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読書は“ノイズ”に!? 進む読書離れが社会にもたらす弊害 世界で広まる「反知性主義」が奪う“理解と対話”【サンデーモーニング】

国内
2025-08-24 15:07

夏休み、子どもたちにお馴染みの宿題といえば読書感想文ですが、いまその読書をめぐって変化が起きています。


【写真でみる】読書離れがもたらす社会とは…過去には“焚書”“禁書”も


読書感想文を代行? 利用者の8割は“受験を控えた子ども”をもつ保護者

夏休み終盤、宿題のヒントになるような展示や体験ができるイベントには、大勢の子どもたちが。


小学3年生
「自由研究と読書感想文だけはまだ終わってない」


夏休みの子どもたちが苦戦するものといえば、自由研究と読書感想文。


そんな中、男性が黙々と読んでいるのは、ヘミングウェイの「老人と海」。こちらは「読書感想文の宿題代行サービス」です。


宿題代行救急隊 荒木聡 代表
「学年に応じた表現の仕方というのがありますので。AIでしか拾わないような難解な言葉がないようにチェックしています」


荒木さんの元には、毎年20件から30件の代行依頼が来ます。料金は400字詰め用紙一枚で、3000円ほど。完成したものをそのまま学校に提出するのではなく、最後は、必ず子ども自身に手を加えてもらう約束で請け負っています。


依頼者の8割は受験を控えた子どもを持つ保護者だといいます。


荒木 代表
「(子どもたちが)塾の夏期講習の宿題や課題で、学校の宿題までは手が回らないと。(親が)自分の子どもに、(親が)どう教えたらいいのか分からない」


子どもたちが読書に時間をかける余裕がない中で、大人たちも読書から遠ざかっている現状があります。


読書が“ノイズ”に!? 読書離れがもたらす危険とは

2024年、文化庁が1か月に読む本の数を調査したところ、1冊も「読まない」と答えた人の割合が62.6%にのぼりました。さらに、全国の書店数はこの10年間で、約3割も減少しています。


街の女性
「あんまり長時間、文を読むのが苦手で」
「最後に読んだのは1年前ぐらい。携帯とかで情報得られるので」


著書「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」が話題となった、文芸評論家の三宅香帆さんは…


文芸評論家 三宅香帆さん
「たとえば自分の何か知りたいことを調べようとすると、本だとその周辺にある『なんでこれが起こったのか』『どういう経緯でこれが起こったのか』みたいなことまで教えてくれる。でも今、インターネットで調べるのに慣れてしまった現代人にとっては“ノイズ”に感じてしまう」


いまや多くのひとが、知りたいことに直接答えていない情報は煩雑で余計な“雑音”、いわば“ノイズ”と感じてしまうというのです。


例えば「今世界で戦争が起こっている理由」を考える時、戦況などはSNSでも、すぐ得られますが、本からは、背景となる文化や歴史などの本質的な知識や深い教養が得られます。にもかかわらず、進む「読書離れ」。三宅さんは、その弊害に警鐘を鳴らします。


三宅さん
「SNSや短い動画ばかりに慣れていくと、自分の知っている範囲のことだけを楽しむような情報環境になる怖さはある。本離れが起きていくと、世代やバックグラウンドが違う人とか、自分にとって心地よくない意見を受け入れづらくなっちゃう」


世界で広がる“反知性主義” 社会から失われるものとは…

知らない世界や、異なるものへの想像力を養い、多様性や普遍的な価値観を学ぶきっかけとなる読書。それゆえに、しばしば専制的な権力は書物を危険とみなし、排除しようとしてきました。


例えば、ナチスドイツでは、反ナチス的な作家の本を燃やす焚書事件が。


また中国では、文化大革命に際し、作家や知識人が弾圧され、戦前・戦中の日本でも、発禁処分などが行われました。


そして、近年アメリカでも、人権や人種問題などに関する本が、教育現場から排除される動きが起きています。


権力によって、危険とされた思想や不都合な真実を記した本を手に取ることが許されなかった一般市民。ところが、いまや私たち自身が、自ら本を手に取らなくなっています。


そうした状況に、日本ペンクラブの山田健太副会長は...


日本ペンクラブ 山田健太副会長
「“戦争を止める・平和を維持する・貧困をなくす”、そのためには知というもの、知識を高めていく、それを文化として継承していく必要がある。“反知性主義”という言葉が今、非常に力を持っている。複雑なことについて考えなくなって、他者のことを知る必要がないと思っているから対話しない。この対話のなさが読書なき社会の負の側面の一つ。社会全体が考える時間が必要だし、そのために書を読む、読書というものが必要」


年々進む「読書離れ」。今後、人の生き方や社会にどんな影響を及ぼすのでしょうか。


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