国内
2026-04-24 09:10
近年の記録的な猛暑を受け、日焼け止め市場は年々拡大を見せている。かつては美容に関心の高い層の限定的なアイテムだったが、現在は男性や子どものUVケアも一般化。性別や世代を問わず、健康を守る「生活インフラ」へと変貌を遂げている。単に焼かないだけでなく、さまざまな付加価値が求められる日焼け止め。市場を牽引してきたある製品の転換点から、市場の今を紐解く。
【比較】日焼け止めでここまで!?トーンアップのビフォーアフター
■過去最大の伸びを見せる日焼け止め市場、高級・プチプラの二極化
近年、日本における夏季の気象環境は過酷を極めている。2025年には史上最高と言われる猛暑を記録し、今年も4月時点から夏日が続出。早々に今年の日焼け対策にいそしむ人は多いだろう。
こうした状況下、日焼け止めはもはや女性向けの「化粧品」ではなく、性別や年齢を問わない「外出時の標準装備」に。日焼け止めの市場規模もコロナ禍以降で拡大の一途をたどり、2025年は過去最大だった前年を上回る108%の伸長となった。
市場の変化で最も顕著なのは、ユーザー層の広がりだ。ロート製薬プロダクト&ブランドマーケティング部の高木史帆さん(高=はしごだか)も、「以前は抵抗感がある時代もありましたが、今は積極的に日焼け止めを使用する男性も増加しており、親御さんが早い段階から子どものUVケアを徹底させる傾向も強まっています」と語る。紫外線の悪影響が広く認知されるようになったことで、日焼け止めは世代や性別を問わず「健康を守るためのインフラ」に近い存在となったと言える。
生活者のリテラシー向上に伴い、求められる機能も多角化。「昔は『いかに焼けないか』というスペック競争でしたが、今は塗り心地の良さは前提として、石けんで落ちる手軽さやスキンケア効果まで、日焼け止めに求められるハードルは年々高まっています」(高木さん、以下同)とのこと。実際、現在は高付加価値を謳う「美容液級UV」や1万円を超える高級ライン、そして1000円前後のプチプララインがひしめく二極化が進んでいる。
この流れにおいて一つの転換点となったのが、2018年に登場した『スキンアクア トーンアップUVエッセンス』だ。今でこそ当たり前となった「肌を補正して見せる」という価値を日焼け止めに持ち込み、市場のトレンドを大きく塗り替えた。
2026年にシリーズ初のリニューアルを迎えた本商品だが、その原点は9年前に遡る。当時、日焼け止め市場は「UVカット力」と「使い心地」の二軸が主流であり、そこに「肌補正(トーンアップ)」という第三の軸を持ち込んだのは一種の賭けであった。この分野のパイオニアと言って差し支えないだろう。
当時、高木さんは、ユーザーが日焼け止めに対し「できれば塗りたくない」「面倒な作業」という消極的な態度であることを課題に感じていた。
「化粧水などスキンケアの話をする時は楽しそうなのに、日焼け止めの話ではテンションが落ちて、無関心な方が多かったのです。その温度差を埋め、日焼け止めをポジティブに語れるカテゴリーに変えたいという思いはありました」
■「色付きの日焼け止めなんて誰が使うの?」 懸念をよそに予想外の大ヒット
ヒントになったのは、そのころ話題になっていた「インスタ映え」だ。無関心層が多い日焼け止めカテゴリーにフォトジェニックな要素を掛け合わせ、パッケージも人に見せたくなる『映え』に振り切った。
社内では「色付きの日焼け止めなんて誰が使うの?」という懐疑的な声もあったというが、新しいことをやってみようと挑戦。こうして2018年、第1弾“ラベンダーカラー”が発売されると、「透明感」というトレンドを的確に捉えて市場を席巻。メーカー側の想定をはるかに上回る反響を得た。
「正直、ニッチな商品だと思っていた」という本商品だったが、発売前からSNSで拡散され、当初のターゲットである10代・20代を超え、幅広い世代が手に取ることに。「こんなのが欲しかった!」という若い世代から、肌を明るく見せたい大人世代まで、かつてないスピードで認知が広がった。日焼け止めのジャンルでこれほどの反響があったことは、同社でも初めてだったという。
しかし、その成功は強力な競合他社の参入を招く結果にもなった。ドラッグストアの棚には、瞬く間に似たコンセプトの後追い商品が並んだが、その点はどう受け止めているのだろうか。
「競合が増えるのは当然だと思います。その中で私たちが譲れないのは、使い心地と肌への配慮。スキンアクアのブランドとして肌にいいものを提供するのがポリシーなので、製剤にはとことんこだわっています。お悩みを解決しながら、同時に思わず手に取ってみたくなる日焼け止めとしてアップデートしていけたらと考えます」
『スキンアクア トーンアップUVエッセンス』の人気は発売から8年が経った今も持続しており、市場全体を上回る伸長。2025年にはロート製薬UV商品の中で売上1位となった。今回、絶好調の中で初の大規模リニューアルに踏み切ったのには、さらなる“課題”を解決したいという思いが込められている。
■日焼け止めの「白浮き」は敬遠されるのに…、なぜ新色「ホワイト」を投入?
