国会では衆参ともに憲法改正に向けた議論が本格化していますが、着地点は不透明なままです。議論は今後、どう進んでいくのでしょうか?
【写真を見る】高市総理「当たり前の憲法改正もやらせてください」自民党が目指す“憲法改正4項目”
なぜ今?高市総理「憲法改正」に改めて意欲
高柳光希キャスター:
憲法改正への意欲を示している高市総理は、このような発言をしています。
高市総理(4月12日・自民党大会)
「立党から70年、時は来ました。国会においては、結論のための議論を進めてまいりましょう。そして改正の発議について、なんとかめどが立ったと言える状態で皆様とともに来年の党大会を迎えたい」
高市総理(5月3日・ビデオメッセージ)
「憲法は国の礎であり根幹であるからこそ、その価値を摩滅させないためにも、時代の要請に合わせて、本来定期的な更新が図られるべきです」
※提供:『民間憲法臨調/憲法国民の会』
なぜこのタイミングで、こうした発言を繰り返しているのでしょうか。
TBS報道局 政治部 大室裕哉 記者:
高市総理が党大会で時期のめどを言ったのは、安倍晋三元総理が2017年の憲法記念日に「2020年を新しい憲法が施行された年にしたい」と表明した以来の異例なことだと言えると思います。
なぜ党大会で踏み込んだ発言が出来たのかというと、衆院選で自民が316議席を獲得する大勝を収め、発議に必要な3分の2を自民党だけで確保することができました。
これに伴い、衆議院の憲法審査会長のポストを自民党が奪還しました。石破政権の時に選挙で負け、このポストが野党に渡ったことについて、当時の高市氏は「憲法改正も断念したに等しい。虚脱感が半端ない」と漏らしていただけに、ポスト奪還は念願だったと言えると思います。
高柳キャスター:
時期について言及したことで、ステージが一段階上がったように感じられます。
井上貴博キャスター:
個人的には、議論の構図を単純化することの危うさを感じます。憲法改正の話をする際に、「改憲派」「護憲派」とラベリングする風潮があり、仕方ないのですが、各社が行う世論調査も「賛成」か「反対」の二項対立になってしまいます。
本来問うべきは「どの部分をどう守りたいか」「どの部分をどう変えたいか」、これが本質だと思います。
ゴールは戦争をしない、平和を守る、日本を守る、そのため道筋はさまざまです。
単に「賛成」か「反対」ではなく、細かい議論を進めていきたいと個人的には感じます。
出水麻衣キャスター:
高市総理の発言によって、未だかつてないほど、憲法改正が進むような機運ができていると思います。それをチャンスととるかリスクととるかは、改憲派か護憲派かで違うと思いますが、何かが動きそうな時期に議論をせずにいつするんだと思うので、やはり一つずつじっくりと、私たちは何をわかっていて、何をわかっていないのかを紐解いていく必要があると強く感じます。
現状は「まだまだこれから」自民党が目指す“憲法改正4項目”
高柳キャスター:
自民党が改正を目指している4つの項目があります。
【自民党が目指す「憲法改正4項目」】
▼自衛隊の明記
憲法9条に自衛隊に関する項目を追加
▼緊急事態条項
・大災害時などの議員の任期延長可能に
・内閣の権限強化も
▼参議院の「合区」解消
「一票の格差」是正のため、隣接県を1つの選挙区にまとめた「合区」を廃止
▼教育の充実
経済状況に関わらず誰もが良質な教育を
議論はどこまで進んでいるのでしょうか。
TBS報道局 政治部 大室裕哉 記者:
「憲法改正」の現在地は「まだまだこれから」です。
9条に自衛隊の明記をすることが、自民党の本丸です。
自民党で憲法改正に関わる重鎮議員も「最初の発議に自衛隊の明記が入ってこないことは絶対にない」と話しています。
ただ9条2項の削除を主張する日本維新の会との足並みが揃っていないこともあり、国会での議論も進んでいない状況です。
参議院では与党で過半数(発議に必要な3分の2)に達していません。
【参議院 会派別議席数(定数248)】
▼自民:101
▼維新:19
▼国民:25
▼公明:21
▼立憲:40
▼その他
自民、維新、国民、公明の4党で166議席と、3分の2の議席数となっています。
2025年6月に、自民、維新、国民、公明の4党は、緊急事態条項に関する憲法改正の骨子案をまとめていて、基本的に前向きなスタンスです。
ただ、緊急事態条項に関しては、参議院の自民からも「参議院の緊急集会で対応可能できるため、(憲法改正は)参議院軽視だ」との声があり、衆参の足並みにハードルがあります。
また、合区を「解消すべき」というのは参議院の各党で概ね一致していますが、実際にどう合区を解消するかはこれからの議論です。少数与党の参議院で合意形成をはかりやすい項目といえます。自民党・松山参院会長も「憲法改正の突破口になる」と話しています。
本丸は「憲法9条」議論は諸外国からの見られ方も重要に…
高柳キャスター:
自民は「合区の解消」を足がかりにして進めたいというように感じます。
井上キャスター:
個人的には、あくまでも本丸は憲法9条と自衛隊の関係性をどうするのかだと考えています。
現実と条文の乖離がある部分を、これまでは政治家の解釈で埋め合わせをしてきました。しかし、「それが限界なので条文を変えた方がいい」という意見と、「これまで解釈で運用できているから変える必要はない」という意見があります。
ゴールは安全保障環境がこれだけ厳しくなる中で、日本を守るために、戦争しないために、どっちを選択するのかという差だと感じます。
出水キャスター:
世界中で戦争の火種がたくさんある中で、日本を取り巻く環境は大きく変わってきていて、日本が憲法について議論するのは大賛成です。
ただ安易に触れずに、外からの見られ方も含め、丁寧な議論やどのようなメッセージを打ち出していくかが重要だと思います。
井上キャスター:
自民党議員としては、議論をすることによって、日本のプレゼンスを上げるという見方もあります。しかし、憲法学者としては、日本が議論することで諸外国から「日本は戦争に踏み出そうとしている」と捉えられるという見方もあります。
どちらの見方の良し悪しではなく、どちらもできることを、どのように議論していくかが重要ですよね。
TBS報道局 政治部 大室裕哉 記者:
まさに、いま衆参の憲法審査会で議論されており、インターネット中継も行われています。今後も取材を重ねて、国民の皆さんに広く私たちも伝えていかなければいけないと思います。
世論の45%が憲法「改正すべき」
高柳キャスター:
憲法改正までの流れを整理しました。
衆・参の本会議で、それぞれ3分の2以上の賛成で可決されると、憲法改正の「発議」ができ、改正を国民に提案することができます。
その後、国民投票が行われ、賛成が過半数で承認されます。
現状で国民はどう考えているのでしょうか。
5月2〜3日に行われたJNNの世論調査では、このような結果になっています。
【JNN世論調査】(5月2~3日 RDD方式 全国18歳以上/有効回答1026人)
日本国憲法を改正すべき?
▼改正すべき:45%
▼改正すべきではない:40%
==========
<プロフィール>
大室裕哉
TBS報道局政治部 自民党担当
高市早苗氏の番記者
趣味はMLB観戦
・55歳母親を暴行死させた37歳男は“ヤングケアラー”だった 10歳から家事に追われた男と母親の「狂気の関係」
・“ポカリ”と“アクエリ” 実は飲むべき時が違った! “何となく”で選んでいませんか?効果的な飲み分けを解説【Nスタ解説】
・「コバエが、料理に一瞬だけ止まってしまった!」その料理、衛生的に大丈夫?専門家に聞いた
