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「二季化」は肌にも悪影響、“冬はしっとり系”だけでは語れない…スキンケアの注意点を専門家が提言

国内
2025-11-28 09:00
「二季化」は肌にも悪影響、“冬はしっとり系”だけでは語れない…スキンケアの注意点を専門家が提言
猛暑が過ぎたらあっという間に冬…(写真はイメージ)
 猛暑の夏が終わったと思ったら、あっという間に冬に突入。昨今言われている“二季化”を肌で感じている人も多いのではないだろうか。春と秋が短くなる二季化は、体調にも影響するというが、もちろん“肌”にも大きなストレスを与える。長すぎる夏は紫外線や汗によるトラブル、冬は乾燥、そして急激な寒暖差も肌悩みの原因となる。とくにこれからは、その蓄積が表面化する季節。進む二季化にどう対処したらよいのか。スキンケアの専門家に聞いた。

【画像】一目でわかる!ゆらぐ肌に向いているケアは?

■多大なストレスにさらされる肌、紫外線の影響もあいまって「ダブルパンチ」状態

 「気温の変化で風邪をひくのと同じで、肌も多大なストレスにさらされます」と語るのは、クリニックフォア監修医兼ナチュラルスキンクリニック院長の皮膚科医・圓山尚(えんやま・たかし)先生。実際、近年は季節性と思われる肌トラブルを抱えた患者が増えているという。

 具体的にはどんな症状が現れるのか。まず、夏は皮脂の分泌が多くなり、ニキビができやすくなるのはご存じの通り。多量の汗はあせもや湿疹の原因にもなる。また、近年とくに注意が必要なのが「紫外線」だ。

 「近年、大気汚染対策によって空気中の塵などの物質が減少したことで、ここ数十年は紫外線が地上まで届きやすく、強くなったという調査結果があります。紫外線はシミやシワの原因にもなりますし、頭皮の湿疹や脱毛にもつながります」(圓山先生)

 一方で冬は、地域差はあるものの、乾燥が肌トラブルに繋がりやすい。

 「皮膚が乾燥すると、肌表面のバリア機能が低下します。ばい菌が入りやすくなって、皮膚の感染症やかぶれを引き起こしやすくなります。また、乾燥によるかゆみで掻きむしってしまうと、肌に大きなダメージを与えてしまいます」(圓山先生)

 さらに現在は、こうした極端な夏と冬をつなぐ緩衝材となっていた秋と春が短くなってしまった。これにより、急激な気候の変化による肌の負担増に加え、強まった紫外線により、「肌がダブルパンチを浴びている状態」なのだという。

 では、このように肌ストレスが増している今、どんなケアを心がけたらいいのだろう。

 「肌に水分を与えるモイスチャライザ―となる化粧水は、1年を通して同じでもかまいませんが、蓋をする乳液やクリーム、オイルは季節によって調整するといいでしょう。たとえば夏はさっぱり系の乳液などで軽く蓋をし、冬はちょっと重めのしっとりしたクリームなどでしっかり蓋をします」(圓山先生)

 ただし、日々の寒暖差が激しい昨今への対策として、こんなアドバイスも加える。

 「さっぱり系としっとり系の乳液やクリームなど、複数のタイプを用意しておき、その日の肌の調子に合わせて使い分けるのがおすすめです。肌の調子は個人差があるので、ご自身の使用感で選んでください。ただし、乾燥肌だからといって、猛暑日や湿度の高い日にも重めタイプをたっぷり塗ってしまうと、毛穴が詰まってニキビの原因になります。同じ理由で、脂性肌の人は冬もさっぱり系がいいでしょう。混合肌の人は、乾燥しやすい目元や頬は重めなタイプ、オイリーなTゾーンはさっぱり系と、部位ごとに使い分けるといいと思います」(圓山先生)

 現在の気候を考えると、単純に夏と冬、さっぱりとしっとり…という区別だけでは、対策が不十分と言えるのかもしれない。ただ、複数のスキンケア商品を取り入れる場合には、注意も必要だという。

 「ブランドが違う商品同士を組み合わせたとき、相性が悪いと刺激感が生じたり、かぶれる場合もあります。同じブランド内であれば安全性は検証済なので、組み合わせによる問題は生じません」(圓山先生)

■「ゆらぎを感じる」声も多数、二季化やSNSの影響でユーザーにも変化

 実際、このような気候変化を感じて対応している人は多いようで、先生は「スキンケアのリテラシーは昔に比べてかなり上がっている」と語る。たしかに、SNS等の影響もあってスキンケアの意識や知識は飛躍的に向上。年間を通じて、ドラッグストアやコスメショップには様々な商品が並ぶ。『肌ラボ』など多数のスキンケア商品を発売するロート製薬でも、「肌のコンディションに気を遣う人が増えていることを実感している」という。

