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男女のシミに違いあり? 「できると濃く根が深くなる」“男性のシミ対策”最前線

国内
2026-04-30 09:10
男女のシミに違いあり? 「できると濃く根が深くなる」“男性のシミ対策”最前線
シミを気にする男性
 「メンズメイク」や「男性美容」のキーワードが広がり、SNSや動画を通じて男性が美容情報に触れる機会も増えた。一方で、そうした変化がすべての層に広がっているわけではない。小林製薬によると、いまなおスキンケアアイテムを使っていない男性は約65%にのぼるという。そんな中、あらためて注目されているのが「シミ」。同社によると、男性のシミは女性に比べて濃く、40代頃から大きなシミが目立ちやすくなる傾向がみられたという。なぜ、男女でこうした違いが生まれるのか。背景にある肌環境や生活習慣、そして男性のシミケアをめぐる考え方の変化について、小林製薬の担当者に話を聞いた。

【画像】男性の方が濃くて深い…男女のシミの違いは?

■「男性のシミは女性と少し違うのでは」違和感から始まった研究で見えてきた“性質”の違い

 “シミケア”は、これまでどちらかといえば女性の悩みとして語られることが多かった。実際、ドラッグストアの棚を見ても、長らく主役だったのは女性向けの商品だ。そうした中で、小林製薬が男性向けのシミ対策シリーズとして「メンズケシミン」を発売したのは2014年。当時は、男性向けスキンケア市場そのものがいまほど大きくはなく、男性の肌悩みが社会的なテーマとして扱われる場面も多くはなかった。そのため、当初は成分も含めて、女性向けのシミ対策と同様の発想をベースに開発が進められていたという。

 だが、実際に男性のシミを見ていく中で、担当者の中には「女性のシミとは異なるのではないか」と違和感があった。

「研究を続ける中で、男性のシミは女性のシミとは少し性質が違うのではないかと、ずっと感じていました。もしかしたら、シミの発生要因そのものに違いがあるのかもしれない。そんな仮説を持つようになったんです」(研究担当)

 まず行ったのは、20~50代の男性87人の顔写真を画像解析装置で撮影し、シミの大きさや分布を調べることだった。すると、40代から急激に大きなシミが増える傾向がみられ、さらに、20~60代の男女それぞれ100人以上の顔写真をもとに、シミの「濃さ」を解析したところ、女性より男性のほうが、シミが濃い傾向があることもわかったという。

 研究の過程で着目したのが、炎症性物質「プラスミン」の存在だ。シミは一般に、紫外線や摩擦、ストレスなどの刺激によって炎症が起こり、それがメラニン生成のシグナルへとつながることで生じるとされる。そこで、40~50代男性の肌について、シミがある部分とない部分を比較したところ、シミがある部分ではプラスミン活性が高いという結果が得られた。

 さらに、シミのない男女の肌でもプラスミン活性を比較したところ、女性に比べて男性の肌のほうが、炎症が起こりやすい状態にある可能性もみえてきたという。

■ゴシゴシ洗顔に髭剃り…何気ない習慣が刺激に ダメージが蓄積しやすい男性の肌

 では、なぜ男性の肌はそうした状態になりやすいのか。その背景として挙げられるのが、日常的な生活習慣。男性はスキンケアをあまり行わない人が多く、日焼け止めを使う習慣も女性ほど一般的ではない。そのうえ、毎日の行動の中に肌への刺激が入り込みやすいという。

「女性は“なるべく擦らないようにする”といったスキンケアの知識を、自然と持っている方が比較的多い印象です。一方で男性は、顔を洗うときも力強くゴシゴシとこすっている人が少なくありません。それに加えて、毎日の髭剃りも肌にとっては刺激になります」(研究担当者)

 こうした刺激の積み重ねが、炎症を引き起こしやすい肌環境につながっているという。特別なことをしていなくても、何気ない習慣の中にシミの要因が潜んでいる可能性があるというわけだ。

 ここには、世代ごとの生活背景も関係している。いま40代以上の男性の多くは、若い頃から日焼け止めや保湿を日常的に使う習慣がなかった世代でもあり、外遊びやレジャー、スポーツで日焼けをしても、その後のケアを特にしないことが当たり前だった人も多い。近年は若年層を中心にスキンケアへの抵抗感が薄れてきた一方で、中高年層では「肌は気になるが、何をすればいいのかわからない」という層が依然として厚く、男性のシミの問題は、単に個人の意識の問題というより、長年“男性はそこまで肌に手をかけなくていい”とされてきた空気の中で育った世代の課題とも言えそうだ。

