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「カレー学校に通っていた」100m日本記録保持者 生魚をさばく山縣亮太に石川佳純「うまっ! すごっ!」35歳で日本記録更新を狙うスプリンターの信念【BREAK】

スポーツ
2026-11-07 06:00

ともにオリンピック3大会連続出場を果たし、東京五輪では日本選手団の主将と副主将を務めた山縣亮太(34)と石川佳純(33)。陸上男子100m日本記録保持者である山縣と、日本卓球界を長年牽引してきた石川は、互いを深く知る同学年のトップアスリート同士である。


【写真で見る】山縣選手が作る「サバカレー」


そんな2人が向かい合い、限界を突破し続けるアスリートの本心に迫る番組「BREAK」。今回は、山縣が過酷な勝負の世界を生き抜くうえで欠かせない息抜きや知られざる挫折、そしてこれからの青写真について、濃密な対話が交わされた。


マイ包丁とサバカレー

石川佳純(以下、石川):山縣選手、普段オフに「BREAK TIME」はどんな事をされているんですか? 息抜きとか。


山縣亮太(以下、山縣):料理というか自炊が趣味みたいなものなので。


石川:めちゃくちゃお上手ですよね。


山縣:いやいやいや。いつも「いいね」ありがとうございます。笑


石川:本当にすごいんですよ! お世辞じゃなくて! なんと今日はキッチンに来て、腕前を見せていただけるということで。ありがとうございます。今日は何を作りますか?


山縣:今日はサバを使ってサバカレーを作りたいと思います。今回はスパイスから作ろうと思っているので。脂質の量をコントロールできるので。


石川:スパイスから作る!?


山縣:そう。美味しく食べましょう。


石川:これちなみに包丁ってマイ包丁?


山縣:これはマイ包丁。友達が僕が日本記録を出した時に買ってくれたんですよ。


山縣:普段ちなみに石川さんは料理やるの?


石川:私、意外とやるんですよ。


山縣:何作るの?


石川:カレーも作るし、肉じゃがとか作れる。中華とかも作るよ。包丁の切れ味すごいね。これ何枚おろしっていうの?


山縣:これは3枚。


石川:うわー、うまっ! すごっ! 迷いのない包丁さばき。これ練習終わってからやっているんですか?


山縣:そう。


石川:でも、これが息抜きになっていたり?


山縣:うん。結構。カレーのスパイスって基本3つか4つで、あとは好み。僕、一応カレーの学校に通っていたんですよ。


石川:えっ? カレーの学校って何?


山縣:いや、あるんだよ、そういうのが。2泊3日の合宿みたいな。基本のスパイスとか、何がどんな味でとか、手順とかね。


石川:えー! 行きたいそれ。


山縣:僕らは、アスリート。油の量に繊細にならなきゃいけないので。通常最初に油の中にシード(粒のスパイス)を入れるんだけど、やらずに、玉ねぎを炒める時に一緒に炒める。


石川:自分で料理を作るようになってから競技にいい影響はありましたか?


山縣:体重のコントロールはすごくしやすくなった。僕は入ってくるカロリーと出ていくカロリーを計算しているので。ここに酢も入れます。少し入れます、体にいいので。入れなくてもいいです、これは。


石川:いいっすか(笑)。


山縣:スパイスを入れます。まずターメリック、コリアンダー。甘くはし過ぎないので大丈夫です。


石川:こだわりを突き詰めるのは性格なんですか?


山縣:ですかね。


石川:完成しました。料理名をお願いします。


山縣:サバのサバカレーです。あれっ? サバカレーです(笑)。


石川:(一口食べて)んー! 美味しい! 本当にめちゃめちゃ美味しいです!


山縣:やった! 美味しい? 良かったっす。うん、美味しい。


「壁は前に進んでいる時間」ロンドン五輪後のドン底から掴んだ復活

石川:陸上選手って、すごく筋肉の負担も大きいじゃないですか。山縣選手はケガとどういう風に向き合ってきましたか?


