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クミコ、平野レミ、松田美由紀らが共演『ニッポンシャンソンフェスティバル2025』感動の終幕【ライブレポート】

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2025-12-04 17:00
クミコ、平野レミ、松田美由紀らが共演『ニッポンシャンソンフェスティバル2025』感動の終幕【ライブレポート】
クミコ、平野レミ、松田美由紀らが『ニッポンシャンソンフェスティバル2025』で共演
 3日、東京・有楽町よみうりホールにて、シャンソンイベント『ニッポンシャンソンフェスティバル2025~大人のためのシャンソンティックな歌たち~』が開催された。昨年からの好評を受けて今年も実施された本公演には、約1000名の観客が詰めかけ、熱気に包まれた。

【写真】楽しそうにトークをするクミコ&平野レミ

 副題の“シャンソンティックな歌たち”が示すとおり、ジャンルの枠を超え、人生の深みを情感豊かに歌い上げる楽曲が集結。出演者は、シャンソン界の第一人者であるクミコ、女優・表現者として唯一無二の存在感を放つ松田美由紀、料理愛好家としても知られる多才なエンターテイナー・平野レミ、そして若手実力派歌手の中澤卓也という異色の顔ぶれとなった。

 華やかなバンド演奏で開幕すると、トップバッターとして登場したのはクミコ。照明が静かに絞られる中、日本の原風景を思わせるような情感をたたえた「広い河の岸辺」を披露。その一語一語に物語が宿り、聴く者の心をゆっくりと掴んでいくような歌唱で、“人生の深み”を見事に表現した。

 続いて登場した中澤卓也は、「ラ・ボエーム」で情熱的な歌声を響かせたあと、「青春の旅立ち」「青い空の下」、さらに自身のオリジナル曲「東京タワー」まで披露。若々しく伸びやかな歌声と端正なステージングで、シャンソンというジャンルに新しい風を吹き込んだ。

 続く平野レミは、「シャンソン・ド・レミ」「リヨン駅」などをコミカルさを交えて披露。この日のハイライトのひとつとなったのは、クミコとの爆笑MCだった。クミコが「こんなホールで歌われるのはどれくらいぶりですか?」と尋ねると、平野は「35年ぶり。みじん切りとか千切りばっかりやっているもんですから、たまには歌いたいなとは思った」と笑わせた。

 さらにクミコが「今年の春、“料理もだけど、歌はきっとレミさんの力になる”と勝手に確信して、余計なお世話をさせていただいた」と語ると、平野は「“やる!やる!やる!”って言っちゃったの。それで、新しい扉がバッと目の前に開いたみたいで、オホホホホってね」と振り返り、「プログラムができてから後悔した」と冗談めかしつつも、舞台に立つ喜びを語って客席を沸かせた。

 最後には平野が「今日が最初で最後かもしれない」と述べ、クミコが「そんなこと言わないでください。もしかしたら次に“シャンソンと料理”のコンサートをやるかもしれないじゃない」と返すなど、ユーモラスで温かなやり取りも展開。「私一人」「バラ色の人生(La Vie En Rose)」では、愛の喜びを全身で表現し、観客から大きな拍手が送られた。

 松田美由紀は、「うみ」「舟歌」に加え、詩人ジャック・プレヴェールの詩の朗読を交えて独特の世界観を構築。「いかないで」「ストリッパーの子守唄」では人生の陰影や孤独を、ささやくように、時に激しく歌い上げた。13曲目「愛の讃歌」では、エディット・ピアフの名曲を自身の解釈で魂を込めて届け、感動を呼んだ。

 コンサートの終盤には、再びクミコが登場。「ヨイトマケの唄」で会場の空気を一変させ、涙をこらえる観客の姿も見られた。続く「人生は美しい」では重厚さから一転、人生を肯定するような温かな光がステージに灯され、観客は深く頷きながら聴き入っていた。

 さらに、クミコの真骨頂とも言えるシャンソンの名曲「愛しかない時」では、ドラマティックかつ情熱的な歌唱で、シャンソンの持つ普遍的な“愛”のテーマを鮮やかに描き出した。6月にリリースしたアルバム『シャンソンティックな歌たち』の集大成として、深い感動と余韻を残すステージとなった。

 すべてのプログラムを終えたあと、鳴り止まぬ拍手に応えてアンコールが実現。クミコ、松田、平野、中澤の全出演者が再びステージに立ち、イタリアの名曲「ケ・サラ」を全員で歌い上げ、圧巻のフィナーレを飾った。

 シャンソンが持つ豊かな表現力と、時代を超えて響く普遍的なメッセージを再確認する一夜となった。

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