先行きが見通せない「物価高対策」。政府・与党は一律での「現金給付」は見送る方針を固めました。今後、どのような経済対策が打ち出されるのでしょうか?
給付・減税 総理のホンネは?
高柳光希キャスター:
自民党の物価高対策について、給付なのか減税なのか、またはそれ以外なのか、不透明感があり具体的な策が見えてきません。石破総理のホンネはどこにあるのでしょうか。
給付について、4月14日の衆議院予算委員会で、石破総理は「選挙目当てのバラマキは考えていない」と発言しました。
さらに政権幹部によると、現金給付見送りの方針を固めたとの報道もされています。
現金の給付は「なし」と考えてよいのでしょうか?
TBS報道局 政治部 難波澪 記者:
注目するべきは、「現金での給付は見送り」という点で、今、政権内では別の案が浮上しているといいます。
それが、「PayPay」などの電子決済やマイナポイントなどで給付するという案です。
このポイント給付のメリットは、▼貯蓄に回らず確実に消費を促せる、▼自治体が給付方法や使い道を決められる、▼補正予算を組まず、迅速な対応が可能(給付金額による)ということなどがあります。
高柳キャスター:
給付に関しては現金ではなく、それ以外の可能性もあるということですね。
一方で、減税については石破総理は様々な発言をしています。
3月28日の参議院予算委員会では、「検証を少しやらせていただきたい」とやや前向きな発言をしています。一方で4月1日の会見では、「税率の引き下げは適当ではない」という少し後ろ向きな発言もありました。
こうなると、石破総理はどのような方向性に向かっていくのでしょうか。
難波澪 記者:
ある政府関係者によると、「誰も総理が『消費税減税をしない』と断言できない」という状況だといいます。
その理由とも言えるのが、3月28日の参議院予算委員会で、石破総理が消費税の減税について「検証したい」と発言をしました。
国会の総理の答弁は、関係省庁や官僚、総理秘書官、事務方が書くものですが、予定されていた答弁とは違う発言をした。つまり総理自身の言葉であったということで、それを聞いて驚いたという方も非常に多かったです。
また、参議院予算委員会の前に行われた勉強会の中で、消費税減税について、石破総理が「各国の事例を見せて」という旨の発言をしたということで、勉強会の出席者は、総理が減税に対して興味を持っていると感じたといいます。
官邸が意識している「サプライズ感」
難波澪 記者:
そして最近、官邸が意識しているなと感じるのが、「サプライズ感」です。
最近、野党から先行して減税を求める声が相次いで上がったり、総理が減税に前向きなのではないかといった報道がたくさん出たりしたことで、消費減税の「サプライズ感」が非常に薄れてきていることを、政権内部の中では心配するような声も聞かれます。
これから“トランプ関税”が日本の経済に及ぼす影響がどれくらい出てくるのか、「しっかりと見極めて検証することも必要だ」という声も官邸の中で聞かれます。そういったことも併せて、トランプ関税対策・物価高対策を、最終的に段階をしっかりと踏んでいく必要があるのではないかといいます。
井上貴博キャスター:
与党としては選挙もあり、その「サプライズ感」を何とか演出していきたい。そして、野党に押し切られて減税したと見られたくないんだろうなと感じます。
減税を何のためにやるのかと考えると、物価高対策のため。そう考えると、やはり、食料品に限定した部分、つまり軽減税率を下げることが一番シンプルで効果的だと感じます。
参議院予算委員会で石破総理が消費税の減税について「検証したい」と予定外の発言をしたことで、関係者も驚いたという話がありまししたが、石破総理はそのような予定外の発言をする人なのか、それとも異例だったのか、そこの温度感はどう見ればよいでしょうか。
難波澪 記者:
政府関係者とよく話をしている中で、「総理は自分の言葉で話したい人なんだ」ということをよく聞きます。なので、この発言に限らず、自分の思いというのを言葉にしたいという総理なんだと思います。
出水麻衣キャスター:
これからサプライズがあるとすれば、その時期は見えているのでしょうか。
難波澪 記者:
選挙対策ではないということで、はっきりと時期は言わないですが、やはり参議院選挙の前に大きな目玉となる政策を掲げなければ勝つことはできないですし、今は少数与党というさらに厳しい状況です。
参議院選挙が近くなった時期、6月には骨太の方針という政府の経済・財政政策を打ち出す時期もありますので、それに合わせて経済対策を打つということも考えられると思います。
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<プロフィール>
難波澪
TBS報道局政治部 官邸クラブ
安倍政権時代から経済政策など取材
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