山縣:ケガばっかりしてきたんで。


石川:ケガをしている時って何もできないじゃないけど、動けないじゃないですか。


山縣:必ず原因があってケガって起こるものだと思っているので。でも、どうしても「今年のこの試合で記録出さなきゃいけない」みたいな制限もあるので。悠長にはやっていられないんですけど。


2012年、20歳で出場したロンドン五輪で五輪における日本人最速記録をマークし、鮮烈なデビューを飾った山縣。だがその直後、全日本インカレ(日本学生陸上選手権)のゴール直前で右太もも裏の肉離れに見舞われる。全治6か月。初めて直面した大きなケガだった。


焦りが募る中、陸上界には当時17歳、3学年下の桐生祥秀が台頭し、10秒01をマークする。当時の取材カメラの前で、山縣は追い詰められた胸の内を吐露していた。


「怖いです。走りから遠ざかっている分、やっぱり走っている感覚とか走る体っていうものから、どんどん遠ざかっていっているので。確かに彼の存在が刺激になって、もっと意識高く取り組まないとなってなるのは事実ですけど」


ライバルの出現と、初めて経験する長期離脱。普段は冷静な山縣だが、練習中にトレーナーから「今日はちょっと、(スパイクを)つけられないです。スパイクつけた方が絶対負担大きくなるもん」と制止された際、感情を露わにした。


「いや、マジか。アホらしいわ、マジで」


カメラに「止めてください」と告げた直後、山縣の目から思わず悔し涙がこぼれ落ちる。気づけば、止められたはずのスパイクを涙ながらに履き、トラックへと走り出していた。


そんなドン底の経験さえも、山縣は成長の糧へと変えていく。


石川:ケガしたり、上手くいかない時って自分が後ろに戻っている気になっちゃう時もあるじゃないですか。


山縣:でも、どっちみちどこかで壁にぶつかっていたと思うし、僕は前に進んでいる時間だと思っているので。そういう感覚を大事にしていました。


アクセルとなる「バックライン」強化と、2日後にくる筋肉痛

石川:(トレーニング風景を見て)うわ、すごい脚。筋肉やっぱりすごい。今、重点的にやっているトレーニングは何ですか?


山縣:背面のトレーニングは意識していて。


石川:背筋とか?


山縣:背筋とかお尻とかもそうですけど、体の後ろ側を全体的に。走る時はそこがアクセルになる場合が多いので。元々大事にしていたというのもあるんですけど、ケガして体つきが変わったり、昔できていたけど今は弱くなっちゃったみたいな場所とかどうしても出てくるので。それでバックラインにスポットライトを当てている。


山縣:強度の高い練習をやった時に筋肉痛が2日後に出ることがあまり言いたくないけど増えて。「きたわ、筋肉痛」みたいなのは思う回数が増えた。


石川:競技をやめようと思ったことはありますか?


山縣:体のことなので。個人的に決めているのは、第一線にどんなに頑張ってもたどり着かないと思ったら(引退は)そこかなと思っています。


第一線で戦い続けるため、山縣は今年から現役選手と大学講師の二刀流に挑戦。指導を通じて技術の言語化と頭の整理を行っている。


山縣:一番びっくりしたのは授業終わって体重計に乗ったら2キロくらい減っていたり。筋肉痛とかおきますね、普通に。


NEXT BREAK:35歳で日本記録を塗り替える

石川:山縣選手にとってNEXT BREAK POINT、次に山縣選手が見据える場所はどこですか?


山縣:35歳で日本記録を出したいと思っています。気持ちとしては日本記録保持者だということよりもチャレンジャー。ベテランでありながら、まだチャレンジできる状況にあるっていうのはすごく楽しい。「無理だ」って思われていることもあるかもしれないですけど、それをひっくり返してやりたいと思っています。


石川:自分が引退したからこそ、今、自分も素直に言えること、聞けることもあって。壁をどんどん突き破っていこうとしている山縣選手を見て、チャレンジし続ける姿を今回改めて見ることができた。


山縣:こういう時じゃないと、話せないスポーツのしっかりした話とか意外と話してなかったなって。同じタイミングに同じスポーツ選手をやっていたはずだけど、「そんなこと思っていたんだ」とか初めて知ることもあって。改めて日本記録出したいなって思った。頑張ろうと思います。


※TBSテレビ『BREAK~一流が迫る、アスリートの真実~』(毎週土曜深夜0時58分~)2026年10月31日放送より


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