
日本で飲み残されている薬は、年間約500億円と言われています。
問題解消のカギとして注目されているのが「かかりつけ薬局・薬剤師」。
医療費がお得になるという、その活用術を取材しました。
【写真を見る】「マンツーマンで話せるので安心」医療費の節約にも?『かかりつけ薬局』活用術【ひるおび】
「かかりつけ薬局」って何?
「かかりつけ薬局」とは、患者が継続利用する薬局をひとつに決め、服薬や健康管理をまとめてみてもらうことです。
例えば内科・眼科・整形外科に通院して処方箋をもらった際、それぞれの病院に近い薬局で薬を処方してもらっていたところを、1つの「かかりつけ薬局」で処方してもらいます。
すると、薬の飲み合わせや副反応の確認、「飲み残しはないか」などの服薬状況の把握をしてもらえるというメリットがあります。
専属の薬剤師になんでも相談“かかりつけ薬局”の現場を取材
全国に950店舗以上を展開する「クオール薬局」では、1人1人に専属の薬剤師を担当としてつけることで、薬以外の健康の相談などもできる体制をとっています。
クオール薬局調布店 薬剤長 伊藤隼人さん
「顔見知りの関係なので、お話の内容や会話のトーンなどで、体調が変わったことに気づきやすくなります。」
薬剤師にとって会話は患者の体調を見抜く重要な仕事。会話を通して病気を未然に防いだり、重症化を防いだりするきっかけとなります。
利用している80代の女性はー
「マンツーマンで話せるので安心して薬をいただける。気楽に聞けるというところが、助かってますね。」
さらに、かかりつけ薬局には薬代の節約につながるというメリットもあります。
日本で飲み残されている薬は年間で約500億円と言われています。
かかりつけ薬局なら余っている薬を把握できるため、医師と調整して無駄な薬代を減らすことができるのです。
また、値段の安いジェネリックへの切り替えも提案してくれます。
例えば、皮膚の保湿剤では先発品ヒルドイドが531円なのに対し、同じ有効成分のジェネリックなら189円と、342円も安くなります。※100g・3割負担の場合
薬局は「処方箋がないと行きづらい」など、少しハードルが高く感じられがちですが、
クオール薬局では気軽に訪れてもらうきっかけにと、薬局の二階で週に一度、体操教室や将棋のイベントを開催。コンビニと併設した店舗も増やし、より立ち寄りやすい工夫をしています。
クオール薬局調布店 薬剤長 伊藤隼人さん
「薬だけでなく、ご自身の健康を相談できる場所というイメージを持っていただけたらと。世間話をしに来る方もいらっしゃるぐらいなので、何でも相談していただけたらと思います」
恵俊彰:
余っている薬が500億円ってすごいですね。
医療ジャーナリスト 森まどか氏:
高齢化に伴って、複数の持病をお持ちの方は、薬が色々なところから出ていてより複雑化しているんです。
そうすると飲み残してしまったり、薬の形状が少し大きくて飲みにくいからやめてしまったり、症状が治まったから自分の判断でやめてしまったりして、薬が残っている方はかなりいらっしゃいます。
「かかりつけ薬剤師制度」は、2016年から始まっています。
しかし、当初はかかりつけ薬剤師を決めることで、指導料や管理料などの費用が発生していました。
そのためか、2020年の政府の調査では、かかりつけ薬剤師の普及率は7.6パーセント程度と低い水準でした。
しかし2026年年6月の診療報酬改定で、かかりつけ薬剤師を決めるだけなら料金は発生せず、電話でのアドバイスや、自宅を訪問してお薬の飲み方やパッケージなどを一緒に整理してもらうなどのサービスが行われた時のみ費用が発生する形に変わっています。
“服薬以外も無料で相談”「健康サポート薬局」
「かかりつけ薬局」の機能に加え、日頃の健康維持や栄養面、介護についてなど幅広い相談に対応するのが「健康サポート薬局」です。
相談は無料で、その際の処方箋は不要です。
厚生労働大臣が定める一定の基準をクリアし、都道府県知事に届出を行った薬局だけが表示することができ、現在全国に約3600軒あります。
東京都台東区にある「蔵前みどり薬局」では、月に1回、薬剤師と看護師に無料で育児などの悩みを相談できる“みどりの保健室”を開催しています。
取材した日には、訪れた女性が子どもの好き嫌いの相談をしていました。
40代女性『子どもがトマトを生で食べるのがちょっと苦手で、スープとかに入っていて、しっかり煮込んであったりすれば食べられるんですけど。』
看護師『トマトが全く食べられないわけじゃなくて、調理法によっては食べられたりするなら、それはそれでいいと思いますよ。』
さらに、こんな相談も。
50代女性『長男がもう受験なんだけど、志望校決めてない。志望校を決めてないから勉強しない。数学が好きだから理数系の学校に行きたいって言うんで、だったら学校選びなさいよって。』
看護師『行ったらこういう楽しみがあるから行きたいとか、その学校の特徴が見つけられるといいかもしれないですよね。』
薬剤師の坂口真弓さんは、「気軽に喋って、ちょっと悩み相談したり愚痴を言ったり、本当に些細な疑問を聞ける場所」でありたいと話してくれました。
恵俊彰:
もはや薬の相談じゃなかったですね。
医療ジャーナリスト 森まどか氏:
地域に根ざして、健康とか医療のちょっとした不安を一次的に解消してくれる場所として、こういった機能は重要になってくると思います。
高齢の方などは孤立しがちですので、コミュニケーションを取ることで認知機能の低下を防いだり、体調の変化に気付いたりもできます。こういう地域密着でサポートしてくれるところがあるとすごく安心ですね。
弁護士 八代英輝:
超高齢化社会に備えて、地域で備えていこうというところが主眼なんだと思いますね。
医療ジャーナリスト 森まどか氏:
不安になった時に、すぐに診療所や病院に行ってしまうのを前の段階で防いで、医療費の効率化につなげるといった目的もあります。
今後の薬局の役割はどうなる?
地域や個人の「生活を支える医療」として、今後薬局に求められていく機能は大きくなっていくのではないかと森さんは見ています。
医療ジャーナリスト 森まどか氏:
例えば入院している人は病院で「治すための医療」を受けますが、地域に帰ってご自宅で生活をしていく時に、「生活を支えていく医療」の場として、薬局が担う役割は大きいと思います。
薬を適正化することによって医療費全体も削減できますし、個々の方が支払う医療費も少し安くできるといったこともあります。
(ひるおび 2026年9月14日放送より)
==========
<プロフィール>
森まどか氏
日本医学ジャーナリスト協会 正会員
医療問題などを数多く取材し発信
・40代から増加「脳梗塞」の初期症状は?「倒れてからじゃ遅い」早期発見のカギ「BE FAST」とは【ひるおび】
・お腹をすかせた中学生3人…通りかかった食堂で「PayPay使えますか?」「ごめんなさい、現金だけなんです」その後の展開は…SNS投稿に大反響のワケ「こういう出会いって宝物」「読んでて涙出た」
・「無料であげます」に潜むワナ SNSで急増する“劇場型”詐欺…その巧妙な手口とは【THE TIME,】
