北海道・帯広市では統計開始以来、全国最多となる半日で120cmの雪が降りました。日本列島に襲来している今シーズン最強にして、最長の寒波。広い範囲で災害級の大雪に警戒が続いています。
帯広駅の壁にも雪がへばりついていました。
「カメラマン:歩けないですね、歩道」
「歩けないです」
「カメラマン:お仕事ですか、これから」
「はい」
「カメラマン:お気をつけて」
「はい」
通行人が歩いているのは、歩道ではなく車道。
カメラマン
「歩道が雪で埋まっているため、道路を歩くしかない状況。救急車も悪路の中進んでいます」
「カメラマン:これから仕事ですか」
「そうなんです」
「カメラマン:どちらまで」
「稲田(町)まで」
「カメラマン:歩いてどれぐらい」
「1時間ぐらいですかね」
いたるところで車が立往生していました。ロータリーにバスを待つ客の姿はなく…。バス停の屋根にも、ベンチにも、分厚い雪が積もっていました。
大雪の中仕事に行く人もいれば、休む人も。
「カメラマン:雪かきやばいっすね」
「やばいっすよ、どうにもなんないですね」
「カメラマン:帯広住んで長い?」
「もう15年ぐらい」
「カメラマン:こんな雪は」
「ないっす、ないっす。今日は休みもらったんで、(雪かきを)のんびりやろうかな。これ処理したら1日終わっちゃう感じ。そんな簡単には終わらない」
市内のコンビニエンスストアでは、おにぎりやパン、さらにホットスナックまで、商品が1つもない状況だったといいます。
撮影者
「カップ麺を買い込んでる方が多かった。どんどん減っている状況」
入口が雪で塞がれ、臨時休業を余儀なくされた居酒屋。牛丼店の駐車場も雪で埋まっていました。
帯広市では、午前9時までの12時間に120センチの雪が降りました。12時間降雪量としては、統計開始以降、全国最多です。
これは3日夜から4日朝までの映像を早送りしたもの。車のフロント部分に雪が積もってきたかと思うと、地面にも雪が積もっていき、最終的には車体が完全に見えなくなりました。
同じような、かまくら状態の車はあちこちで確認できます。
埼玉から帯広に移住 かずさん
「朝起きて窓開けて第一声が『ナニコレ?』でしたね。今目の前にある雪の塊は車ですね」
思わず雪に飛び込んだのは、4年前に埼玉県から帯広市に移住した、かずさんです。
埼玉から帯広に移住 かずさん
「湿度がない、さらさら雪だったので、フカッて感じだった。本格的な雪かきしたのは初めてだったので、腰がめちゃくちゃ痛い」
野生動物や星空。北海道の美しい自然などの情報を趣味の写真で発信している、かずさん。帯広に移住した理由について、こう話します。
埼玉から帯広に移住 かずさん
「元々、北海道が好きで旅行に行っていたが、だんだん北海道の魅力に取り憑かれて。旭川とかも好きだが雪が多いので、雪があまり降らない地域、特に帯広が気に入った」
意外にも、例年は積雪が少ないという帯広市を含む十勝地方。その理由は。
気象予報士 森田正光
「日高山脈の西側、札幌も函館も雪が降るが、日高山脈の東側では雪が少ない。十勝平野はそもそも晴天率が高くて、よく晴れる。今回、帯広も本来なら雪雲は、この日高山脈によって止められる」
その十勝地方。実は先月まで雪不足に悩まされていました。
馬の運動不足解消が目的の「馬追い運動」。例年、雪煙をあげて馬が走りますが、先月は雪が積もっていなかったため、土煙を上げて走っていました。
家畜改良センター十勝牧場 益子知実さん
「馬の足跡がついたボコボコの状態で馬場が凍ってしまうと、走ったときに馬が脚をくじいてしまう」
また、帯広市では毎年、「おびひろ氷まつり」が行われますが…。
記者
「イベントが行われる広場なんですが、見てください、雪がなく芝が露わになっています」
雪不足が一転、歴史的なドカ雪に。その要因について森田さんは…。
気象予報士 森田正光
「北海道の南海上に低気圧が来た。そこに向かい湿った空気が南東の風で入り込み、日高山脈に当たり、かかることによって湿った空気が上昇して大雪を降らせた。このあたりの海水温が平年より2~3℃以上高い。いつもより水蒸気の補給が多かった。それが山脈に当たって大雪になった」