 さらに研究を進める中でみえてきたのが、男性のシミの“構造”。担当者によると、男性のシミでは、肌内部で表皮細胞が折りたたまれるように変形し、複雑に入り組んだ形状が観察されたという。こうした構造は、メラニンがたまりやすい状態につながっている可能性があり、それが結果としてシミが濃く見えやすい背景のひとつではないかと考えられている。

 一方で、女性のシミには紫外線だけでなく、妊娠やストレスなどを背景としたホルモンバランスの変化が関係する「肝斑」など、別の要因が絡むケースも多い。特に30代後半から50代にかけて現れやすいとされ、男性のシミとは異なる背景を持つことが少なくない。つまり、ひと口に“シミ”と言っても、男女でその成り立ちや目立ち方には違いがある。

 同社では男性のシミや肌状態、生活習慣と真摯に向き合い、2019年に処方の見直しを行った。男性のシミが炎症性物質プラスミンと深くかかわっている可能性に着目し、プラスミン活性を抑えてシミを防ぐ有効成分トラネキサム酸を配合。女性向けと同じ発想の延長ではなく、男性特有の肌環境を踏まえた方向へと舵を切ったという。

■“できてから”ではなく“気づいたとき”に 男性のシミ対策は予防発想へ

 もっとも、男性のシミをめぐる状況は、ここ数年で大きく変わってきた面もある。コロナ禍でオンライン会議が普及したことによって、自分の顔を画面越しに見る機会が増え、肌悩みを意識する男性も増えた。以前は鏡を見る時間が限られていた人でも、カメラ越しの自分の顔を繰り返し見ることで、「こんなところにシミがあったのか」と初めて気づくケースもあったという。

 加えて、韓国アイドルやSNSの影響もあり、美容やスキンケアに対する心理的なハードルは、若い世代を中心に以前より下がってきている。実際、かつてはスクラブ入りや清涼感の強い製品が“男性向け”の定番として受け入れられていたが、最近では女性向けの化粧水や乳液を使う男性も増えてきており、男性美容市場が拡大していると言われる背景には、こうした「見られる意識」と情報接触環境の変化があるのだろう。

 男性がシミケアを始めるタイミングについて、担当者は「シミの不安に気づいたとき」だと話す。

「シミケアを始めるのに、早すぎるや遅すぎるとかはありません。実際には、『これ以上濃くしたくない』『大きくしたくない』という思いでケアを始める方や、シミができてから気になり始めるという方もいらっしゃいます。だからこそ、自分の肌に不安を持ったそのタイミングが、始めどきなのだと思います」(マーケティング担当者)

 こうした考え方の変化は、商品づくりにも反映されている。2026年3月に行われた「メンズケシミン」のリニューアルでは、男性特有の肌環境を踏まえ、使い続けやすさや使用感に配慮した処方設計が見直されたという。とはいえ、ここで重要なのは、単に商品が新しくなったということ以上に、シミ対策の捉え方が“年齢を重ねてからの特別なケア”から、“これから先を見据えた予防的な発想”へと変わってきている点にある。

 その象徴のひとつが、パッケージデザインの見直しだ。これまではシミのある男性のイラストを採用していたため、「すでにシミがある人のための製品」と誤った印象を持たれやすかったという。だが、実際にはシミができる前の対処としてケアに取り入れてほしいという考えがあり、より幅広い層が手に取りやすい方向へと改めた。

 ただ、担当者が繰り返し強調するのは、「まずは何かしらスキンケアを日常に取り入れてほしい」という点だ。必ずしも最初から多くのアイテムを揃える必要はなく、使いやすいものを一つでも生活の中に入れていくことが大切だという。

「何でもいいので、まずは使ってみて、日常の中で習慣化していただくことが大事だと思っています。そこから自分の肌に関心を持つようになって、『こういう悩みには何がいいんだろう』と考えるきっかけにもなります。男性の肌は、何もしていないつもりでも日々刺激を受けています。だからこそ、シンプルでもいいので、ケアを始めること自体に意味があると考えています」(マーケティング担当者)

 男性のシミは、気づいたときにはすでに進んでいるように感じられることもある。だからこそ、従来のように“見えてから考える”のではなく、“違和感を覚えた時点で向き合う”という姿勢が、今後はより重要になっていくのかもしれない。

※シミ対策:メラニンの生成を抑え、しみ、そばかすを防ぐこと

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