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「消費税減税の大合唱」も課題は山積…ブレ目立つ石破総理 「痛税感」の抑制などで“真の物価高対策”を

国内
2025-05-04 07:00

コメの店頭価格が16週連続で値上がりするなど、物価高が国民生活の重い負担となっている。


【写真で見る】与野党が“消費税減税の大合唱” 各党の訴え詳細は?


こうした中、夏に参議院議員選挙を控える与野党からは「消費税の減税」を公約に掲げる動きも出始め、物価高に苦しむ国民からの期待も高まっているが、「消費税の減税」については数々の課題が議論を尽くされないまま残っている。


与野党が“消費税減税の大合唱”

消費税減税について、政府は「全世代型社会保障制度を支える重要な財源と位置付けられている。税率を引き下げることは適当ではない」という立場を維持している。


しかし、自民党の参議院議員のアンケートでは約8割の議員が消費税の減税を求めているほか、連立を組む公明党も減税を前提とした経済対策を石破総理に求めるなど、与党内からも消費税の減税を求める声が高まっている。


また、これまで消費税の減税に慎重な姿勢を示していた立憲民主党の野田代表も4月25日、給付付き税額控除を実現するまでの時限的な措置として、食料品にかかる消費税を原則1年間ゼロにする政策を参院選の公約に盛り込むことを決めた。


この他、
▼日本維新の会は、「食料品の消費税を2年間ゼロ」
▼国民民主党は、「時限的に一律で消費税を5%に引き下げ」
▼共産党は、「消費税率を5%にして、廃止を目指す」
▼れいわ新選組は、「消費税の廃止」
を訴える。


ある自民党幹部は「参院選に負けて政権交代したら、それこそ野党は大減税する」と懸念を示し、参院選で負けないためにも、ある程度、消費税の減税を参院選の公約に盛り込むことを検討をすべきだと危機感をあらわにしている。


消費税の減税、議論尽くされぬ課題の数々

立憲民主党が参院選の公約に“食料品にかかる消費税を、原則1年間ゼロにする”と盛り込むことを決めた日、自民党の森山幹事長は「1年間の限定だったら、消費税を下げるのではなく、別にやれる方法があるのではないか」と提起した。
消費税の減税をめぐっては、「財源の問題」や「一度引き下げたら元に戻すのが難しい」と指摘する声も上がるが、この他にも議論が尽くされていない課題が山積している。


<課題(1)更なる物価上昇の可能性>
物価高対策として、政府・与党内で浮上している案に「消費税減税」や「現金給付」などがある。


消費税減税は消費が伴うため、貯蓄に回る可能性のある現金給付に比べ、景気刺激の効果もあるとされるが、消費が活発化することで更なる物価高に繋がる懸念も残る。


「経済活動が止まったコロナ禍」と「物価高の今」とでは経済状況も異なる。景気を刺激することの是非や、現金給付により一部が貯蓄に回ることの是非などについても深い議論が求められる。


<課題(2)「減税」と「給付」実際どちらが支援に繋がるか>
立憲や維新は「食料品にかかる消費税の減税」を主張している。これは、食料品は生活に欠かせないものであることや、値上がりが顕著なのがコメなどの食料品であり、食料品に絞った減税というのは財源も考慮されたものとも言える。


では、「消費税の減税」と「現金給付」の場合、どちらが生活者の支援になるのだろうか。財務省は、食料品などの軽減税率8%を0%にすることで失われる税収は年間約5兆円だと説明している。この5兆円は現金給付だと国民1人一律4万円程度に相当する。


では、減税で4万円分の恩恵を受けるには、どれぐらいの食料品などの購入が必要になるのか。計算すると50万円分となる(50万円×8%=4万円)4人家族なら200万円分の食料品などを買った時に、現金給付と同等の恩恵を受けることとなる。


「消費税減税」と「現金給付」のどちらが支援に繋がるのか、各家庭により事情は異なるが、こうして具体的な数字で示すことで、見え方も変わってくるのではないだろうか。


<課題(3)飲食店への影響>
飲食店では、店内での食事は税率が10%だが、弁当にして持ち帰ると軽減税率の対象となり8%となる。仮に軽減税率8%を0%にした場合どうなるのか、国民民主党の玉木代表は店内飲食(10%)と持ち帰り(0%)で10%の差となることから「外食する人がすごく減ってしまうのではないか。その意味でも飲食店の経営には大打撃になる可能性がある」と指摘する。


この他にも、「単価の高い食材を買う傾向にある高所得者の方が恩恵を受けやすい」「減税を見越した買い控えが起こる」などの懸念の声も上がる。


与野党各党から「消費税の減税」を求める声は上がるが、その効果と副作用の議論が尽くされたとは言い難い


また、税は国の財政の根幹をなすものであり、「一時的な上げ下げが適当なのか」「変えるのであれば社会保障などと一体で考える必要はないのか」「毎年のように給付や減税を繰り返すのであれば、歳入・歳出のあり方自体に問題はないのか」など、議論しなければならない課題は山積している。


求められる「真の物価高対策」

消費者は日々目の当たりにする食料品の物価高に「痛税感」も覚えている。痛税感とは国民が納税を負担に感じることで、この痛税感を和らげるのは、税負担を抑えることの他に、税金が正しく使われているという納得感だ。


つまり「痛税感」を抑えるには、政府が適切に税金を集め、国民のために適切に使っているという信頼感を得ることが肝要となる。そういう意味では、政治が国民の信頼を取り戻すことも“物価高対策の一つ”とも言える。


消費税減税に石破総理はどう対応するのか

これまで、消費税の減税をめぐり「否定しない」と言ったかと思えば、「適当ではない」と発言するなど、ブレが目立つ石破総理。


4月30日には「高所得の方、あるいは高額消費も含めて負担が軽減されることになる。低所得の方が物価高に一番苦しんでいることを考えた検討が必要だ」と、消費税の減税には慎重な姿勢を見せつつも、「具体によく詳細に検討してみなければならない」と、今後、よく精査し議論していきたいとの考えを示している。


夏の参院選を控え、消費税の減税をめぐる議論も熱を帯びることが予想されるが、「選挙対策」ではなく、「真の物価高対策」に向けた与野党の真摯な議論が期待される


TBSテレビ政治部・官邸キャップ
中島哲平


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