ってます。
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