
高市政権誕生からまもなく1か月。高い支持率を背景に無難なスタートを切ったかに見えましたが、総理自身の国会答弁をめぐり中国との関係が急速に悪化しています。問題となっているのは7日(金)の国会論戦。キーワードは「存立危機事態」です。高市総理のある答弁に中国の外交官が物騒な言葉で猛反発しました。
【中国のSNSに投稿相次ぐ】「中国のレッドラインに絶対踏み込んではならない」「日本に警告する:言動を慎め!」
総理答弁に「内政に干渉した」中国外務省が抗議表明
薛剣 駐大阪総領事のX(8日、当該ポストは削除済み)
「勝手に突っ込んできたその汚い首は一瞬の躊躇もなく斬ってやるしかない」
SNSにこう投稿したのは中国の駐大阪総領事。中国外務省も、日本が「内政に干渉した」と抗議表明。事の発端は、国会での総理答弁です。
立憲民主党 岡田克也元外務大臣(7日衆議院予算委員会より)
「存立危機事態、いわゆる限定した集団的自衛権の行使、これ以外の集団的自衛権の行使、限定のない集団的自衛権の行使は違憲。そういう考え方は維持されてますか」
高市早苗総理大臣(7日衆議院予算委員会より)
「憲法上、我が国による武力の行使が許容されるのは、いわゆる3要件を満たす場合の自衛への措置としての武力の行使に限られます。その時々の内閣が恣意的に解釈できるようなものではないと思っております」
「存立危機事態」とは? 自衛隊の武力行使の可能性も・・・
「存立危機事態」とは、日本が直接攻撃を受けていなくても、密接な関係にある他国が攻撃された際に、日本の存立も脅かされ、国⺠の生命などに明白な危険がある事態のこと。攻撃を受けていない同盟国などが武力で反撃できる「集団的自衛権」を行使する要件です。
存立危機事態について、最初は従来の政府答弁を繰り返していた高市総理。
その後、2024年の自⺠党総裁選で、中国による台湾の海上封鎖が発生した場合、「存立危機事態になるかもしれない」と発言したことを指摘され、台湾の海上封鎖が発生した状況下で、どのような場合に存立危機事態になるのかを問われると...
高市総理大臣(7日衆議院予算委員会より)
「台湾を完全に中国北京政府の支配下に置くようなことのために、どういう手段を使うか、それがやはり戦艦を使ってですね、そして武力の行使も伴うものであれば、どう考えても存立危機事態になりうるケースであると私は考えます」
中国が台湾に対して武力を用いた場合は「日本の存立危機事態」になりうるとして、自衛隊が武力行使に踏み切る可能性を示す発言でした。国会では、この答弁について追及され...
立憲民主党 大串博志衆院議員(10日衆議院予算委員会より)
「(存立危機)事態認定されれば防衛出動です。すなわち日本の国として戦争に入るということなんですよ。戦争に入るという判断を、これまでの内閣は公式には極めて慎重に判断して、発言も慎んできたんです。撤回・取消しは、しないんですか」
高市総理大臣(10日衆議院予算委員会より)
「従来としての政府の立場を変えるものではございません」
石破前総理「歴代政権は限定してこなかった」
「従来の政府見解と変わらない」として撤回はしませんでした。しかし、今回の発言の問題点について、この人は..
石破茂前総理(13日TBSラジオ『荻上チキSession』より)
「歴代政権は、“こういう場合は日本有事である”ということは限定してこなかった。抑止力を高めるために何ができますかってことを全部言っちゃったら、抑止力にもならない」
相手に、こちらの“手の内”を明かすことになるとして、存立危機事態の線引きを曖昧にしてきた歴代政権。台湾有事も念頭に、自衛隊はアメリカ軍と共同訓練を実施してはいるものの、そのアメリカでさえ、具体的な対応を明言しない「あいまい戦略」をとっています。
立憲民主党 大串博志衆院議員(10日衆議院予算委員会より)
「国名・地域名・事態・状況を具体的にお話になったうえで、存立危機事態にあたりうるということを言われている。総理の言葉で国会の中での発言、極めて重いです」
高市総理大臣(10日衆議院予算委員会より)
「最悪のケースというものを想定した答弁をいたしました」
2021年に「台湾有事は日本有事」と主張した安倍元総理も、総理在任中は具体的な発言をしていません。
高市総理大臣(10日衆議院予算委員会より)
「今後ですね、反省点としましては、特定のケースを想定したことにつきまして、この場で明言することは慎もうと思っております」
中国側は日増しに批判を強める 日本への「渡航自粛」呼びかける事態に
発言は撤回しなかったものの「今後は明言を慎む」と述べた高市総理。
わずか2週間前に首脳会談を行い、日中関係の重要性を確認したのも束の間、中国側は日増しに批判を強めています。
中国外務省 林剣報道官(14日)
「中国人の最後の一線に挑戦しようと妄想する者は、誰でも必ず中国側の正面からの痛撃を受け、14億の中国人が血肉で築き上げた鉄の⻑城の前で頭を打ち割られ血まみれになるだろう」
14日(金)には、中国外務省が国⺠に日本への渡航自粛を呼びかける事態となっています。
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