
4月22日は地球環境について考える日「アースデイ」です。
いま地球は気候変動、大気汚染、海洋汚染、水質汚染、資源の枯渇…など、多くの問題を抱えています。地球環境を悪化させないために、私たちに出来ることは何があるのでしょうか?
(アーカイブマネジメント部 萩原喬子)
止まらない海水温上昇
今回「お天気タイムマシン」で注目したのは「海水温の上昇」です。
2024年までの日本近海の海面水温(年平均)は100年あたり+1.33℃という上昇率です。これは世界全体での上昇率、+0.62℃と比較しても非常に高く、特に日本海のあたりでは+2.01もの上昇が観測されているのです。
気象予報士 森朗氏:
単純に計算すると水は空気の25倍もの熱を蓄える力があります。約2℃上昇しているということは約50℃の空気を暖めるだけの熱を蓄えているということになります。
この海水温の上昇は私たちの身近な自然にも大きな影響を与え始めていました。
100年で半減した流氷
今年(2025年)、紋別市の流氷接岸初日は2月14日でした。去年(1月26日)より19日も遅く、平年(2月8日)に比べても6日遅い記録となりました。
2020年3月に流氷を見に行った森さん。
気象予報士 森朗氏:
海じゃない。海岸線もどこだかわからない。氷の大地がずっと続いていて、圧巻の景色が広がっていました。
しかし、地元の人たちは近年の流氷の変化に気づいていました。
気象予報士 森朗氏:
地元の人の話では最近の流氷は“動く”と言っていました。昔の流氷は接岸するとガチっと動かなかったのに、近年はすぐに移動してしまったり、定着しにくい状況が続いているそうです。
さらに後から後からやってくる気配もないので、全体量が減っている印象を受けたそうです。
実際に、1892年(明治25年)から観測されている流氷のデータを見ると、過去100年でオホーツク海、北海道沿岸の流氷の面積や流氷期間は約半分にまで減少しているのです。
流氷の役割と失われる影響
北の海、特にオホーツク海では冬になると一面に流氷が押し寄せ、海がまるで大陸のようになります。この流氷によって気温が著しく下がるのですが、もし流氷が来なくなると、その地域は暖かいままとなり、北海道の気候にも変化が生じます。
気象予報士 森朗氏:
実は人にも大きな影響を与えるんです。海水温が上昇し流氷が来なくなると、流氷が運んでくる栄養分を吸収してプランクトンが育ち、それを小魚が食べ、大きな魚やアザラシ、トド、海鳥へと続く海の食物連鎖が崩れてしまいます。
その結果、この生態系の一部である漁業も大きな影響を受けることになるのです。
気象予報士 森朗氏:
オホーツク海や北極海の氷が減少すると、低気圧の通り道が変わり、その結果、日本などで異常気象が発生する可能性が高まります。
温暖化が進む一方で日本海側で大雪が降るなど、一見矛盾するような現象も、流氷の減少が引き金となっているかもしれません。
アースデイに考える、未来のためにできること
今年もTBSではアースデイ東京2025に参加します。
東京・代々木公園内のTBSテントでは「どうなる?気候変動~未来のおとなに今、できること~」をテーマに4月19日(土)は森朗氏が、4月20日(日)は森田正光氏が登場し、「気候変動」について皆さんと一緒に考えます。雲を作る実験やお天気原稿の作成などもあるので、地球環境を考えるきっかけにしてみてはいかがでしょうか。
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