記者
「午後7時の福井駅前です。夜になって雪の降り方が激しくなりました。この雪のせいで恐竜も真っ白です」
今シーズン最強にして、最長の寒波。
また、愛媛県西予市でも夜になり、横殴りの雪となりました。愛媛県の一部地域では大雪警報が出されていて、6日にかけ、平地でも大雪となる見込みです。
朝から全国各地で大雪となった4日。51センチの積雪となった兵庫県香美町では、車の屋根に積もった雪が落ち、前が全く見えない状態に。すかさず停止し、ドライバーが手で雪を取り除きます。
この大雪の中で運転の練習をしている教習車の姿もありました。
世界遺産・白川郷がある岐阜県白川村。積雪は193センチに達しました。
インドネシアからの観光客
「(Q.どちらから?)インドネシアから来ました。雪を見るのは初めて。静かな大雪ですね」
普段あまり雪が降らない地域でも、強い寒気の影響が…。
猛暑で知られる高知県四万十市。四万十川にかかる赤い橋が白く染まっています。
鹿児島市でも、朝から市街地で雪が降りました。
鹿児島市民
「鹿児島は雪が降らないのでワクワクします」
「冷蔵庫の倍ぐらい寒い気がする」
今後、ピークとなる見込みなのが北陸や東北の日本海側。5日にかけて発達した雪雲が流れ込み、記録的な大雪となるおそれもあります。
喜入友浩キャスター
「金沢の観光名所・茶屋街です。また雪が強くなってきました。人気の観光地も、きょうは観光客がまばらです」
飲食店店員
「(Q.今年の雪は?)遅いです。クリスマスぐらいから大体は降り始めるが、それがあまり今年は無かった。ここに来てドカ雪」
雪景色の中で記念撮影を楽しむ人の姿もありましたが、観光客は…。
大阪からの観光客
「電車とか止まって、予定が狂っちゃった。移動が大変でした」
喜入友浩キャスター
「午後9時前の石川県内灘町です。雪がかなり強くなってきました。細かい雪ですが、風にあおられてかなりの量が降っています」
地震と豪雨で甚大な被害を受けた能登では、5日午後6時までの24時間で、多いところで平地で40センチ、山地で50センチの降雪が予想されています。
石川県輪島市では日中、大雪に備えてスーパーで食料品や日用品を買い込む人の姿が多く見られました。
輪島市民
「今晩からすごく雪が降ると言っているので、慌てて買いに来た」
住民が大雪への備えを進める一方で、いま頭を悩ませているのが「融雪装置」です。道路に埋め込まれたパイプから水をまいて雪を溶かす「融雪装置」。雪国での生活を支える上で欠かせないものなのですが…。
喜入友浩キャスター
「午後5時すぎの内灘町です。大きな雪の粒がかなりの量が舞っています。少しずつ地面にも降り積もり始めています。ただ、融雪装置は作動していません。降り積もる一方です」
深刻な液状化の被害を受けた石川県内灘町。地震で水をくみ上げる配管などが破損したため、現在も融雪装置がおよそ5キロにわたって使えなくなっているといいます。
町のいたるところに置かれた「使用不可」を伝える看板。
荒谷小枝子さん(83)
「(Q.本当ならこれがどうなる)ここから水が出る。だけど、いまは通らないから水が出ない」
そこで暮らす住民は、手作業で道路の雪をかき出します。
荒谷小枝子さん(83)
「これをとっておかないと、明日はカチンカチンで車が入らなくなる。80歳を超えているけど、やれることはやっておかないとね」
融雪装置が使えないのは、内灘町だけではありません。
同じように地震の影響で、奥能登の4つの市町では、およそ9割の区間で融雪装置が使えなくなっています。珠洲市などによれば、今シーズン中の復旧は難しいそうです。
内灘町民
「いつも融雪である程度、雪が溶けているが、今(融雪装置が)ない状況で走るのは初めてなので、慣れていない。積雪がこれ以上増えるようなら倒壊の危険性もあると思うので心配」
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