
物価高騰が国民生活を圧迫する中、高市政権が打ち出した「消費税減税案」は本当に正しい選択なのか――。「消費税を下げても価格は下がらない」「2年後には“大幅増税”になる」…国民民主党の玉木雄一郎代表は制度の裏に潜むリスクを指摘します。
「103万の壁」引き上げに続き提案する次なる物価高対策の“現実解”は「社会保険料の還付」。さらに、審議が難航する「皇室典範改正」や「定数削減」など今後の国会戦略などについてくわしく聞きました。(聞き手:川戸惠子 収録:6月25日)
高市政権の消費税減税案 国民会議ヒアリングで賛成は「2人だけ」だった
ーー今国会もあと1か月足らずですが、高市さんが選挙の公約で「悲願だ」と言っていた食料品の消費税減税。国民会議での議論の現状はどうなっていますか。
国民民主党 玉木雄一郎 代表:
去年の12月18日に総理と合意して、いろんなこと協力していこうかなと思ったんですが、その後選挙があって。その選挙の時に急に食料品消費税をゼロにする、2年間だけということを言い始めたんですね。
昨年12月の与党税制改正大綱の中には消費税の「し」の字も出てこないんですよ。だから全く議論してないんです。そのしわ寄せが今全部来てるって感じですね。
国民会議に我が党も入ってやってますけれども、31人の個人・団体からヒアリングをしたんですね。そしたらこの2年間食料品だけゼロにするという案については、31のうち「やったらいい」と言った人は2人だけ。政府から出てと言われた経済学者2人なんですけど。それ以外はみんな慎重で。今回の取りまとめが小野寺さんから議長案ということで示されましたけれども、あれヒアリングに呼ばれた人も怒ってますよ。問題点はいくつか指摘したのに、その答えが何もない中でですね。
我々1%の消費税率にしようなんて議論は誰もしてなくて、急に出てきて「さあまとめるぞ」ってなって、それはさすがにできませんと。もしこのまま強引に行くんであれば、我が党のみならず他党も多分合意できないと思います。
消費税減税は“事業者に迷惑”のデメリット 「現実解」は別にある
ーー消費税減税の議論は、事業をやっている方たちも困っているという声があります。
国民・玉木代表:
そもそも事業者に迷惑をかけながらやらなきゃいけないのが消費税のデメリット。所得税・住民税とか給付は結局、国とか地方が公の側で引き取ればできる話なんで、これ民間巻き込んでやるからレジも含めてややこしくなってる。
一人当たり年間3万6000円の負担軽減をするということは私はいいですよと。将来的な給付付き税額控除を導入しましょうと。国会や政府与党、自民党のみならず他の野党もある程度合意している。となると、繋ぎはもう一択しかなくて、その3万6000円分の負担軽減を給付と所得税の減税と住民税の減税と、この3つの中の組み合わせでやるんだったら全然オッケーですよと。それが税目が全く違う消費税でやることによって繋がっていかないんですよ。
ーーただ、給付付き税額控除は所得の把握が難しく、時間がかかると言われています。
国民・玉木代表:
私はもう割り切っていて、資産まで含めた支払い能力とか負担能力を考えると、デジタル庁の報告だと4年かかる。4年後からしかできませんと。たぶんそれは永遠の「青い鳥」なんで。究極的にやろうとしたらいつまでたってもできないので。
もう今の住民税の控除を引き上げて、引けない人には社会保険料を還付するということで、これも事実上の完璧じゃないですよ、ただもう8割9割、給付付き税額控除とほぼ同じ効果を発揮しますから、もうそれでやったらどう?っていうのが私たちの考えです。
現行の制度をそのまま使えるし、今、国が持っているデータや所得の情報で給付可能なので、新たにこういう情報が欲しいですとか、新しい還付の仕組みを作りましょうとか、レジを変えてもらいましょうとかっていうことが一切いらないので。
消費税の減税が一番何が問題かって2つあって、農家なんかの負担が増えるって問題もあるんですけど一番の問題はですね。まず下げた分(価格が)下がらないと。
ヨーロッパの例を見るとまあ7掛けぐらいですね。ものによってその競争度合いが違うので、競争が激しいところはちゃんと下がるかもしれませんけど。逆に競争が激しくないところは税率下げても、それで消費者が買ってくれるんだったらそのままにしときますと。どうせ2年後戻すからと。
単に2027年4月から始めて2029年4月に終わるってなると、ここで不況である可能性もあるわけですよ。今は株も上がってるしバブルとも言われて結果いいんですけど、ただ2年後って、ちょっと厳しくなってる可能性あるわけですよ。そこに0%、実質ゼロだったものを8にするって言ったらものすごい大幅増税じゃないですか。景気にも悪影響を与えるし、逆に言うといい時に下げすぎるとインフレを加速したりして副作用も出るかもしれないと。かえって景気の良し悪しと逆の時に減税したり増税したりする可能性があるということがやっぱ問題なんですね。
「定数削減法案」は“極めて失礼”…“異例の審議停止”で「皇室典範改正」が一番心配
ーー重要法案が山積みですが、国会審議の行方は。
国民・玉木代表:
結論から言いますと、無理です。無理というか、3週間しかないんですよ。日本の場合は法律通すのは衆議院だけじゃなくて参議院も通さなきゃいけない。で今参議院が事実上ですね、審議が止まってますね。総理のあの答弁で、陳述書でやるから自分は答えないっていうことで反発して止まってる。中身じゃなくて。ちょっと異例なことが起きてますね。出口の参議院でつっかえていると、これはもういかんともしがたいので。
私が一番心配してるのは何かと言うと、皇室典範の改正なんですよ。やっぱり色々議論した中で、静謐な環境の中でやりましょうと。皇族数の確保っていうのは、もう本当に今、女性皇族方がお年頃になっておられますから。やっぱり今改正しておかないと、増やすどころか減る一方なので。女性皇族が結婚後も身分を保持するような、そういう内容を早くやったらいいっていう人が多いですけど…それをまずやりましょうと言ってもですね、揉めくり返ってたらですね。しかも皇族とか皇室に関することを国会で喧嘩しながらやってるなんていうのは、みっともない話だし、皇位の安定継承にも私は悪影響を与えると思いますから。
ーー議員定数削減法案については。
国民・玉木代表:
まず議員定数削減法案はちょっと失礼な法案になっていて。なんでかと言うと、今、衆議院議長の下で秋をめどに抜本的な選挙制度改革をまとめようと言って議論してるんですよ。今自民と維新が、特に維新がプッシュして出した法案っていうのは何かと言うと、そういう選挙制度改革がまとまらないっていうことを前提に、一年後、45、比例だけ削ろうと。真面目に今議論して秋までにまとめようとしてる人からしたらね、特に議長からしたら、俺たちがまとまらないと思ってるのかということになって、極めて失礼な法案になってる。
今のままやると、自民・維新の減少率が少なくて、他の野党ばっかり減少率が3割4割減るっていう、形を借りたゲリマンダーみたいになってるので。ある人が言ってるのは、「他党の身を切らせる改革」になってるんで、「身を切る改革になってないじゃないか」と。自分たちはあんまり減らないのに相手ばっかり減らしてね。ルールだけは平等に決めとかないと、後のゲームが面白くなくなるので、そこは慎重にやるべきです。
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