最大のアップデートは、新たに搭載された「透明感ロック処方」だ。トーンアップ成分を配合する製品の宿命として、汗をかいた際にせっかくの仕上がりが崩れやすく、それが気になるという声があった。また、「肌はきれいに見えるけど、日焼け止めとしては心もとない」という声にも向き合い、“よれない・とれない・くずれない”処方を実現した。使い心地を良くしながら汗や水に強くするのはなかなかに至難の技であり、「開発ではとても苦労した」と振り返る。
さらに、今回のリニューアルで注目されるのが、新色の「ホワイト」。かつては「白浮き」と敬遠された色をあえて投入した意図を、高木さんはこう明かす。
「“色付き”が校則で禁じられている学生さんでも使えるよう、ギラつかず、控えめなトーンアップができるようにしました。また、落ち着きを求める大人層、何色を選べばいいか迷う方にも間違いない選択肢として支持されています」
いまや、各社がしのぎを削るほど注目度が高いジャンルとなった日焼け止め。「焼けにくさ」に加え、毎年さまざまな付加価値を持った商品が誕生している。しかも、他カテゴリーに比べても「新しいものを使いたくなる」特性があるらしい。トーンアップUVのパイオニアである同社も、もちろん安住してはいられない。
「日焼け止めは、次々に進化を求められるカテゴリー。私たちも、お客さまにとって魅力的な技術を開発し、新鮮に受け取っていただけるようにアップデートしていく計画です。また、日焼け止めは特別な時だけではなく、毎日使っていただくことが重要。機能や技術だけでなく、日常の中で無理なく使い続けられるバランスは大切にしています」
日焼け止めは朝に塗って終わりではなく、こまめに塗り直すことで効果を発揮することはよく知られている。高木さんも、「正しく塗って、正しく塗り直すことが大事。スキンアクアは塗りなおしても厚塗りにならず、使い心地の良さが続きます。たっぷりな容量なので、外出先でも顔、体に惜しみなく使っていただければ」とアドバイスを送る。
正しい使い方については、メーカー側もユーザーへの啓蒙に力を入れている。4月24日からはドラッグストア・トモズ(4店舗)での体験施策として、テスターや塗り残しが確認できるUVカメラ付きミラーを通じて、塗り方や塗り直しの重要性を実感できる取り組みを展開予定だ。また、4月25日(土)26日(日)に東京・渋谷にて、本商品をデコレーションするイベントも実施する。
「選び方、正しい使い方に不安があるという声はよくいただくので、実際に使って良さを実感していただく機会になればと思っています。デコレーションイベントでは、トーンアップUVを使いたくなる楽しさをお伝えできたら。これまで関心のなかった方にも、接点を作っていけるような機会にできたらうれしいです」
「焼かない」という守りの機能から、肌を「魅せる」という攻めの機能へ。日焼け止めを巡る価値観は、この10年で劇的な変化を遂げた。しかし、市場が成熟し選択肢が増えるほど、ユーザーは単なるスペックの高さだけでなく、自分の生活にどう馴染むかという実用性と納得感を重視するようになっている。過酷な猛暑に立ち向かう現代において、日焼け止めが単なる流行を超え、日常に不可欠な「インフラ」そして「文化」としてどう定着していくのか。メーカー各社のさらなる挑戦が続く。
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こうした状況下、日焼け止めはもはや女性向けの「化粧品」ではなく、性別や年齢を問わない「外出時の標準装備」に。日焼け止めの市場規模もコロナ禍以降で拡大の一途をたどり、2025年は過去最大だった前年を上回る108%の伸長となった。
