東京高裁が旧統一教会に改めて解散を命じました。これにより、教団側の財産をめぐり「清算手続き」が始まります。高額献金の被害を訴える人たちへの返金は進むのでしょうか。
【写真で見る】本部へ金が流れている?ジャーナリストが入手した「教団の財政」
法的な拘束力はない…開始された「清算手続き」とは?
井上貴博キャスター:
東京高裁の決定で旧統一教会に解散が命じられましたが、教団の財産などを処分する「清算手続き」。
「清算手続き」では、裁判所が選んだ「清算人」が「信教の自由」に配慮しながら、
▼宗教法人の財産の管理・処分
▼高額献金をした被害者への弁済
を進めていきます。
文科省の指針では、「一人の被害者も取り残すことのないよう被害回復を図る」としています。しかし、これは指針であり、法的拘束力などはありません。
弁済に回るはずの資産が減少している?教団の財政から見える懸念
井上キャスター:
文化庁の資料によると、被害者は約1550人、被害額は約204億円とのこと。しかし、これで全ての被害を把握できているのかまだわかりません。
鈴木エイト氏が入手した資料によると、教団の財政は、2021年は収入が499億円、支出が368億円と、収入が上回っている黒字の状態です。主な収入源は献金です。
2025年は収入が124億円、支出が120億円。さらに、240億円の特別支出があるとのことで、これらを合わせると赤字になっているということがわかります。
【教団の財政】
※鈴木エイト氏が入手した資料によると
▼2021年:収入499億円、支出368億円
▼2025年:収入124億円、支出120億円 + 240億円の特別支出
これは日本の教団内の財政状況であり、韓国にある本部へ金が流れている可能性もあると思います。
ジャーナリスト 鈴木エイトさん:
長年の教団の被害を考えると、韓国への送金額は累計1兆円近くにもなると見られています。2000年代初頭は「1000億円送っていた」という話もあります。こういったことから考えると、潜在的な被害者もかなり多いのではないかと考えられます。
前回の地裁の中で判明した「3年前の教団の経理状況」では、約1200億円あった現預金が年々200億円ずつ減っています。3年前の収支の中で約800億円以上あった現預金が、現在は約400億円になっているのではないかと考えています。
そのため、「被害者に弁済されるべき資産が減っているのではないか」という懸念があります。
また、特別支出の中に不動産が増えています。このことから、「不動産をかなり購入しているのではないか」というところも懸念されています。
井上キャスター:
不動産を購入していたとして、「購入した不動産を売却して、補償に回しなさい」ということはできるのでしょうか。
ジャーナリスト 鈴木さん:
もちろんできます。しかし、信教の自由の観点から、宗教活動や礼拝などに使っている教会などの不動産は最後に処分されます。
教団としてそういった狙いがあるのかはわかりませんが、“現金を減らして、不動産を増やしているのではないか”ということも、財政状況から見えてきます。
お笑い芸人 令和ロマン 松井ケムリさん:
教団が補償していくにあたって、資産を隠す可能性はあるのでしょうか。
ジャーナリスト 鈴木さん:
裏帳簿もあると言われているので、無いとは言い切れません。しかし、「不動産を現金化して送る」といったことは、特例法ができたことでできなくなっています。
「信者にお金を持たせて、韓国に持って行かせているのではないか」という指摘はずっとされています。何百億円という形でなくても、数億円単位で少しずつ目減りしてきたような気配はあります。
「関係断絶の方針を表明」も…多くの議員が教団と接点アリ
井上キャスター:
「旧統一教会」が注目されるきっかけとなったのは、2022年7月の安倍元総理銃撃事件です。
3日の衆議院予算委員会では高市総理が、「旧統一教会の関係と知らずに、1994年から2001年にかけて、『世界日報』から5回インタビューを受けたことがある」と話しました。
自民党は、こういったことが明るみに出た後、党内でアンケート調査を行いました。その結果、「選挙の協力を得ていた」など、多くの議員に教団側との接点が判明しました(2022年9月)。
当時、岸田総理は、“関係断絶の方針”を表明していました(2022年8月)。
「党内のアンケート調査というのは少し甘すぎないか」ということも言われていましたが、今後の政治と宗教の関係性をどう考えますか。
ジャーナリスト 鈴木さん:
政治と宗教の関係ということですが、旧統一教会は「宗教団体の殻をかぶり反社会的なことをやってきた団体」と捉えた方がいいと思います。
そういう団体と政治家はどう付き合っていくべきか。教団に対して解散命令が出ましたが、これだけ被害が長く続いてきた背景には、政治家との関係があったと考えられます。
その果てに、安倍元総理銃撃事件が起こったと考えると、もっと早くこういった判断を出していれば被害は続かず、事件も起こらなかったのかもしれません。教団だけがここまで追い込まれているというのは、バランスが取れない感じがします。
宗教団体には“透明性”が重要か
井上キャスター:
例えば日本では、宗教団体の財務状況を一般公開する義務がありません。一方で、海外では義務化が進んでいます。
しっかりとした宗教団体を守るためにも、税で優遇するのであれば、お金を見える化するべきではないかと個人的には思います。
ジャーナリスト 鈴木さん:
透明性を担保した上で、しっかりと公表していけば、通常はこういったように追い込まれることはないと思います。そういう点においても、透明性が一番大事だと思います。
井上キャスター:
今回は旧統一教会の問題ですが、旧統一教会だけが悪かったということにすると、事態の本質を見誤るのではないかという気もします。
お笑い芸人 令和ロマン 松井ケムリさん:
透明性という点でいうと、献金などは記録が残っていることもあると思います。例えば霊感商法など、商品として何かを買った記録は残っているのでしょうか。
ジャーナリスト 鈴木さん:
無いケースが多いです。しかし、現物が残っていたり、例えば当人が亡くなっていたりしても、遺族がそれを元に弁済を求めていくという道もあります。したがって、決して諦めず、30年、40年前の被害でも相談をしてほしいと思います。
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<プロフィール>
鈴木エイトさん
ジャーナリスト
旧統一教会を20年以上取材
お笑い芸人 令和ロマン 松井ケムリさん
1993年生まれ 慶應義塾大学法学部卒業
M-1グランプリ2023・2024 史上初の連覇達成
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