28日に熊本で発生した最大震度7の地震。安否不明者の捜索が続いたのは、爆発が起きた嘉島町のイオンモール熊本です。
【写真を見る】商品が散乱し天井は崩落… 惨状を物語るイオンモール熊本の内部
瓦礫は目の前の道路にまで…一時規制線解除で見えた“被害”
29日午後、一時的に規制線が解かれた現場に近づくと…
藤森祥平キャスター
「元々止めてあった車なのか、ボンネットやフロントガラスが割れています。その上には爆風で飛んできたと思われる壁・屋根がのったままです」
建物の壁や窓は全て吹き飛ばされ、垂れ下がった電線には飛ばされた壁がぶら下がったままに。吹き飛ばされた瓦礫は駐車場を飛び越え、目の前の道路にも飛び散っていました。
藤森祥平キャスター
「ここもう…、元々はきれいにされている車道です。全部これ、爆発で吹き飛んできた屋根や壁ですよね。これはおそらくイオンモールの商品じゃないかな。爆風でここまで飛ばされてるんですね、きっと」
消防庁が内部映像を公開 救助犬も投入し捜索
これは、消防庁が公開した1分18秒の建物内部の映像 。瓦礫が散乱し、天井も崩れ落ちています。
ここは店舗が並ぶ2階フロアですが、商品が棚から投げ出されるなど、店の実形をとどめていません。崩れた建物の骨組みが隊員の行く手を阻みます。
捜索には救助犬の姿も。
現場では、これまでに5人の死亡が確認されています。
イオンモールの2階で妻が働いているという男性は、地震直後の電話を最後に、妻と連絡がつかないといいます。
妻が安否不明の男性
「地震がひどかったので、『そっちは大丈夫か』という連絡をもらって。それが4時半過ぎ。爆発が起きた直後に携帯がつながらないという状態になってしまったので、覚悟はしておかないといけない」
避難完了後に爆発…なぜ大規模爆発は起きた?
大規模な爆発はなぜ起きたのか。
藤森祥平キャスター
「地震が発生してから丸一日が経って、初めて爆発が起きた状況などについて説明があります」
29日午後、イオンの吉田社長らが会見を行いました。
イオン 吉田昭夫 社長
「夏休みということもあり、約3000名のお客様に来店いただいていた。揺れがおさまった後、屋外への避難誘導を逐次行った」
イオン側の説明によると、地震発生直後に客の避難誘導を開始。午後5時頃には客とイオングループの従業員全員の避難が完了し、店を営業休止にしたと言います。
その後、5時50分に2階の南側中央部付近で爆発が発生。午後6時に再び安否確認をしたところ、イオンモールに入るテナントの従業員数人らと連絡がつかないことがわかったということです。
イオン 吉田昭夫 社長
「(Q.現場に残っていた従業員がどんな作業を)一部は一旦避難は完了したが、車のキーとか自分が家に帰るための『身支度みたいなものを取りに戻った』というような発言があったが、確認が取れているものではない」
その上で、爆発の原因については・・・
「想定しきれない」指摘されているのはガス爆発
イオン 吉田昭夫 社長
「ガス爆発の可能性が高いということで、見解も出ているが、確定することは現段階でできない」
原因は特定されていないものの、指摘されているのがガス爆発。
イオンモール熊本ではLPガスが使用されていて、建物のそばには、ガスタンクが確認できます。このタンクから地下の配管を通って館内にガスが送られ、飲食店や空調などに使われていたということです。
イオン 吉田昭夫 社長
「このような爆発が起こるということを我々想定しきれない」
想定しきれなかったという爆発。地域の“暮らしを支えてきた”大型商業施設だけに、近隣住民に衝撃が広がっています。
近隣住民
「爆発が起きた瞬間は2階で部屋の片付けをしていて、ベランダの方を見たら、いきなり爆発。(Q.イオンモールはどういう存在?)うちの家族はイオンがなければダメ、イオン大好きなので。まさか爆発するとは思ってなかったので」
