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全国初 京都・八幡市長が“産休”取得へ 「みんなで議論していく素地になれば」 産休中は副市長らが職務代行【news23】

国内
2026-05-29 15:06

京都府八幡市の女性市長が自治体トップでは全国初とみられる「産休の取得」を表明しました。災害対応など、重責を担う市長が“一時不在”となることもあり、反響を呼んでいます。皆さんはどう考えますか。


【写真で見る】「今じゃないと無理」京都・八幡市長の“産休” 現在の多忙スケジュール


「トップとしてあえて取る」任期途中で“産休”を選んだワケ

淀川沿いの桜並木が名所として知られる京都府八幡市。人口6万7000人あまり(2026年5月時点)で、過疎化が進む地域です。


その市長を務めるのが、川田翔子さん(35)。“ある決断”がいま、反響を呼んでいます。


京都・八幡市 川田翔子 市長
「八幡市長という一つの組織のトップとして、あえて産休を取る」

自治体のトップとして全国初とみられる「産休の取得」を表明したのです。


2023年に全国最年少の女性市長として初当選した川田市長。就任して2年半、子育て支援や街づくりなどに取り組んできました。

私生活では2025年12月に結婚し、妊娠。2026年9月に第一子の出産を控え、任期途中ですが産休を取ることを決めました。ただ、重責を担う市長は多忙です。


朝8時半に登庁してから立て続けに会議に出席。みっちり詰まったスケジュールをこなしながら、合間合間で決裁が必要な書類に目を通していきます。

さらに、講演会などの市のイベントにも参加します。


京都・八幡市 川田翔子 市長
「ちょっとだけお休みをいただきます」

市民
「もう遠慮しやんと」

京都・八幡市 川田翔子 市長
「ありがとうございます」


条例では“想定されず” 市政は停滞しないのか?

妊娠・出産する女性の当たり前の権利であるはずの産休。


ところが、市長は“特別職”にあたるため労働基準法は適用されない上、市の条例でも市長が産休を取ることは想定されていません。

市長は今回、一般職員と同じように産前産後それぞれ8週の休みをとるほか、給与は減額しないことにしました。


京都・八幡市 川田翔子 市長
「これまで一生懸命、仕事やってきた中において、でもやっぱり自分の身体のリミットを考えたら、やっぱり子どもとか出産のライフイベントを考えたら、どうしても今じゃないと無理だなと」


不在の間、市政は停滞しないのか?

産休中は重要な案件はリモートなどで対応しつつ、原則、副市長らが職務を代行します。


京都・八幡市 能勢重人 副市長
「緊急を要する場合には電話もございますし、みんなフォローしあって、カバーしあって業務を進めていく」


八幡市民の反応は “前例なき産休”が問いかけるもの

八幡市民(20代)
「市だろうが会社だろうが、その人が抜けた分をほかの人が補うのが当然というか自然な考えだと思うので、市長が抜けた分は、ほかの人がリカバリーできたらいい」


八幡市民(30代・4児の母)
「任期中に出産育児をするのを反対される人も多いとは思うが、それを反対してしまうと女性はいつ働いて、いつ出産すればいいのか。戻った時にしっかり市の為に働いてもらったらいい」


ただ、ネット上では 「市長と会社員では責任の重さが違う」「出産するなら辞任すべきだ」などという意見も。

川田市長は育休は取得せず、復帰後はリモートワークを活用し、育児と仕事の両立をめざします。


京都・八幡市 川田翔子 市長
「社会としては子どもをすごく求めていると思う。出産を担う女性が既存のシステムに適合しないことを責めて終われば、社会は前に進めない。反響の大きさがむしろ制度設計をみんなで議論していく素地になればいい」


女性市長の産休で浮かぶ“制度の課題”

小川彩佳キャスター:
私もnews23を担当するようになってから、5年前に2か月半の産休を取りました。産休を取る前に川田市長の言葉を聞くことができたら、どれだけ力をもらえただろうかと感じます。


というのも、当時はキャスターとして、育休・産休を取るということが前例としてほとんどなく、ロールモデルがいなかったことが一番の怖かったところです。

こうして川田市長が飛び込んでくださって、ファーストペンギンになっているということが、水紋のように広がっていく、その影響というのは本当に大きいのではないかと思います。


