
私立小学校の”お受験”をする家庭が増える中、農大が作った小学校が話題になっています。普通の学校と何が違うのか?
【写真を見る】志願倍率1位「農大の小学校」なぜ人気?体験授業や給食でも「自ら問いを立てる」【THE TIME,】
開校6年で「倍率12倍」の狭き門
創立134年の私立大学「東京農業大学」(東京・世田谷区)の隣に位置する『東京農業大学稲花(とうか)小学校』。
農大が運営する“農大の小学校”で、2019年開校の新しい学校ですが、2025年度は定員72人に対し受験者は881人!「倍率12.2倍」で“首都圏1位”という人気ぶりなのです。
一体どんな小学校なのか?朝、1年生の教室を訪ねると…
「えいえいおー!」
元気な掛け声とともに帽子姿で教室を出発した子どもたち。
そのまま、バスに乗り込み移動すること約40分。やってきたのは…
「先生カエルの鳴き声だ!」「絶対カエルだ!」
横浜市にある農大卒業生の田んぼ。ここを借りて、毎年1年生が【田植えの体験授業】をしているのです。
苗の扱いや植え方など教えてくれるのは、なんと農大の教授。
初めての田んぼに、子どもたちは大はしゃぎです。
「(苗が)立ったー」「カエルに触られている感じがする」「抜けなくなった」
泥に足を取られて大苦戦。それでも手伝ってくれる現役農大生からの「もっと苗が欲しい子は?」の問いかけに、大声で「下さい!」「下さーい!」
そして、田植え授業の1週間後には、教室でより深い知識を学びます。
ここでも教えてくれるのは、農大の教授です。
『東京農業大学』国際食糧情報学部・入江憲治教授:
「今日はですね稲をもっと知ってもらおうと思って、これから種をまきます」
常に育つ過程を見届けられるよう、2ℓのペットボトルで作った植木鉢に稲の苗ではなく種を植え、収穫まで長期観察。子どもたちも稲に興味深々です。
1年女子:
「いつくらいに採れるの?」
入江教授:
「9月かな。このあと芽が出るでしょ?芽が出て5cmくらいになったらずっと水を入れてあげるの。8月に花が咲くね」
親が求める「体験型授業」
他にも「自宅でのなめこ栽培」、北海道(網走)や沖縄(宮古島)の農場など全国にある「農大の施設」でも【体験授業】を実施。
この体験授業の多さこそが、“農大が小学校を開設した理由”なのです。
杉原たまえ校長:
「必ずしも農業の専門家になったり、農学を志す人材ばかりではなくてよいと思う。知識だけではなく自ら体験をして“色々な問いが立ってくる”。これに農学が非常に親和性が高い」
農業は目的ではなく“学ぶ手段”ー。
子どもが自分で疑問を持ち、それを検証・解決する方法を学ぶために農業を体験しているのです。
「体験から学ぶ力を育てたくてこの学校を選んだ」(2年生の保護者)
「色んなことに対する恐怖心はなくなっている。行動力がついてきたかな」(5年生の保護者)
実はいま、お受験を考える保護者の中では”体験式授業”を重視する流れがあるといいます。
知育と小学校受験対策『チャイルド・アイズ』教務責任者・葛西 香さん:
「体験授業を通して自分で考えたり他者と共同して、予測不能な時代に対応できる力をつけてあげたいという保護者が増えてきた」
予測困難な時代だからこそ、“知識だけでは将来を保証できない”という保護者側の不安もあるそうです。
「ご当地給食」も学びの場
また、【給食】も独特。
良質な食材や珍しい食材にこだわっていて、他の私立小学校の年間給食費(平均5万3601円)と比べ、約13万円と倍以上。
この日のメニューは「兵庫県のご当地料理」とのことで
▼とふめし
▼淡路島たまねぎのメンチカツ
▼やたら漬け
▼しろ菜のみそ汁
▼ニューサマーオレンジ
そして、食事中に生徒1人が教室の前でプレゼンを始めました。
6年女子:
「とふめしの長所を紹介します。栄養価が高いということです。大豆由来の栄養が豊富でイソフラボンやカルシウムなどが含まれています」
“給食”も学びの場にー。
「食育係」の子どもが、毎日献立の中で気になったことを事前に調べて発表。中には5年間係を続けているという子も。
6年女子2人:
「自分も食について学べてへーそうなんだとかそういうのが知れて楽しい」
「みんなにもっと食の大切さを知ってほしいなと思って」
農大の小学校には、“自分で学ぶ力を養う”子どもたちの姿がありました。
(THE TIME,2025年6月2日放送より)
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