“2階で爆発発生” 地震発生から爆発までの経緯
小川彩佳キャスター:
まずは、29日午後11時時点で入っている最新情報です。
▼午後4時27分頃:地震発生
▼午後4時27分頃~:客の安全確保を開始 屋外へ避難誘導
▼午後5時:従業員の避難を行う
▼午後5時50分:2階で爆発発生
地元消防によると、これまでに5人の死亡が確認されています。
イオンモール熊本の模型で確認してみます。
2階には映画館やフードコートなどがあり、1階にはファッション施設やレストラン、スーパーなどが入っています。
九州最大級の敷地を持つ、大型ショッピングセンターです。
駐車場の近くには、LPガスのタンクが置かれており、イオンの会見によると、ガス爆発の可能性が高く、爆発は「2階南側中央部付近」で発生したということです。また、爆発があったとみられる場所に飲食店はなかったということです。
現時点で分かっている情報から、どういったことが考えられるでしょうか。
元東京消防庁警防部長 佐藤康雄さん:
このタンクは「バルクタンク」といいます。ご家庭によくあるタンクは一本ずつ交換するタイプですが、こちらは大型のタンクとなっており、タンクローリーからプロパンガスの液体を充填します。
このタンクから伸びるメインの配管は、地中を通り、建物内で各設備に枝分かれしているとみられます。
建物内にフードコートがあるので、こちらで使用している火気から漏れたのではないかと一般的には思われますが、ガスタンクの配管のどこかが地震の際に緩むなりして、そこから漏れたのではないかということが考えられます。
メインの配管から漏れていたとすると、相当量のガスが充満して、非常に爆発の威力が強かったということが考えられます。
「圧力逃げず」爆発力増大か 衝撃波を伴う「爆轟」とは
トラウデン直美さん:
なぜ、ここまで建物が壊れたのでしょうか。
元東京消防庁警防部長 佐藤康雄さん:
皮肉なことに、この建物は指定避難所にするため、耐震性を高めた強固な造りの建物でした。
しかし、ガス爆発はガスが固まれば固まるほど威力が大きくなります。そのため、漏れたガスに引火した際、建物がしっかりしていたがゆえに、かえって爆発の威力が強くなった可能性が考えられます。
小川キャスター:
駐車場の車の屋根には、爆風によって吹き飛ばされたとみられる外壁が乗っていました。それが、しっかりとした造りの壁ということでしょうか。
元東京消防庁警防部長 佐藤康雄さん:
まだはっきりとしたことは分かりませんが、吹き飛んだあとの現場を見ていただくと、重量鉄骨の大きな柱があるのが分かります。
鉄筋コンクリートで塗り固めた建物ではありませんが、軽量コンクリートのパネルを一面に張って頑丈に作られていました。
そのため、爆発の圧力に耐える構造となり、最終的に爆発で破壊された際の威力が大きくなってしまったのではないかと考えられます。
小川キャスター:
それは普通の爆発ではなく、「爆轟」と呼ばれるものですね。
元東京消防庁警防部長 佐藤康雄さん:
爆轟はなかなか起きにくいので、「爆轟に近い状態」というのが正しいと思います。
爆轟とは、マッハを超えるような衝撃波を伴う爆発です。そのような爆発が起きている可能性が高いと思われます。
小川キャスター:
あまり耳慣れない言葉ですが、2011年3月11日の福島第一原発・原子炉建屋破壊も爆轟の可能性があるといわれています。
地震発生当時、夏で密閉して冷房を効かせていたというところも仇になってしまった可能性があるということですね。
元東京消防庁警防部長 佐藤康雄さん:
窓がいっぱい開いていると、爆発の際に窓から圧力が逃げますが、全部密閉され、どこも隙間がないところで爆発したので、このような被害になったと考えられます。
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