宮崎謙介氏、山田太郎氏、広瀬めぐみ氏、宮沢博行氏…、不倫問題を報じられた議員は皆議員辞職または役職辞任の道を辿った。だが、玉木雄一郎氏は議員はもちろん、代表もやめないという。一方で事実は認めた上で逃げも隠れもせず行く先々で陳謝を繰り返し、当番組のスタジオにも予定通り姿をみせた。
【写真を見る】渦中の国民民主党・玉木雄一郎代表逃げず隠れず大いに語る…【報道1930】
103万円の壁が結論づいたら進退を考えるのか?
やはり、まずは聞いた…(議員は)やめないし(代表は)下りないですか、と。
国民民主党 玉木雄一郎代表
「…まずは103万円の壁を引き上げる、このことに全力を命懸けで取り組んでいく」
では謹慎とか他の考えはなかったのか。
国民民主党 玉木雄一郎代表
「生き恥を晒してでも今は103万円の引き上げの実現に全力を傾けていく」
隣に座る田崎史郎氏は、これまで不倫で辞職や辞任した他の議員の時には「公人としてあるまじき行為」という理由だったと厳しく指摘。
しかし玉木氏に代わる人材がいない党内事情で辞められないのだろうとした上で言った。
ジャーナリスト 田崎史郎氏
「103万円の壁についてはおそらく12月の中旬くらいに結論が出ますよね。そうしたらそこでご自分の進退についてお考えになるんですか?」
国民民主党 玉木雄一郎代表
「今は、103万円の壁に命懸けで取り組んでいく」
「生き恥を晒してでも103万円の壁の引き上げに命懸けで取り組んでいく」つもりであることは分かったが先のことについて玉木代表から回答は得られなかった。
この時期、玉木代表に話を聞くとなると“不倫と103万”ばかりで、その返答も同じことばかりになる。
そこで番組では別の気になる問題を取り上げた…。
尊厳死の法制化は、最後にして究極の意思決定の支援
玉木代表が選挙期間中、党首討論の中で語っていたことがある…。
「社会保障の保険料下げるためには我々は高齢者医療、特に終末医療のですね、見直しにも踏み込みました…尊厳死の法制化も含めて医療給付を抑えて若い人の社会保険料を抑えることが実は消費を活性化させる…」(10月12日党首討論)
まるで医療費を抑え若い人の消費を活性化させるために尊厳死を法制化すると取られかねない発言に批判が集まった。
直後に本人がSNSで誤解を解く説明をしているが、選挙期間中に尊厳死の法制化に言及した本音を聞いた。
国民民主党 玉木雄一郎代表
「(尊厳死の法制化について)書かなければ批判もされないんですが、私はあえて尊厳死の法制化について(政策パンフに)書き込んだ…医療費削減の観点でやるものではありません。あくまで自己決定をどうするのか…。つまり自分の送ってきた長い人生の最期をどのように送るのか、究極の意思決定の支援の在り方を制度化していくという位置づけです。
“私延命治療しないよ”っていう人いるんですけれど、いざその時になると家族、また本人もそれまでの意思と違うことを言う…。結果として延命も含め本人が望まない治療になってしまう…」
つまり、尊厳死を制度化し納得のいく最期を迎えられるようにする。
その結果、延命治療を望まない人の希望に反して使われてきた医療費が削減されるかもしれない。あくまでも結果として…。
これには中央大学の中北教授も頷く。しかし…
中央大学 中北浩爾教授
「今の説明は説得力がありますが、この間SNSを使った国民民主党の手取りを増やすとかいった若者向けの政策は危ういなぁと思ってる…不倫についてもネット上であふれているのは“財務省の陰謀”だっていうこと…そういうことを否定したほうがいいのではないですか」
巷では国民民主党が掲げる年収の壁が撤去されると7~8兆円の税収減といわれ財務省が頭を痛めているとの憶測から生まれた陰謀説が流れているようだ。
国民民主党 玉木雄一郎代表
