このところ問題となっているのが、いわゆる「2馬力選挙」など、選挙の本来の目的である「自らの当選」を目指さない候補者の登場です。いま、千葉県知事選でも“異変”が起きています。歯止めをかけることはできないのでしょうか?
千葉県知事選でも“異変” 「自らの当選」を目的としない候補者登場
4日の衆議院本会議では、選挙ポスターに品位を損なう内容の記載を禁止するなどを盛り込んだ、公職選挙法の改正案が可決されました。
ほかの候補者の当選を目的として立候補するいわゆる「2馬力」選挙については、改正案の付則で「必要な措置を講ずる」と明記されました。
そんな中、選挙本来の目的である「自らの当選」を目指さない候補者が登場しています。
3月1日、兵庫県神戸市の繁華街は物々しい雰囲気に包まれていました。
新人「NHKから国民を守る党」党首 立花孝志氏
「これ、ちなみに千葉県の選挙なんですよ。千葉県の選挙を兵庫県の神戸でやってるのに、こんなにたくさんの人が来てくれているということは、やっぱり意味があるんですよ」
聴衆
「あるかい!」
2月27日に告示された千葉県知事選挙。17日間に渡る選挙戦に4人の候補者が挑んでいます。
現職 熊谷俊人氏
「日本の中で、世界の中で、輝く千葉県を私たちが作っていこう」
無所属で2期目を目指す現職の熊谷俊人氏。自民党や立憲民主党など5党の地方組織から支持を受けていて、犯罪抑止対策の強化や、成田空港を中心とした国際産業拠点を作ることなどを掲げています。
新人 小倉正行氏
「県民に対して(水道料金)20%の値上げを押しつける。これは知事の資質として私は失格だと思います」
無所属で共産党が推薦するジャーナリストの小倉正行氏。熊谷県政が方針を示す、水道料金の値上げを中止することなどを訴えています。
千葉県知事選なのになぜ兵庫で演説?
一方、前代未聞の選挙戦を展開しているのが、政治団体「NHKから国民を守る党」の党首・立花孝志氏と、政治団体「つばさの党」の代表・黒川敦彦氏です。
3月1日、2人が向かった先は、千葉県から約460キロ離れた兵庫県でした。
新人「NHKから国民を守る党」党首 立花孝志氏
「勝つことだけが選挙じゃないねん」
立花氏は演説で、出馬の目的は「当選」ではなく、“兵庫県知事の内部告発に関する情報を自身に提供した兵庫県議に参院選に出馬してもらうことだ”と主張しますが…
聴衆
「帰れ、帰れ、帰れ」
立花孝志氏
「嫌や、嫌や、嫌や」
演説会場では、“場外バトル”も勃発します。
新人「NHKから国民を守る党」党首 立花孝志氏
「阪神対巨人みたいに、こっちとこっちに分かれてもええんちゃう」
3時間を超えた立花氏の演説は、兵庫県の斎藤元彦知事らの疑惑に関連する話題に終始しました。
新人「NHKから国民を守る党」党首 立花孝志氏
「まさかこれが選挙演説だとは誰も思ってへんでしょうね。千葉県知事選挙を行っております」
立花氏が演説を終えると、今度は同じ場所で黒川氏がマイクを握ります。
自身に投票しない場合は、立花氏に投票することを呼びかけていましたが。
新人 政治団体「つばさの党」代表 黒川敦彦氏
「ぶっちゃけ、今回の千葉県知事選挙でも、俺らが何票とろうとかどうでもいいんです」
このような選挙運動を他の候補者はどう受け止めているのでしょうか。
小倉氏は「公選法から逸脱した選挙運動だ」としています。
熊谷氏は…
現職 熊谷俊人氏
「候補者には様々な形で公費が選挙活動に充てられていますので、それは県民の税金になりますので、県民の皆さんがどう思うかだと」
千葉県の選挙管理委員会によりますと、今回の選挙の予算は総額24億5000万円あまりで、全て「税金」でまかなわれています。
総務省によりますと、「公職選挙法には、選挙区外の公営施設での選挙運動はできないなどの規制はあるものの、基本的に選挙区外での選挙運動を禁止する規定はない」ということです。
鳥取県で全国初の試み 「宣誓書を提出」を求める
一方、「2馬力選挙」に歯止めをかけるため、独自に対応策を打ち出す自治体も登場しました。
鳥取県では、立候補を届け出る際に、県の選管が「自らの当選を目的として」立候補の届出を行い、「ほかの候補者の当選を目的」とした選挙運動を行わないなどを約束させる『宣誓書の提出』を求めることを決めました。
この宣誓書を提出しない場合は、立候補の届け出が受理されない可能性があります。
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