
旧統一教会に解散命令 政界と教団との関係解明は?
3月25日、東京地裁が旧統一教会に突き付けた、解散命令。「教団が著しく公共の福祉を害する不法行為を行ってきた」と断じました。
【写真を見る】旧統一教会に解散命令 政界と教団の関係解明は…被害者の救済も課題山積【サンデーモーニング】
世界平和統一家庭連合(旧統一教会) 田中富広 会長(3月25日)
「教団にとってみたら、法人にとってみたら、死刑です」
一方、長年にわたり被害者の救済に取り組んできた弁護士らは…
全国霊感商法対策弁護士連絡会 渡辺博 弁護士(3月25日)
「解散命令を出してほしいと何度も何度も訴えてきました。ここまで長くなろうとは…」
今回、東京地裁は「類例のない膨大な被害」が40年以上に及んだと指摘したのです。
全国霊感商法対策弁護士連絡会 紀藤正樹 弁護士(1993年4月)
「彼らのやっていることは違法行為、あるいは違法集団そのものなんだと」
弁護団によると、1987年から2023年の間だけでも、霊感商法や違法な勧誘で消費生活センターなどに寄せられた被害相談は約3万5000件。
霊感商法の被害者
「先祖の因縁から守られないということで、全財産を払って釈迦塔、全部で440万だったのを買うことになりました」
こうした被害額の訴えは、1300億円を超えるといいます。
これは1992年に行われた統一教会の合同結婚式。彼らの子どもたちも、親の高額献金によって生活苦に陥っていったのです。
活動が社会問題化する一方で、教団は政治家との結びつきを強めていきました。
1986年、自民党が圧勝した衆参ダブル選挙。統一教会の政治団体「国際勝共連合」が自民党を支援し、その機関誌では、130人を当選させたとアピール。教祖・文鮮明(ムン・ソンミョン)氏は、選挙支援に入る信者の力を、こう強調しました。
文鮮明氏(文鮮明先生マルスム〈御言〉選集より)
「選挙当時に日本のカネで60億円以上使った。統一教会は恐ろしいです。(信者が)40人いれば1人当選させることができます」
自民党を支援する中で、政界とのパイプを利用し、信者を増やしてきた統一教会。2019年の関連イベントには、のちに衆院議長となる細田議員が出席していました。
自民党 細田博之 衆院議員
「安倍総理に早速ご報告致したい」
その安倍元総理も...
安倍晋三 元総理
「韓鶴子(ハン・ハクチャ)総裁をはじめ、皆様に敬意を表します」
文鮮明氏の妻で、現在の教団トップ・韓鶴子総裁を讃えるビデオメッセージ。その発言を聞いたというのが、山上徹也被告です。
母親が1億円もの献金をしていたことで、教団への恨みを募らせ、あの日、凶行に及んだのです。
この事件を機に、教団と自民党の関係が一気に明るみに出ることになります。
教団関連のイベントへの出席や、選挙における教団関係者からの支援など、何らかの接点があった自民党議員は180人。
自民党政調会長(当時) 萩生田光一 衆院議員(2022年8月18日)
「いまだいろんなことで苦しんでいる方がいらっしゃる。このことには少し思いが足らなかったと反省をしております」
政府や自民党の要職にあった議員らが釈明に追われます。
経済再生担当大臣(当時) 山際大志郎 氏(2022年8月25日)
「報道に出てるものを見る限りですね、(教団関連イベントに)私が出席したと考えるのは自然だと思います」
あいまいな説明を繰り返していた山際大臣は、事実上の更迭。
さらに、こんなケースも...
自民党 山本朋広 衆院議員(2017年5月)
「マザームーンに先ほどカーネーションの花束を」
韓鶴子総裁を、教団内の尊称で「マザームーン」と呼んでいた山本元防衛副大臣。
記者
「マザームーンと呼ばれていた理由について、きちんと説明されてないんですけど」
山本議員
「…」
自民党との関係をめぐっては…
共産党 小池晃 書記局長(2022年10月7日・参院本会議)
「なんの調査もせずに、自民党と統一教会に組織的関係はなかったと、なぜ断じることができるのですか」
岸田文雄 総理大臣(当時)(2022年10月7日・参院本会議)
「特定の団体から不当な影響を受けていることはない」
自民党は、「旧統一教会と組織的な関係はなかった」と繰り返します。
元妻が教団に入信し、家庭が崩壊したと訴えてきた橋田さんは、解散命令を受けて...
被害を訴えてきた 橋田達夫 氏(3月25日)
「統一教会との関係のあった政党・政治家は(関係性の)全貌を調査し、公表すべきです。政治と行政がこの問題を放置してきたことは大きく、きょうを機に襟を正されることを求めます」
政界と教団との関係解明は道半ば。被害者の救済も、今後の課題が山積しています。
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