 「今までは気に入った商品を繰り返し使う方が多かったのですが、最近は季節ごとの肌の変化に敏感になっている印象です。先日『肌ラボ』のイベントを開催した際も、お客様からは『急に寒くなって乾燥が気になる』『季節の変わり目で肌のゆらぎを感じる』との声が多数寄せられました」(ロート製薬 スキンケア製品開発部・松浦優香さん)

 たしかに、とくにこの時期は肌の状態が気になるもの。

 「敏感肌用の商品が増えて、認知度が拡がったこともあると思います。さらに二季化した現在では、ゆらぎやすさによる肌バリア機能の低下で、乾燥スパイラルのような状態に陥っている方も増えているととらえています」(ロート製薬 松浦さん)

 肌悩み多き二季化の今だけに、自分の肌が敏感に反応していると考える人も多いのだろう。それだけに、SNS等から盛んにスキンケア情報を取り入れる人もいるが、「気をつけなければならないこともある」と、松浦さんはアドバイスする。

 「SNSやYouTubeなどの情報からトレンド商品を選ぶ方も多いですが、肌に合うものは人それぞれ違いますし、時期によっても変わります。二季化と言いますが、肌は二季だけでは語れません。これからの時代は、自分の肌の変化に早く気づいて、それに合ったスキンケアを選ぶ力が必要になると思います。さらに、メーカーには、肌を環境変化に適応させ、ゆらぎにくくするための処方設計が求められると考えています。こうした環境変化をリスクではなく、肌の仕組みをもっと深く理解し、製品や研究が進化する機会として捉え、人々の生活に寄り添うスキンケアを追及していきたいと思っています」(ロート製薬 松浦さん)

 そしていよいよ、本格的に乾燥が厳しくなる冬が到来。乾燥というとヒアルロン酸を思い浮かべる人は多いだろうが、先の圓山先生によると「ヒアルロン酸には強みと弱みがあり、それを知って選ぶのがおすすめ」だという。

 「強みとしては人体に馴染みがよく、アレルギーやかぶれが起きにくいことと、1グラムで水6リットルという高い保水力です。また、他の成分とバッティングしにくいため加工しやすく、油になじみやすい性質を加えたものや、吸着しやすさを加えたものなど様々な種類が開発されています。一方で弱みは、ヒアルロン酸には多くの種類があり、高分子ヒアルロン酸は皮膚の内部に入らず浸透しにくく、皮膚の上に油のように膜を張った状態になってしまうこと。反対に低分子ヒアルロン酸は肌内部に浸透しやすいのですが、商品価格が高くなる傾向があります」(圓山先生)

 医療用目薬の開発で長年ヒアルロン酸の研究に取り組んできたロート製薬でも、注意点と開発の苦労を挙げる。

 「ヒアルロン酸は肌にうるおいを与える優れた成分ですが、一方で“菌のエサになりやすい”という特性があり、品質を安定して保つのがとても難しい成分です。さらに、ヒアルロン酸は粘度が高く、そのまま配合すると重たくベタついた使い心地になりがちです。こうしたハードルを越えるために、『肌ラボ』では独自の処方技術を盛り込んでいます。角質層までしっかり浸透する低分子ヒアルロン酸と、肌表面にうるおいの膜をつくる高分子ヒアルロン酸を組み合わせたり、品質試験を実施するなど、試行錯誤を重ねることでヒアルロン酸の“弱点”を克服し、モチモチと気持ちのよい使用感とうるおい実感を両立させています」(ロート製薬 松浦さん)

 一方、「低分子ヒアルロン酸は高価格」という点について聞くと、「これは本当に大変で…」と松浦さん。

 「”肌に良いものを、必要なだけ”という思いから、肌ラボでは “パーフェクトシンプル”を掲げて商品開発を行っています。高価格な低分子ヒアルロン酸もしっかり配合するために、本当に必要なものだけを厳選し、処方を完成させています。さらに容器、製造法などでも工夫を凝らし、高品質でありながら手に取りやすい価格が実現できるようにしています」(ロート製薬 松浦さん)

 ちなみに、その『肌ラボ』は現在、シリーズで6種類も展開。昔は白いボトルの『極潤』だけだった気がするが、シミ対策の『白潤』、プレミアム、エイジングケア、薬用…など、いつの間にか増えていた。

 「やはり老若男女、世代や人によっても悩みは違いますし、使用感も大事。お客様に最適なものをと考えていたら次々と増えて(笑)、また整理して…を繰り返し今に至ります。様々な種類のヒアルロン酸を開発してきたことに加え、エイジングケアではシワ改善・シミ対策に有効なナイアシンアミド、美白と抗炎症にはトラネキサム酸やグリチルリチン酸など、肌悩みに応じた成分をシリーズごとに配合してきました。“成分コスメ”として注目いただいており、かなり幅広い肌悩みに対応できるのではないかと思います」(ロート製薬 松浦さん)

 二季化という気候の変化により、毎日のスキンケアも見直すべきタイミングに来ているのかもしれない。必要以上にトレンドに惑わされるよりも、その日の環境や自分の肌の調子に合ったものを見極めるのが、賢い選択だろう。

(文:河上いつ子)

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