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候補者の家族にまで…選挙で過激化するデマと誹謗中傷 減らすために何が?【報道特集】

国内
2026-02-14 20:10

今回の衆院選でも再び、デマや誹謗中傷が拡散されました。矛先は候補者本人だけではなく、その家族にまで向かいました。過激化する誹謗中傷は、どうすれば減らすことができるのでしょうか。


【写真を見る】岡田氏を「中国のスパイ」などと批判するネガティブな投稿や動画


「敗因は高市旋風とネット」36年にわたって国政を担った岡田氏

2月10日、民主党政権で外務大臣を務め、12期36年にわたって国政を担った岡田克也氏(72)が事務所の後片付けに追われていた。


中道改革連合 岡田克也 元外務大臣(72)
「国会質問だけは手をつけずに、そのまま持ち帰る。国会質問した時の資料」


日下部正樹キャスター
「この部屋を去るにあたって、どのような思いがしますか?」


中道改革連合 岡田克也 元外務大臣
「個人的なことはあまりないんです、選挙の結果だし。ただ、この選挙を見ていると本当に怖い、日本の将来が」


1990年の初当選以来、地元・三重で一度も負けたことがなかった岡田氏。


普段は各地の応援演説に飛び回るが、今回は後半、地元に張り付いての異例の選挙戦となった。


前回まで大差をつけてきた自民党の候補に、約9000票の差で敗れた。


落選した岡田克也氏
「敗因は二つ。一つは高市旋風。もう一つはネット。相当いろんなデマや批判が渦巻いていたが、十分対応することができなかった」


一体何があったのか。


「中国のスパイ」とのデマも “存立危機事態”国会審議で岡田氏に矛先 

SNSで岡田氏の名前を検索すると、「中国のスパイ」などと批判するネガティブな投稿や動画が数多く出てきた。


SNSの投稿
「岡田克也(スパイのクズ)」
「岡田!お前は!中国のスパイだろ!」


生成AIで作られたフェイク動画に、中国の国旗を背景にしたイラストも。こうした投稿が増えたきっかけは、2025年11月の国会審議だ。


岡田克也 議員(2025年11月)
「(存立危機事態)軽々しく『なるかもしれない』とか『可能性が高い』とか」「極めて問題だと思うんですが、総理いかがですか」


高市早苗 総理
「それがやはり戦艦を使って、そして武力の行使も伴うものであれば、これはどう考えても存立危機事態になり得る」


中国との関係が悪化するきっかけとなったこの発言について、“しつこく見解をただした岡田氏に問題があった”と批判の矛先が向いた。


岡田氏の親族の企業の中国出店や、過去の中国の党幹部との面会写真などが引き合いに出され、「中国のスパイ」とのデマがにわかに広がった。


拡散に使われていた写真は、2024年、超党派や党の議員団として訪中した時のもの。相手は閣僚級の人物で、自民党や諸外国の代表団とも会談している。


中道改革連合 岡田克也 元外務大臣
「なぜこれがスパイなんですかね。こういう人たちとしっかり話せる関係を作っておかないと、今回もそうですけど、何かあったときに話せる人がいない」
「もともと中国に行くと票が減るということは言われていた。だから台湾には多くの政治家が行く。中国に行くといろんな攻撃にネット上でさらされる。それがある意味、極限まで来たということではないか」


ネット上の攻撃を恐れて、国会のチェック機能が失われかねないと懸念している。


中道改革連合 岡田克也 元外務大臣
「これは萎縮効果を生む。ああいうことがあったんだと、国会質疑の中でそれを念頭に置いて質問しなきゃいけないなと。あるいは高市さんに対して厳しく出ると、影響受けるんだというふうになると、もう国会審議そのものが死んでしまう」


自民党の重鎮議員にも誹謗中傷 家族にまで

ネット上でのデマや誹謗中傷は自民党の重鎮議員にも及んだ。


大分3区で強固な地盤を誇ってきた自民党、元外務大臣の岩屋毅氏。11回目の当選を果たしたが、2位の中道候補に約7000票差まで迫られた。


自民党 岩屋毅 元外務大臣
「今まで経験したことがないような異質な選挙戦だった。背景にはネットの中で、事実に基づかない誹謗中傷が繰り返された」


SNS上の誹謗中傷
「媚中売国政治で、私欲のみに走った国賊、岩屋毅」
「日本を中国へ売り渡す」
「国賊の息の根を止めろ」


岩屋氏に対する誹謗中傷は、外務大臣になった2024年から激しくなっていった。中国人に対する観光ビザ緩和を打ち出したことがきっかけだった。


中国政府が日本人に対する短期滞在ビザを免除したことに伴う措置だったが、ネット上では「中国寄り」だと批判された。


また、イスラム教徒のための土葬を推進しているというデマも流された。


誹謗中傷の矛先は家族にまで…


SNS上の誹謗中傷
「最悪最低のクズゴミ家族」
「岩屋毅の国賊家族も追い出すべき」


選挙期間中、支援者への説明に多くの時間が割かれた。


自民党 岩屋毅 元外務大臣
「ネットの中で、根も葉もない、事実でもないことによる虚偽情報が本当に出回っていて」


投開票日の4日前には、こんな声明を出した。


選挙事務所が出した声明
「現在、SNS等において、事実に基づかない誹謗中傷や、人格を否定する表現が確認されています。これらの行為は、候補者個人の名誉を著しく傷つけるものであり、民主主義の健全な議論を損なうものです」


