“働き方のイマ”に注目する「work23」。コロナ禍で広がった“テレワーク”。自宅だけでなく、観光地などからリモートで働く“ワーケーション”も広がりました。一方で、コロナ禍があけ、「出社回帰」の流れも年々強まっています。「出社」か「リモート」か、働く人たちのホンネは?
【写真を見る】駄菓子屋をイメージ?出社して会議したくなる“会議室作り”
ワーケーション施設の利用者数が伸びず…背景には「出社回帰」の動き
新型コロナウイルスのパンデミックから5年。この間に様々な「新しい働き方」が生まれました。観光地などで、テレワークをしながら休暇を楽しむ「ワーケーション」もその一つ。
静岡県下田市は海と山、風光明媚な自然を武器に、ワーケーションでの観光客誘致に取り組んできました。しかし…
静岡・下田市役所 産業振興課 担当者
「ワーケーション拠点施設として運用していた施設から、7月末をもって企業が撤退された」
市と民間企業が協定を結び、コロナ禍の2021年にオープンさせたワーケーション施設。利用料金は1部屋1日10万円で、当初、年間300人から500人の利用を見込んでいましたが、実際はその半数ほどにとどまったのです。
静岡・下田市役所 産業振興課 担当者
「仕事と遊びが両立というところもあって、企業の労務管理の困難さや、あとは出張旅費の支出の難しさもあり、利用者数が伸びなかったことが撤退の原因」
施設は現在、利用中止となっていますが、今後もワーケーション施設として利用できるよう検討を続けるということです。
また、市内にある無料のワーケーションスペースの利用者は増えているため、ワーケーションによる観光客の誘致をこれからも続けるということです。ただ、テレワーク導入企業の中でワーケーションは広がらず、去年は0.9%にとどまりました。
週5日出社 ヘルスケア関係(40代)
「ワーケーションをやろうとしたときに、いろいろお金もかかるんだろうと思ったので、いまいち踏み切れなかった」
すっかり定着した「テレワーク」も転換期を迎えています。キーワードは「出社回帰」。
働く人のホンネは?“会議室作り”に注力した企業も
クラウド会計ソフトの開発を行う企業は、新型コロナが猛威を振るい始めた2020年にフルリモートを導入しました。しかし、感染状況を踏まえながら段階的に出社日数を増やし、現在は原則、週5日出社となっています。
テレワークから「出社回帰」した理由。
フリー 総務部門マネージャー 豊村麻美さん
「ちょっと声をかけて済むような質問でも、都度ミーティングをセットしないといけない。そうなると事業のスピードが落ちてしまう。そこに課題を感じていた」
社員からの評判は、上々のようです。
前職がフルリモート
「(テレワークは)隙間がなく、ウェブ会議が敷き詰められがち。今は会議室の移動がある。あれ最高に良いなって思って」
入社2年目
「(理由があれば)上長に言えばリモートできる環境ではあるので、そこまで不便せずって感じ」
さらに、出社して会議をしたくなる“会議室づくり”にも注力。こちらは“駄菓子屋”をイメージしたそうです。
社員
「駄菓子があるからこそのコミュニケーションが生まれるかなと思う。そこから話が広がったりとかも」
直近の1年間でテレワークをしたことがある人の割合は、国交省が調査を始めた2021年が最も高く、その後は右肩下がりで推移しています。
「出社」か「テレワーク」か。あなたが希望する働き方は?
週5日出社メーカー(30代)
「リモート派です。出社するまでに化粧したり、準備にすごく時間がかかる」
週5日出社イベント関係(30代)
「出社派ですね。働く時と休む時の『ON』『OFF』をつけたい」
週5日出社メーカー(50代)
「(テレワークは)ただ業務をこなすという意味ではいいが、会社が発展していく上では足りないことがある気がする」
世界でも出社回帰の動き テレワークだと生産性が下がる?
藤森祥平キャスター:
日本は「出社回帰」に動いているようですが、例えば北米トヨタでも、9月からは週4日のオフィス勤務が義務化され、AmazonやJ.P.Morganでも今年に入ってから週5日の出社が義務化されました。
小川彩佳キャスター:
コロナ禍で一気に広がったテレワークですから、見直しも必要だとは思いますが、私は幼い子どもを育てているので、テレワークがないと生活が回らない、という不安があります。
藤森キャスター:
小川さんはテレワークになって、自分の中での仕事の質や生産性は上がったと感じますか。
小川キャスター:
実際、テレワークがあることの有難みを感じていて、この仕事をしながら育児を両立させるにはテレワークがないとなかなか厳しいのではないかという感覚があります。育児だけではなく介護や闘病、不妊治療など様々なことを抱えながら仕事をしている方がいますから、テレワークは必要なものではあると思います。
トラウデン直美さん:
家庭の個人的な事情以外にも、職種によっても絶対違いますし、個人によって家の方が集中できる人や、家だとプライベートとの切り替えができないという方もいます。企業側からしても、効率面やセキュリティ面のリスクもあると思うので、「出社」か「テレワーク」のどちらが良いっていうことではないと思います。
ですが、コロナ禍でテレワークを経験できたのは、すごく良かったんじゃないかなと思っていて、それぞれの事情に合わせて「この期間はテレワークさせていただきます」というのは言いやすくはなっていると思います。基本的には出社するけど、事情があればリモートや、混雑する旅行の時期は避けて長期で休暇を取ることも前よりもしやすくなっていれば良いなと思います。
藤森キャスター:
アメリカ・マサチューセッツ工科大学の研究によると、新規で採用された職員に同じ仕事をしてもらい、そこからランダムで完全テレワークの労働者とオフィス勤務の労働者を比較すると、完全テレワークの人たちの労働生産性は2割近く落ちているそうです。
その理由をテレワークで働いたことある方に聞きました。
テレワークだと“サボる”?「仕事の“成果”で評価する取り組みを」
Q.テレワークでサボっちゃうとかあります?
20代会社員
「ありますあります。画面越しでは会話してるZoomで会話しているけど、TikTok開きっぱなしとか」
40代会社員
「だらけちゃいます。テレビつけちゃったりとか」
30代会社員
「パソコン起動すると出社。厳しくオンラインにいる時間を計られると困る」
20代会社員
「(テレワークは)管理されている感はありました。お昼休みに入る前と戻った時も、一報を上司に連絡を入れる。何時になったら業務の進捗を報告するみたいなのもあって嫌でした」
藤森キャスター:
さらに、テレワークの監視ツールがありまして、例えばパソコンの起動時間や動作管理、管理カメラによる席を離れるかどうかの監視などがあります。
トラウデンさん:
正直、ここまでするならもうテレワークしなくていいんじゃない?って思います。
藤森キャスター:
テレワークの監視は必要なのか、日本テレワーク協会の吉田英樹主席研究員によると、「テレワークでサボる人は出社をしていてもサボる」ため、「監視をしても生産性が上がるとは考えにくい」ということでした。また、「仕事をした“時間”ではなく、仕事の“成果”で評価する仕組みを取り入れることが、一番効果的ではないか」とのことです。
トラウデンさん:
テレワークでは、ぱっと一言で済むようなことに対して、時間を設定する必要があると思うので、コミュニケーションの円滑さに関しては、対面に代わるものはないと思います。
小川キャスター:
出社とリモートのバランスを考えることは、どんな組織にするか、何を目指すということに直結しますから、この見直しの議論をこまめにすることが必要ですね。
藤森キャスター:
生産性を上げるためのテレワークですから。
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<プロフィール>
トラウデン直美さん
Forbes JAPAN「世界を変える30歳未満」受賞
趣味は乗馬・園芸・旅行
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