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殺傷能力のある“武器”も輸出可能に?“日本の安全保障政策の大転換” 与党 6日にも政府に提言【Nスタ解説】

国内
2026-03-05 20:45

いま、政府・与党内で防衛装備品の輸出拡大をめぐる議論が本格化しています。日本の安全保障政策の“大転換”と位置づけられているこの議論。はたして、どのように変わっていくのでしょうか。


【画像で見る】他国へ輸出できる装備品(5類型)


そもそも「防衛装備品」とは? 輸出ルールの現状と与党の提言

高柳光希キャスター:
国を守るために使う武器や乗り物である“防衛装備品”。この輸出のルールを変えていこうというのが与党の提言です。


「防衛装備品」に関して、現在認められているのは以下の通りです。


▼他の国との共同開発
▼部品の輸出
▼条件付きでの完成品の輸出


TBS報道局政治部 防衛省キャップ 渡部将伍 記者:
日本は平和主義国家としての理念に基づき、戦闘機やミサイルなどの殺傷能力のある武器の輸出は認めないとしてきました。


「完成品」のうち他国へ輸出できるのは、次の5つの目的(5類型)で使われるものに限られています。

▼救難
▼輸送
▼警戒
▼監視
▼掃海


つまり、直接攻撃する目的ではなく、誰かを助けたり運んだり、警戒を行ったりする目的で使われる装備品であれば、輸出できることになっています。


殺傷能力のある“武器”も輸出可能に?“日本の安全保障政策の大転換”

高柳キャスター:
今回の与党の提言は、この5類型を撤廃するというものです。つまり、殺傷能力がある“武器”も輸出が可能になるのでしょうか。


TBS報道局政治部 渡部記者:
今回与党がまとめた案では、殺傷能力がある武器の輸出を原則認めるとしています。しかし一概に何でもOKというわけではなく、与党案では大きく3つの歯止めを設けています。

▼相手を絞る…協定を結んだ国に限定する
▼場所を絞る…戦闘中の国は原則認めない
▼丁寧な説明…国民・国会の理解


TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
宮澤喜一さんは、かつて国会で「日本は武器を輸出してお金を稼ぐほど落ちぶれていない」と答弁しています。つまり、日本は多少お金儲けをしなくてもいいから、武器を輸出しない国として維持していくんだということです。


まずは、これまでの「日本は武器を輸出しないで世界に冠たる立場を維持していく」という部分が変わるのか、変わらないのかという議論をしてもらいたいと思います。

技術的な「5類型」の撤廃などの話だけでなく、そのような議論がないまま進んでいくことは非常に危険な面がある気がします。


井上貴博キャスター: 
この点は意見がきっぱり分かれるところだと思います。星さんが話したように「お金稼ぎはやるべきでない」という意見もあります。

その一方で、防衛装備品の輸出緩和は単なるビジネスではなく、平時から協力関係を結ぶことで安全保障を強力にし、何かあったときに日本の抑止力につながるという考え方もあります。

今までの与党では公明党がブレーキ役になっていましたが、日本維新の会がアクセル役になったという点についても見ていく必要があると思います。


TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
この問題のさらに危ないところは、法律ではなく単なる与党の合意だけで運用していくことです。国会という文民統制の本筋のところで、統制がきくのかという問題も出てきます。


なぜ今、制限撤廃? 「日本を守る」メリットも?

高柳キャスター:
いま“武器”輸出の制限撤廃が必要な理由の一つとして、「同盟国などとの防衛協力関係の維持」が挙げられます。


TBS報道局政治部 渡部記者:
今の時代というのは、非常に複雑な安全保障環境にあります。また外交・安全保障の世界には「苦しい時に武器を融通し合えない、支え合えない国とは本当の同盟は組めない」という考えもあります。


さらに制限撤廃が必要な理由として、国内の「防衛産業の維持」が挙げられています。

これは、「日本が自らを自らの力で守る」というところに直結する話ですが、今の日本の防衛産業は「自衛隊」だけが顧客となっていて、利益が出ず衰退し続けている現状があります。


海外にマーケットを広げることで、日本の防衛産業の衰退を食い止め、日本が日本を守るための武器を作る力が維持できるという考え方もあります。


高柳キャスター:
この「防衛装備品の輸出」についてJNNが世論調査を行ったところ、現状維持すべき、という考えが4割となりました。


【JNN世論調査】
2月28日・3月1日 全国18歳以上対象
RDD方式/有効回答1028人

Q.防衛装備品の輸出について

▼条件をつけず輸出を全面的に解禁すべき: 7%
▼一定の条件や歯止めを設けた上で解禁すべき: 33%
▼今のルール通り殺傷能力をもたない防衛装備品に限って輸出すべき: 41%
▼殺傷能力の有無に限らず、防衛装備品の輸出をやめるべき: 16%


制限撤廃はいつ?議論の余地と透明性に課題

TBS報道局政治部 渡部記者:
“武器”輸出の制限撤廃が行われる場合、いつになるのかについてですが、与党は6日にも政府に対して案を提出するとしていて、政府は今春にも方針の見直しを行うとみられています。


井上貴博キャスター:
日本を取り巻く環境がこれだけ変わっている中で、日本の安全をどのように守るのかが課題となってきます。

日本は平和国家として、核などは持たない、そして殺傷能力のある武器などは輸出するかどうか、(戦争に)巻き込まれるのではないかという懸念もあります。

ただ、そうしたことをしていかないと、何かあったときに日本のことを誰も守ってくれないという考え方もあります。

やはり一人ひとりが考えて、議論しないといけないと思います。


TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
戦車を100台作るのと500台作るのでは、コストが全く違います。そのため輸出できることを想定して、大量に生産できるかどうかというのは、産業にとって非常に大きな問題だと思います。

もう一つは、例えばA国に“武器”を輸出した場合、A国がその“武器”を紛争地にさらに輸出することも可能になります。どんどん歯止めが利かなくなっていくなど、様々な問題点がある中で、今の段階ではチェック体制があまりにもルーズだと思います。


井上キャスター:
防衛品を輸出する際の基準もよくわからないし、透明性をどうするのかという問題もあります。

国家安全保障戦略会議で決めてしまえばいいと言いますが、国会を通さないとなると、チェック機能はどうなるのでしょうか。

政府は「防衛産業は廃れる」「技術力も廃れていく」と言いますが、どういうロジックなのかもう少し説明してほしいと感じます。


TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
そうしたかなり大きい問題と技術的な問題について、少なくとも国会の専門の委員会で明確に議論することが必要になってくると思います。


TBS報道局政治部 渡部記者:
まだ与党案が提出されていないので、現時点で政府の方針は明確には決まっていないものの、大転換とする政策だからこそ、広く国民に理解を得られるあり方が必要になってくると思います。


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<プロフィール>
渡部将伍
TBS報道局 政治部 防衛省キャップ
映画「ブルーインパルスの空へ」監督

星浩さん
TBSスペシャルコメンテーター
福島県出身 政治記者歴30年


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