今回の参議院選挙で14議席と躍進した「参政党」。参政党が躍進したワケをJX通信社・米重代表の分析とともに考えていきます。
【画像で見る】参政党“躍進”のワケ 神谷代表の経歴もおさらい
激戦区の都市部でも議席獲得 参政党躍進の背景は?
井上貴博キャスター:
今回の参議院選挙で参政党は、45の全選挙区に候補者を擁立しました。やはり地方組織、基盤がしっかりしているということは参政党の一つの特徴と言われている部分です。
特に都市部で力を発揮したというのは特色として言われています。
【参政党が躍進】
▼大阪(定員4)
宮出千慧氏 :51万518票
→自民は議席ゼロ
▼愛知(定員4)
杉本純子氏:53万1387票
→公明の現職を破り当選
▼東京(定員7)
さや氏:66万8568票
→候補者32人の激戦区で当選
選挙区:7議席 比例:7議席
井上キャスター:
そもそも「参政党」とは、どんな政党なのか?神谷宗幣代表についてです。
【神谷宗幣代表】
▼2007年(29歳):大阪・吹田市議に当選
▼2010年(32歳):全国の地方議員らによる「龍馬プロジェクト」発足
▼2012年(35歳):自民党から衆院選に出馬
▼2020年(42歳):参政党を結党
参政党が今回掲げたキャッチフレーズが「日本人ファースト」です。▼外国人労働者の受け入れ制限▼外国資本による企業買収や土地購入、生活保護などの制度の厳格化を訴えています。
これについて支持者からは、「外国人の問題は前から感じていた。マナーを守らない外国人が目に付く。国がしっかり守ってほしい(60代・女性)」、「外国人を何でも受け入れていたら収拾がつかなくなる。今ならまだ間に合うのではないか(60代・男性)」という声がありました。
なぜ「日本人ファースト」は一部の有権者に刺さったのか 背景に円安も?
井上キャスター:
参政党の躍進についてJX通信社の代表取締役・米重克洋さんは、参政党が反石破・親安倍・反民主の保守層と、インバウンド客らに不満を感じる人々の“受け皿”になったためではと分析しています。
JX通信社 代表取締役 米重克洋さん:
今回参政党に投票した人の内訳を見ていくと、石破内閣に対してはすごく否定的なんだけれども、かつての安倍政権はすごく肯定的に評価をしているという傾向が見られます。
同時に、野党の中でも旧民主党政権に対しての評価が一番低い。これらの特徴をまとめると、元々安倍政権のときには自民党支持層だったような方々の一部が、参政党に大きく流れていっているということがうかがえます。
同時にそういった人たちに対してアピールする一つの材料として、外国人に関する政策を打ち出して、それが届いた部分もやはり大きいのではないかと思います。
振り返ってみると、日本は物価高の中で円安が非常に進んでいると。円安になっていくと外国人の方、インバウンドがたくさん入ってきます。
彼らは例えば1食5000円のラーメンや、1泊10万円のホテルも本当にカジュアルに手を出すことができるわけです。
一方で、日本人は円安がコストプッシュ型のインフレということで、まさに物価高に直結をしていく。
日本人は生活が苦しいのに、外国人はすごくリッチな感じに見える。その中でマナーが悪いなど、個人的な体験も含めて経験をされてる方、見られてる方がたくさんいるんだと思います。
今SNSでも「迷惑外国人」といったテーマの投稿がすごくバズりやすい傾向があるので、そういったことでなんとなく「外国人ちょっと多すぎなんじゃないか」みたいな社会的な雰囲気も充満をした。そこにこの「日本人ファースト」というキャッチコピーはかなり刺さった。結果として保守層を取り込むような材料になってるのではないかなと考えてます。
スポーツ心理学者(博士) 田中ウルヴェ京さん:
「外国人」や「日本人」と大きな主語でひとくくりにすることの善し悪しは避けたいものの、やはりそれがわかりやすかった。
つまり、神谷さんがおっしゃってることをしっかり読んでいくと、教育に関することや、外国人といっても実はこういうことで…など詳しく書いてある。そのことに対して、皆さんがどのように感じたかという結果だったと思います。
今回の選挙で良かったことは、どのような方でも「投票しよう」と思うようになったことは、大きいと思います。心理的に考えれば、無関心な人にどうやって好奇心を持たせるか、というのは一番難しい最初のステップです。
どんなことであれ、自分の考えていることと同じことを言っている人がいる。それだけでも、もうちょっと政治を知りたいな、その知りたいというものに対してアクセスできたことは大きいんだなということは思いました。
井上キャスター:
もちろん差別や排外主義には反対です。一方で「日本人ファースト」という言葉を聞いて即「これは差別だ」と過剰反応するのは、個人的に違和感があります。
綺麗ごとに聞こえるかもしれないですが、最終的にどのような相手であっても対話を諦めては駄目な気がします。それを排除したら駄目だし、だからこそ、我々テレビ報道も結果的にそこに与していることはないか、ということを自問自答すべきだと思います。
だから、ウルヴェさんもおっしゃったように、外国人というくくりが大きくなりすぎることの怖さもある。そこをどう考えていくのかは、これからの課題でもあるのかなと感じます。
データ分析のプロが見る「参政党のSNS戦略」
井上キャスター:
参政党が躍進した背景の一つにはSNS戦略もあります。実際に支持者からは「支持する政党はなかったが、たまたま参政党のYouTubeを見て興味を持った(40代・男性)」という声もありました。
参政党のYouTubeの登録者数は約46万人で、これは政党別で最多となっています。
また米重さんは「参政党の組織的なネット戦略が成功した」と分析しています。
【参政党】
支部:全国に287
地方議員:約150人
党員:約8万5000人
(HP・神谷代表の発言より)
JX通信社 代表取締役 米重克洋さん:
組織の力で地道な活動を積み上げてきたことは事実だと思いますが、同時に外形的にネット戦略というものを見たときに、そこも組織的にやっている部分があるのではないか、というのが私がかなり感じているところです。
もちろん私は参政党の中の人ではないので、実際にどこまで組織的に統制をして(SNSを)やっているかわからないのですが、とにかくTikTokやXなどSNS上で、支部や議員・党員の方のアカウントの数がものすごく多いことは、他党に比べて顕著です。
他の政党を思い浮かべていただくと、結構党首の発信にすごく頼っている部分があると思います。
一方で、参政党の場合はたくさんの人が人海戦術でいろんな動画や投稿をしていて、その中から確率的に結構バズったり、広がっていくものが出てくる。その物量の部分においては圧倒的なところがあるなと。これが非常に組織的なネット戦略として、今回奏功した部分はかなりあるのではないかと見ています。
井上キャスター:
さらに伸びる可能性もある?
JX通信社 代表取締役 米重克洋さん:
そうですね。やはりネットというものは、もはや選挙における投票の意思決定に欠かせない情報媒体になっています。やはりそういった部分でこれからますます役割が大きくなると思います。
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〈プロフィール〉
米重克洋さん
JX通信社 代表取締役
全国の報道機関にニュース速報や世論調査を提供
選挙分析も手がける
田中ウルヴェ京さん
スポーツ心理学者(博士)
五輪メダリスト 慶應義塾大学特任准教授
こころの学びコミュニティ「iMiA(イミア)」主宰
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