文筆家 伊藤亜和さん:
休んでいいか、だめかと言ったら、休んでいいに決まっていますよね。誰にでも休む権利は絶対にあると思うので、そこを議論にするべきではないと思うんですよ。

問題なのは休むことそのものではなく、その状況をシミュレーションできていたかということです。


あらゆることを考えている立場の組織であれば、そういうことは当然想定できるはずなのに、あえて想定しない、あえて具体的な策を作らないというのは、「想定しない」という形の“圧”なのではないかと思います。

「休みます」と言って、やっと議論が起きることはおかしいことで、もっと前からたくさん準備ができただろうし、最初に「休みます」と意を決して言った人に批判などがいってしまうのもよくないと思います。


自治体トップの“産休取得” どう考える?

NEWS DIGアプリでは「自治体トップの産休取得」について「みんなの声」を募集しました。


Q.自治体トップの産休取得 どう考える?

「全面的に賛成」…55.7%
「賛成だが不安も」…18.0%
「仕方ないが本来は辞職すべき」…8.4%
「全面的に反対」…3.1%
「今後の動向に注目」…13.5%
「その他・わからない」…1.3%
(861人回答)

※5月28日午後11時19分時点
※統計学的手法に基づく世論調査ではありません
※動画内で紹介したアンケートは29日午前8時で終了しました。


藤森祥平キャスター:
選挙で選ばれたトップだからこその期待や、不安な声も聞かれます。「出産中に有事が起きることもある」「長期間休むことが予測される場合は、市長等に立候補すべきではない」という声も上がっていて、川田市長はそのような批判なども含めて「みんなで議論していく素地になれば」と話しています。議論自体が加速するのはいいことだというのは同感です。

文筆家 伊藤さん:
こうしなくては進まないこと自体がおかしいと思います。


小川彩佳キャスター:
本来ならばそうした災害対応を、市長が不在のときにどうするのかや、副市長の権限をどう考えるのかは想定して動くべきで、避けては通れない議論であるはずですよね。

文筆家 伊藤さん:
それをわざわざ避けているような空気を感じざるを得ないです。


産休を支える側の“本音”も議論に

藤森キャスター:
今回の八幡市は、市長が産休に入る間は副市長らが職務を代行し、業務をみんなでカバーするように決めているということです。


私は個人的に川田市長の決断は大賛成ですが、産休に限らず、誰かが休みを取ったときにフォローをする側にもそれぞれ事情があって、本音があると思うんです。

「負担が増えてつらいんだよね」という本音を少しでも言えるような余地も残しておいてほしいなと思います。


文筆家 伊藤さん:
SNSの「新卒で入ってきた子がすぐ産休に入っちゃった」というような投稿に対して、みんなが寄って集って「なんてことを言うんだ」「お前は意地悪だ」のように叩いているのを見ると、それは違うなと思います。


負担があるのは間違いないし、それを誰のせいにもしてはいけないと思っています。システムが整ってないことを問題視するべきであって、その感想に対して文句を言うべきではないと思います。


小川キャスター:
そのシステムの中でケアし合える制度設計ができるかということだと思います。産休に限らず、突然病に襲われたり、心が折れてしまったり、家族を支えなくてはいけない局面が出てきたりもするので、いつも健康で常にその場にいられる人だけが回していく社会は持続可能なのかと疑問です。

そうした人が抜けてしまうとき、本当に持続可能にしていくためにはどのような制度を作っていくべきかという問いでもありますね。


文筆家 伊藤さん:
病気やけがだとあまり言われないのに対して、出産だとこれほど言われるのはある程度コントロールできるものだと一般知識として持っているからだと思います。


確かにある程度コントロールはできると思いますが、「何歳まで出産できるか」を考えると、今の医学ではそれほど先延ばしにできないと思います。「今じゃない」と言っていると本当に産めない人が出てくる。だから、他人がとやかく言うタイミングではないと思います。


小川キャスター:
市長が本当に望む議論がここから始まっていけばと思います。

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<プロフィール>
伊藤亜和さん
文筆家
セネガル人の父との関係を描いたエッセイで注目
新作は絵本「モプーはヘンダ」


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