「私思うのは“財務省岩論”、財務省は海の中の岩なんです。いつもそこにあるんですよ。政治の力が強い時、水位が高い時は岩は見えない。(その時は)財政の健全化とか単年度主義で淡々と仕事してます。かつて(財務省出身)の私のように…。例えば政治とカネの問題があって政治が調整力を失ってくると水位が下がって岩が見え始めるんです…」
つまり財務省はいつも同じ場所で同じことをしているので、財務省の存在が取り沙汰される時は、政治が力を失っている証拠だと玉木氏は言う。
企業・団体献金の禁止 野党では国民民主だけ慎重だが…
次の国会での本丸は政治とカネの問題にどう決着をつけるのか。
野党はほぼ企業・団体献金の禁止を求めている。
しかし国民民主党は「全党が賛成するならば反対する理由はない」という立場。
自民党が賛成するとは思えない中でのこの発言。真意は何なのか。
国民民主党 玉木雄一郎代表
「税理士会からは貰ってなくても税理士政治連盟からは貰っているんですよ。『政治団体を除く』と立憲が書いているのを取り除き、完全に抜け穴をふさぐ。そして法案を出した瞬間からでもうやめる。それなら野党で一致してやりますよ。
ただ衆院では通りますが参院で否決される。だからポイントは公明党なんです。公明党を引き込んで実現したいと考えている。だから与野党で協議会を開きましょうと言っていている」
「玉木さんの強みは裏で交渉する必要がない」
不倫でケチがついたものの、国民民主党が国会において自民党を中心とした与党でもなく、立憲民主党と手を組む野党でもない、第三極として存在感を持っていることは変わらない。
かつて、国民民主党同様に真に小さな党が与党でも野党でもない第三極として輝いたことがある。『みんなの党』といった。
2010年の参院選で10議席を獲得し躍進。与党に連立入りを打診されたが、これを拒否した。その代表だった人物から玉木代表にアドバイスがあるという…。
元『みんなの党』代表 渡辺喜美氏
「政策実現っていうのは私がさんざん言ってた言葉で、懐かしいなって思いがします(第三極として注目されていた頃)実は第1次安倍内閣の安倍さん、菅さん、塩崎さんと私の4人で年に2~3回居酒屋トークしたりゴルフしたりしてきた。特定秘密保護法案の修正案も、その会がたまたま企画されたんでそこで出したんですが、その時のやりとりが誰が漏らしたかは別として表に出ちゃった。江田さんたちに漏れちゃった…」
党の代表が裏で政権与党に通じていた。これに党内は反発。実質ナンバー2だった江田憲司氏をはじめとした14人が離党。翌年『みんなの党』は解散する。
元『みんなの党』代表 渡辺喜美氏
「内内で会っていた。…どうも安倍さんと渡辺近いな…何かありそう…党内に疑心暗鬼が生まれた…玉木さんの強みは裏で交渉する必要がない。私のように陰での交渉じゃなくて堂々と交渉できる。この強みを生かして真正面から協議をやって、そのプロセスを党内外に周知徹底してもらって…着実に実績を作ってもらいたい。私の失敗の教訓から…」
渡辺氏は最後に、自民党は来年7月、衆参ダブル選挙をする可能性が高いと話した。自民党はダブル選挙で負けたことがない経験則があるからだ。そのことからも国民民主党が自民に寄り過ぎると不利になる可能性もあるという。さらに…
元『みんなの党』代表 渡辺喜美氏
「大阪万博も控えてますのでそれにかこつけ維新の会を丸ごと取り込んじゃう(ことだってやりかねない)だからキャスティングボートが少なくとも参院選までは続くと思ったら大間違いで、維新がひっくり返って与党と与したりすると国民民主のレバレッジ(増大効果)は効かなくなる。28人が28人のままで終わっちゃう」
国民民主党 玉木雄一郎代表
「経験者ならではの非常に意義深いアドバイスです。我々もこれを頭に入れてやってますので…。“誰とやるか”ではなく“何をやるか”一つ一つ間合いを持って…」
さて不倫が“いい薬”となるか、致命傷となるか、ここからが玉木代表の正念場だ。
(BS-TBS『報道1930』11月12日放送より)
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