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百日せき急増…薬が効かない「耐性菌」原因か 途中でやめる・勝手に服用、ダメな薬の飲み方は?【Nスタ解説】

国内
2025-12-04 22:38

感染者が去年の20倍に及び、過去最多となっている「百日せき」。その流行に拍車をかけたといわれているのが、薬の効かない「耐性菌」です。


【写真で見る】「絶対にやめて!」な薬の飲み方


百日せきが流行 耐性菌が原因か

山形純菜キャスター:
流行が続いている「百日せき」。薬を飲んでも、症状がなかなか改善しないケースが増えているようです。


2025年7月から9月、国立健康危機管理研究機構などが患者の検体を採取・検査したところ、8割が「耐性菌」であることがわかりました。


国際医療福祉大学の松本哲哉主任教授によると、薬の効かない細菌である耐性菌は、これから流行する可能性のある「マイコプラズマ肺炎」や、食中毒をもたらす「黄色ブドウ球菌」や「大腸菌」の中にも存在するということです。

また、耐性菌は人から人への感染以外にも、私たちの体の中で生まれてしまう可能性もあるといいます。


「菌に余計な耐性を持たせる可能性がある」絶対NGな行為とは

山形キャスター:
薬局で「この薬は必ず5日間で飲みきってください」のように言われたことはありませんか?この言葉は、非常に重要です。


国際医療福祉大学の松本主任教授によると、抗菌薬によって細菌の増殖を抑制・殺菌することができます。一方、「症状も落ち着いてきたし…」と抗菌薬を途中でやめると、耐性菌が生まれてしまう可能性があるということです。


薬を途中で飲むのをやめてしまうと、死滅しなかった菌が私たちの体の中で増殖することがあるようです。また、薬から身を守ろうと皮を厚くしたり、薬物を排出しようとしたりするなど、飲んだ薬に耐性を持つ可能性があるといいます。


そして、薬の回数を守ることも大事ですが、勝手に飲む薬の量を減らさないことも重要です。たとえば2錠飲むよう言われたのに「1錠でいいんじゃないか」というのはダメです。

また、症状が出てきたからといって、家に残っていた薬を飲むこともダメだそうです。


松本主任教授は「菌に余計な耐性を持たせる可能性があるので、絶対にやめてください」と指摘しています。


古坂大魔王さん:
残っている薬を飲むのがよくないのは、古いからですか?


山形キャスター:
症状は同じでも、菌が違う可能性があるためで、用法・用量をしっかり守ることが大事です。


井上貴博キャスター:
このような行動で耐性菌を周囲に撒き散らしているかもしれません。大人は大丈夫でも、赤ちゃんは命のリスクに直結する可能性があります。


耐性菌の可能性があるときは? 検査は保険適用

山形キャスター:
薬を飲んでもなかなか症状が治まらないときには、どうすればいいのでしょうか。


松本主任教授によると、まずは医師に相談するようにしてほしいとのことです。耐性がない、別の抗菌薬を飲んで治療していくことになります。


ただ、いろいろな薬を試しても症状が改善しないこともあるそうです。そうしたときには、医師のすすめによって耐性菌を検査できるといいます。

検査結果が出るまでは、一般的に3日から4日。保険適用になり、費用は1000円から2000円ほどだということです。


耐性菌で年1000万人が死亡という推計も…

山形キャスター:
耐性菌の広がりは、世界でも「サイレントパンデミック」と呼ばれて警戒されています。


政府広報オンラインの推計によると、耐性菌が原因で、2019年には世界で約127万人が死亡しています。

このまま何も対策をしなければ、25年後の2050年には約1000万人が耐性菌が原因で死亡する可能性もあるようです。


耐性ができても薬があれば大丈夫と思われるかもしれませんが、舘田一博氏の研究によると、日本での抗菌薬の開発数は停滞しています。

その理由は、(1)開発費が膨大であること、(2)慢性疾患に比べ使用期間が短いこと、(3)耐性がつく度に作り変える必要があって大変といったものがあげられます。


松本主任教授も「耐性菌が増えれば、効果がある薬がなくなる可能性もある」としています。ですから私たちの体の中、そして人から人への感染で耐性菌を増やさないことが大事です。

そのためには一般的な感染対策である手洗いやうがい、マスクなども大事ですし、政府はワクチン接種も勧めています。


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<プロフィール>
古坂大魔王さん
お笑い芸人・プロデューサー
2児の父親として育児の様子を発信
SDGsを推進する活動も積極的に行う


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