
松坂桃李さん演じる文部科学省の官僚が教員として学校に派遣され、奮闘するドラマ「御上先生」。実は、実際に文科省から学校現場に派遣され、教員を務めている官僚がいます。どんな先生なのでしょうか?
福島県立「ふたば未来学園中学校・高等学校」。高校一年生のクラスに入っていくのは、教員として文科省から派遣された官僚・酒井祐子先生(27)です。
ふたば未来学園高校 酒井祐子 先生
「通知表を配るので…」
もともと教員志望だった酒井先生。教員免許を持ちながらも官僚になり、省内の派遣制度に応募して、去年から教壇に立っています。
この制度は文科省に15年ほど前からあり、これまでにおよそ30人の官僚が全国各地の公立学校に派遣されています。
ふたば未来学園高校 酒井祐子 先生
「何を国がしたら、もっと先生方が工夫や創意工夫を生かした教育を行えるのか。先生方の声を聞きたいなと思って、こっちに来ました」
文科省と学校現場との距離を縮めたいという酒井先生。この日は、高校一年生の「探究」の授業でこんな問いかけをしました。
ふたば未来学園高校 酒井祐子 先生
「みんなにとっての理想の世の中って、どんな世の中ですか?ちょっと考えてみてもらえればな」
教員の働きやすい環境を作るという自らの理想を例にあげて説明すると、議論が盛り上がります。
「やりたいことができるくらいの力をつけられる世の中」
「誰でも意見が言える世の中」
“学歴にとらわれない世の中”と書いたものの、意見が割れたグループには…
ふたば未来学園高校 酒井祐子 先生
「両方のメリットをとるには、どんな世の中になるんだろうね?」
「さすが、ゆうこりん」
酒井先生を「ゆうこりん」と呼ぶ生徒もいるようです。
ふたば未来学園高校 酒井祐子 先生
「自分の理想の世の中には、何が課題なんだろうと考えてもらいました」
「こういうことを考えられるって、すごく新鮮で楽しかった」
「ちょっとそのモヤモヤが解消できたかな」
他の先生たちも、酒井先生を自然に受け入れているようです。
「官僚って感じはしないですね、正直」
「フランクに接して、同じ立場に立ってくださるので、とてもやりやすいです」
ふたば未来学園中学校・高等学校 郡司完 校長
「(酒井先生は)主体性があるのですが、相手に対する押しつけがなく、職員はもちろん、生徒の中にも自然に入っていて、素晴らしい活躍」
そんな酒井先生は、ドラマ「御上先生」をどう見ているのでしょうか。
ふたば未来学園高校 酒井祐子 先生
「本当にいろんな教育課題ってまだ山積みなんだなと感じて、何とかしないとなとは。パーソナル・イズ・ポリティカル(=個人的なことは政治的なこと)。実際に学校現場に来てみると、本当に生徒個々、先生方個々、それぞれ様々な問題を抱えていらして、結局ポリティカルな社会全体のこと、すごく勉強になる部分も多いです」
今年の夏には文科省に戻る酒井先生。生徒や教員、一人一人の声を持ち帰ろうとしています。
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