市場の変化で最も顕著なのは、ユーザー層の広がりだ。ロート製薬プロダクト&ブランドマーケティング部の高木史帆さん(高=はしごだか)も、「以前は抵抗感がある時代もありましたが、今は積極的に日焼け止めを使用する男性も増加しており、親御さんが早い段階から子どものUVケアを徹底させる傾向も強まっています」と語る。紫外線の悪影響が広く認知されるようになったことで、日焼け止めは世代や性別を問わず「健康を守るためのインフラ」に近い存在となったと言える。
生活者のリテラシー向上に伴い、求められる機能も多角化。「昔は『いかに焼けないか』というスペック競争でしたが、今は塗り心地の良さは前提として、石けんで落ちる手軽さやスキンケア効果まで、日焼け止めに求められるハードルは年々高まっています」(高木さん、以下同)とのこと。実際、現在は高付加価値を謳う「美容液級UV」や1万円を超える高級ライン、そして1000円前後のプチプララインがひしめく二極化が進んでいる。
この流れにおいて一つの転換点となったのが、2018年に登場した『スキンアクア トーンアップUVエッセンス』だ。今でこそ当たり前となった「肌を補正して見せる」という価値を日焼け止めに持ち込み、市場のトレンドを大きく塗り替えた。
2026年にシリーズ初のリニューアルを迎えた本商品だが、その原点は9年前に遡る。当時、日焼け止め市場は「UVカット力」と「使い心地」の二軸が主流であり、そこに「肌補正(トーンアップ)」という第三の軸を持ち込んだのは一種の賭けであった。この分野のパイオニアと言って差し支えないだろう。
当時、高木さんは、ユーザーが日焼け止めに対し「できれば塗りたくない」「面倒な作業」という消極的な態度であることを課題に感じていた。
「化粧水などスキンケアの話をする時は楽しそうなのに、日焼け止めの話ではテンションが落ちて、無関心な方が多かったのです。その温度差を埋め、日焼け止めをポジティブに語れるカテゴリーに変えたいという思いはありました」
■「色付きの日焼け止めなんて誰が使うの?」 懸念をよそに予想外の大ヒット
ヒントになったのは、そのころ話題になっていた「インスタ映え」だ。無関心層が多い日焼け止めカテゴリーにフォトジェニックな要素を掛け合わせ、パッケージも人に見せたくなる『映え』に振り切った。
社内では「色付きの日焼け止めなんて誰が使うの?」という懐疑的な声もあったというが、新しいことをやってみようと挑戦。こうして2018年、第1弾“ラベンダーカラー”が発売されると、「透明感」というトレンドを的確に捉えて市場を席巻。メーカー側の想定をはるかに上回る反響を得た。
「正直、ニッチな商品だと思っていた」という本商品だったが、発売前からSNSで拡散され、当初のターゲットである10代・20代を超え、幅広い世代が手に取ることに。「こんなのが欲しかった!」という若い世代から、肌を明るく見せたい大人世代まで、かつてないスピードで認知が広がった。日焼け止めのジャンルでこれほどの反響があったことは、同社でも初めてだったという。
しかし、その成功は強力な競合他社の参入を招く結果にもなった。ドラッグストアの棚には、瞬く間に似たコンセプトの後追い商品が並んだが、その点はどう受け止めているのだろうか。
「競合が増えるのは当然だと思います。その中で私たちが譲れないのは、使い心地と肌への配慮。スキンアクアのブランドとして肌にいいものを提供するのがポリシーなので、製剤にはとことんこだわっています。お悩みを解決しながら、同時に思わず手に取ってみたくなる日焼け止めとしてアップデートしていけたらと考えます」
『スキンアクア トーンアップUVエッセンス』の人気は発売から8年が経った今も持続しており、市場全体を上回る伸長。2025年にはロート製薬UV商品の中で売上1位となった。今回、絶好調の中で初の大規模リニューアルに踏み切ったのには、さらなる“課題”を解決したいという思いが込められている。
■日焼け止めの「白浮き」は敬遠されるのに…、なぜ新色「ホワイト」を投入?
