「呼吸法」で様々なパフォーマンスが劇的に変化します。
テストの本番に強くなったり、免疫力がアップしたり、さらには老化予防にも…
いつでもどこでもできる“最強”の「呼吸法」を、ハーバード大学医学部客員教授の根来秀行氏に教わります。
【写真を見る】「呼吸」で自律神経をコントロール!箱根連覇の“青学陸上部”も実践『4・4・8呼吸法』をハーバードDr.が伝授【ひるおび】
「呼吸」を制する者はすべてを制する!?
「呼吸」とは、生きていることの代名詞。
自律神経でコントロールされ、24時間休むことなく自動稼働しています。
自律神経には、活動につながる「交感神経」と、休息につながる「副交感神経」があり、2つのバランスを崩すと様々な体調不良の原因になってしまいます。
この自律神経を唯一コントロールできるのが「呼吸法」なのです。
ハーバード大学医学部 根来秀行客員教授:
呼吸法は自律神経を唯一意識的にコントロールできる方法ですので、血圧や心拍など諸々のものを自分で制御できる。特に“自然治癒力”を高めることができると注目されています。
“自然治癒力”はすべての人が生まれながらに持っている体を治す力のこと。
自然治癒力を高めるのに必要なものとして
▼適度な運動
▼適度な食事
▼十分な睡眠
▼適度な休息
が挙げられますが、すべてに通ずるのが「呼吸」です。
「呼吸法」は、脳やメンタルのコントロールにもつながります。
箱根駅伝で8度目の総合優勝を果たした青山学院大学も、約10年前から根来式呼吸法を取り入れており、レース前の最終調整として根来教授の講習会を実施しています。
福岡国際マラソンで12月に優勝を果たした吉田祐也選手や、卓球の水谷隼さん、競泳選手・メジャーリーガー・政治家など、様々な人が根来式呼吸法を活用しています。
鼻の空気の通りで「緊張しているか」が分かる!
まずは、片方ずつ指で鼻を押さえて、右と左、どちらの鼻が呼吸しやすいか確認してみてください。
実は「緊張がほぐれている」のは、左の鼻の穴の通りがいい人。
鼻呼吸は自律神経とつながっています。
右の鼻の穴の通りがいい⇒交感神経と左脳が優位で心身がアクティブ・緊張気味な状態
左の穴の方が通りがいい⇒副交感神経と右脳が優位で心身がリラックスしている状態
緊張しているときは左の鼻の穴からの呼吸を多めにするとリラックス状態に自分で持っていくことが可能なので、緊張しているときは、右の鼻を押さえて左で呼吸するといいそうです。
基本の【4・4・8呼吸法】
パフォーマンス向上や免疫力アップにつながる根来式呼吸法。
まずは、いつでもどこでもできる基本の【4・4・8呼吸法】をご紹介します。
【4・4・8呼吸法】
〔1〕楽な姿勢でイスに座り、鼻から息を吐ききる
〔2〕お腹を膨らませながら「4秒」かけて鼻から息を吸う
〔3〕「4秒間」息を止める
〔4〕お腹をへこませながら「8秒」かけて鼻から息を吐く
※〔2〕~〔4〕を繰り返す
※無理のない範囲で実施してください
ハーバード大学医学部 根来秀行客員教授:
時間がかかったとしても、5分経てば確実に副交感神経が優位になります。
横隔膜を、吐くときにゆっくりゆるめることがポイントです。横隔膜には自律神経が張り巡らされているので、ゆっくり張ってゆるませると、副交感神経優位に移っていきます。
恵俊彰:
寝る前にやるのがいいんですか?
根来秀行客員教授:
寝る前はとてもいいですね。
1回16秒なのですぐにできますので、日中もぜひやっていただければと思います。
受験生などは1時間に1回ぐらい、交感神経の暴走を防ぐためにおこなうといいです。
実際に【4・4・8呼吸法】を活用している青山学院大学の田中悠登選手に聞きました。
青山学院大学陸上競技部主将 田中悠登選手
「どうしても試合前に緊張してしまって、なかなか寝ようと思っても寝付けないことが多かったんですけど、4・4・8呼吸法を取り入れることによってスーッと入眠できるようになりました。
『緊張』って自分でコントロールしづらいものだと思うんですけど、しっかりと試合に向けて整えられるという感覚はあります。
仕事や就職活動、大学の試験などいろいろ緊張する場面が多いと思うんですが、継続して良いパフォーマンスを出すことにつながるかなと思います。」
さらに、続けることで血管にも変化が。
【4・4・8呼吸法】が動脈の血管壁の硬さに及ぼす効果を調査したところ、硬さが改善され上の血圧も低下。続けることで意識的に“動脈硬化リスク”を制御する可能性があることが分かりました。
集中力を高め能力を発揮できるようになる【5・5・5呼吸法】
【5・5・5呼吸法】は、副交感神経を高めて適度な緊張を保ちつつ、上がり過ぎた交感神経を整えてくれる。過酷な状況でも心身をコントロールできる呼吸法です。
不安や興奮、恐怖をその場で抑える効果があり、アメリカの軍隊やNASAでも使われているそうです。
根来秀行客員教授:
吐く時間が少し短くなることで、吸気と呼気が1対1になるんですね。それが交感神経もちょっと安定させてくれる。
【5・5・5呼吸法】
〔1〕楽な姿勢でイスに座り、鼻から息を吐き切る
〔2〕お腹を膨らませながら「5秒」かけて鼻から息を吸う
〔3〕「5秒間」息を止める
〔4〕お腹をへこませながら「5秒」かけて鼻から息を吐く
※〔2〕~〔4〕を繰り返す
※無理のない範囲で実施してください
安眠に導く【10・20呼吸法】
根来教授によると、最も理想的な睡眠時間は7時間です。
最初の3時間は成長ホルモンの分泌がピークで、その後の4時間で全身の細胞を修復します。
寝る前に呼吸法で究極のリラックス状態を作ることで、質の高い睡眠が可能となります。
【10・20呼吸法】
〔1〕下腹と肛門の力を抜いてお腹をゆっくりと膨らませながら「10秒」で鼻から息を吸う
〔2〕お腹をへこませながらゆっくりと「20秒」で鼻から息を吐く
「10秒・20秒」が大変な場合は、「7秒・14秒」や「8秒・16秒」など、吐く時間を長めに設定しつつ、無理のない範囲でおこなってください。
根来秀行客員教授:
「呼吸法」は人知れずできますし、誰でもできる、道具もいらない、お金もかからないのでぜひ今日から取り入れていただきたいと思います。
(ひるおび 2025年1月16日放送より)
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<プロフィール>
根来秀行氏
ハーバード大学医学部客員教授
総合内科専門医として国内外で活躍
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