自民党 岩屋毅 元外務大臣
「SNSの発達は、民主主義の成熟進化に繋がっていくのではないかと期待をしておりました。言論の自由はできるだけ確保されなければいけないと思っています。包括的に規制をかけるべきであるとは思いません。ただし、せめて選挙期間中は、選挙の公正を確保するという観点から、合理的な一定の規制はあってもいいのかなと思っています」


「選挙期間中は間違いなく“バブル”」収益化の実態

「誹謗中傷が過激化する背景には政治系動画の収益化がある」。そう指摘するのは、YouTubeで数万人規模の登録者がいる男性だ。政治系チャンネルを運営している。


政治系ユーチューバー
「収益目的のチャンネルは信条というより、儲かるところを追いかけていく。『政治がどうなろうと知らないよ』というような感覚で収益目的で動画を作っている人も結構いる」
「どうしても極端な動画が多いと思う。それは賞賛するか批判するかのどちらかで、曖昧な意見というのはどうしても埋もれていってしまう」


村瀬健介キャスター
「『分断』みたいなものを増幅させるようにも思えるが?」


政治系ユーチューバー
「良いか悪いか“どっち派だ”みたいな形で動画が作られる。そういう意味では分断が生まれやすいという傾向がある」


選挙中、最も収益の上がるコンテンツは“高市氏を絶賛する動画”だったという。


政治系ユーチューバー
「選挙期間中は政治チャンネルにとって間違いなく『バブル』。2週間でがっつり稼ごうと思ったら、100万円とかは堅く、普通に稼げる」
「参院選であれば、参政党だったり国民民主党だったりと、ある程度、山はありつつ分散していた感じがあるが、今回は完全に『高市さん・自民党』というところがはっきりしていた」
「保守系っぽい視聴者が、参政党の動画や高市さんの動画を再生する傾向が高いが、分散していたのが(高市総理に)一極集中みたいなイメージ。すごく分かりやすくトレンドが来ていた」


男性は選挙期間中、一切動画を投稿しなかった。収益を目的とした過激な政治系動画が結果を左右しかねないと疑問を感じたからだ。


今回、政治系動画に新たな傾向が見られたという。それが…


政治系ユーチューバー
「衆院選のトレンドとしてはAI動画がめちゃくちゃ増えた」


出回った生成AIによる映像の中には、中道改革連合のロゴが改ざんされ、中国を想起させるものもあった。


村瀬健介キャスター
「なぜそんな動画をAIでわざわざ作る?」


政治系ユーチューバー
「それはもちろん収益のため。言ってみれば一番良いアングルで一番いい絵の動画を作れる。ある意味、収益にすごく繋がりやすい動画を作ることができる」


男性は「政治系動画の収益化を禁止すれば、問題のある過激な動画は減る」と主張する。


政治系ユーチューバー
「『政治で金儲け』ってイメージも悪い。そういうふうに何かを捻じ曲げるではないが、1を2にしていたり、2を4にしたりと影響を与えていることはあると思う」
「自分が応援している政党のものを出すとか、そういうことは『表現の自由』。お金儲けが根底にあってそういう問題が起きているのだったら、それを正すべきではないかと」


今回の選挙で見えてきた「課題」は他にもある。


多党化で問われる選挙制度

SNSの問題に加えて、選挙制度のあり方について見直しを求める声がある。政治学が専門の中北浩爾教授に聞いた。


中央大学法学部 中北浩爾 教授
「316議席、本来であれば330議席を取る結果というのは歴史的に見ても異例。中道が、自民党に対抗すべき政党が小選挙区で7議席となると、再起可能なのかと」


比例代表での得票の差は、自民党と中道で2倍程度だった。


だが、小選挙区での勝敗が全体の議席数を大きく左右した。2位以下の票はいわゆる“死に票”になった。


中央大学法学部 中北浩爾 教授
「比例を見ると自民党の半分ぐらいの票を中道改革連合が取ってる。その票は国会に反映されず『死票』になる部分が大きい。民主主義としては代表性という点で問題がある」


政権交代可能な2大政党制を目指す、現在の「小選挙区比例代表並立制」には、1994年に移行した。


2009年に民主党が自民党に圧勝して政権交代を果たしたが、2012年には自民党が大勝して政権に返り咲いた。


第二次安倍政権以降は野党が多党化し、“安倍一強”と呼ばれる状態が続いた。


中北教授は「野党がますます多党化している現在、選挙制度の見直しが必要だ」という。


中央大学法学部 中北浩爾 教授
「小選挙区がもたらす競争政党がないまま、一強だけが勝者総取りで立っている状況になりかねない。選挙制度のあり方が、今の状況の中で何がふさわしいかを考えるべきではないか」


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