最大のアップデートは、新たに搭載された「透明感ロック処方」だ。トーンアップ成分を配合する製品の宿命として、汗をかいた際にせっかくの仕上がりが崩れやすく、それが気になるという声があった。また、「肌はきれいに見えるけど、日焼け止めとしては心もとない」という声にも向き合い、“よれない・とれない・くずれない”処方を実現した。使い心地を良くしながら汗や水に強くするのはなかなかに至難の技であり、「開発ではとても苦労した」と振り返る。
さらに、今回のリニューアルで注目されるのが、新色の「ホワイト」。かつては「白浮き」と敬遠された色をあえて投入した意図を、高木さんはこう明かす。
「“色付き”が校則で禁じられている学生さんでも使えるよう、ギラつかず、控えめなトーンアップができるようにしました。また、落ち着きを求める大人層、何色を選べばいいか迷う方にも間違いない選択肢として支持されています」
いまや、各社がしのぎを削るほど注目度が高いジャンルとなった日焼け止め。「焼けにくさ」に加え、毎年さまざまな付加価値を持った商品が誕生している。しかも、他カテゴリーに比べても「新しいものを使いたくなる」特性があるらしい。トーンアップUVのパイオニアである同社も、もちろん安住してはいられない。
「日焼け止めは、次々に進化を求められるカテゴリー。私たちも、お客さまにとって魅力的な技術を開発し、新鮮に受け取っていただけるようにアップデートしていく計画です。また、日焼け止めは特別な時だけではなく、毎日使っていただくことが重要。機能や技術だけでなく、日常の中で無理なく使い続けられるバランスは大切にしています」
日焼け止めは朝に塗って終わりではなく、こまめに塗り直すことで効果を発揮することはよく知られている。高木さんも、「正しく塗って、正しく塗り直すことが大事。スキンアクアは塗りなおしても厚塗りにならず、使い心地の良さが続きます。たっぷりな容量なので、外出先でも顔、体に惜しみなく使っていただければ」とアドバイスを送る。
正しい使い方については、メーカー側もユーザーへの啓蒙に力を入れている。4月24日からはドラッグストア・トモズ(4店舗)での体験施策として、テスターや塗り残しが確認できるUVカメラ付きミラーを通じて、塗り方や塗り直しの重要性を実感できる取り組みを展開予定だ。また、4月25日(土)26日(日)に東京・渋谷にて、本商品をデコレーションするイベントも実施する。
「選び方、正しい使い方に不安があるという声はよくいただくので、実際に使って良さを実感していただく機会になればと思っています。デコレーションイベントでは、トーンアップUVを使いたくなる楽しさをお伝えできたら。これまで関心のなかった方にも、接点を作っていけるような機会にできたらうれしいです」
「焼かない」という守りの機能から、肌を「魅せる」という攻めの機能へ。日焼け止めを巡る価値観は、この10年で劇的な変化を遂げた。しかし、市場が成熟し選択肢が増えるほど、ユーザーは単なるスペックの高さだけでなく、自分の生活にどう馴染むかという実用性と納得感を重視するようになっている。過酷な猛暑に立ち向かう現代において、日焼け止めが単なる流行を超え、日常に不可欠な「インフラ」そして「文化」としてどう定着していくのか。メーカー各社のさらなる挑戦が続く。
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