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「集まりすぎ」が誤算? 高市政権を支えるはずの「国力研究会」に想定外の議員も参加 議員連盟に“抱きついた”議員たちの思惑と政局の行方【edge23】

国内
2026-05-23 07:00

自民党内で5月21日、高市政権を支えるために発足した議員連盟「国力研究会」。
表向きは外交や皇室問題などを議論する勉強会だが、その裏には2027年秋の自民党総裁選で高市早苗総理を「無投票再選」させるという、総理周辺の狙いがあった。


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ところが蓋を開けてみれば、想定の2倍以上にあたる347人が入会。本来は遠ざけたかった対抗馬までが名を連ね、「これではただの両院総会だ」との声すら出た。


議員それぞれの思惑とは。官邸担当として高市氏を総理就任前から取材するTBS政治部の大室裕哉記者が解説する。


「国力研究会」とは何か 表の顔と“ウラの狙い”

「国力研究会」は、麻生太郎副総裁、茂木敏充外務大臣、小泉進次郎防衛大臣、小林鷹之政務調査会長らが発起人となり、外交や皇室など中長期的なテーマを議論しながら、政府・与党が連携して高市政権の政策を推進することを目的に立ち上げられた議員連盟だ。


ここまでは、あくまでも“表向きの説明”。大室記者は、この議員連盟には“ウラの狙い”があると指摘する。それは、2027年秋に控える自民党総裁選で、高市総理の「無投票再選」をサポートすること。さらに長期政権を築いた安倍政権を支えた議員連盟「創生『日本』」のような塊を、高市政権でも作ることが構想の出発点だったのだ。


「150人くらい集まれば良かった」会場の定員すら超えた誤算の全容

全自民党議員に入会案内が配布されたのは、ゴールデンウイーク明けの5月7日ごろ。当初、国力研究会発足に関わった議員は「150人くらい集まれば良い」と想定していたという。会場に選ばれた参議院講堂の定員は約200人とされており、その規模感に合わせた計画だった。


だが現実は大きく異なった。自民党の全所属議員417人のうち、最終的に347人が入会。実に約8割が名を連ねる事態となった。5月21日に開かれた初回の全体会合では、萩生田光一幹事長代行が「本人出席予定が233名、代理出席を合わせると277名の出席予定」と発表。会場はほぼ満席の状態となった。


高市総理側近は、この規模について、「入会者は高市政権の掲げる政策に賛同しているということ」だとしたうえで賛同しているのに総裁選に高市総理の対抗馬として出馬するのは考えづらいことから、「総裁選に向けた抑止力だ」だと話す。また、入会をしなかったのは70人だが、この側近は「高市総理が人事を考えるときに、名簿を見て判断する可能性」も示唆する。


この日の講師として招かれた、ジョージ・グラス駐日アメリカ大使も、事態に困惑した一人だ。当初は「代理出席なし、国会議員のみ」という限られた場で機微な情報も含む話をする予定だったという。


しかし、想定外の規模に膨れ上がったことで方針を転換せざるを得ず、結果としてマスコミにも最初から最後まで、つまり“フルオープン”で公開された会となった。大室記者は「グラス氏もちょっと困惑していたと思う」と振り返る。


350人近くが集まったこの日の光景は、傍目には「高市一強の象徴」に映るかもしれない。だが「国力研究会」の関係者は、「当初の想定とは違った結果になっている」と打ち明け、さらに衝撃的な言葉を続けた。


「このような形での会合は、もしかしたらこれで最後になるかもしれない」


消えた“高市カラー”「これではただの両院総会だ」

なぜ「集まりすぎ」が問題なのか。大室記者はこう説明する。


「国力研究会」の本来の狙いは、「親高市の議員」と「そうではない議員」を色分けし、150人規模の固い塊で2027年の総裁選を制することだった。


ところが自民党議員のほぼ全員が入会した結果、「高市カラー」を打ち出すことが難しくなってしまった。「これではただの両院総会だ」「ただの自民党だ」と評する議員も出ている。


入会した議員たちの顔ぶれをみると、それぞれの思惑が浮かびあがる。前回の自民党総裁選で高市総理と争った茂木外務大臣、小泉防衛大臣、小林政調会長は発起人11人に名を連ねた。


茂木外務大臣は麻生副総裁と関係が近く、小林政調会長は国力研究会に入る際に自身の側近を役員に推薦。小泉防衛大臣としては年代が近い総裁候補の小林氏が入会していることで、歩調を揃えて発起人に。小泉防衛大臣は公務もあり当日は開始前に退出したが、親交のあるグラス大使と数分間話し込んでいる姿が印象的だった。


それぞれの総裁候補が発起人に名を連ねる一方、高市総理周辺が2027年の総裁選の“対抗馬”と見なす林芳正総務大臣は、発起人には入らなかった。


入会案内が配布された翌日、全体の中でも際立って早いタイミングで入会届を提出したのは、林氏。


構想段階で林氏を役員に加える案も浮上したが、相談を受けた麻生副総裁の回答は「NO」だったという。それでも林氏がまさかのスピード入会を果たしたため、「処遇しないわけにはいかない」と急遽、顧問のポストが設けられた。


林氏が総務大臣として全国を飛び回り、地方票を着々と固める動きも見せていて、高市総理周辺は「次期総裁選の対抗馬」だと警戒していると大室記者は指摘する。


その一方、「林さんが積極的に入りたいと言って入ったわけではないと思う」と大室記者は見ている。入会することで対立構図が生まれなくなり、「反高市」のレッテルを回避できる。そちらの計算が働いたとみられると話す。


「抱きつき作戦」参加・不参加にみるそれぞれの思惑

林氏と同様の動きは他でも見られた。武田良太元総務大臣は、自らが率いるグループの例会で「頑張る高市総理を支えるためにも全員で(国力研究会に)参加して、さらなる政策の推進に一役買おうではありませんか」と呼びかけた。


この言葉を額面通りに受け取る人は少ない。武田氏と麻生副総裁は同じ福岡県選出で対立関係にあることから「国力研究会」の事務局は武田氏の処遇について麻生氏に相談することすら憚られたという。


菅元総理を支えたグループ「ガネーシャの会」も同様だ。5月12日夜の会合後、メンバーが立て続けに入会届を提出した。この動きから、会合では国力研究会の話題となり「まとまって動こう」という示し合わせがあったと推察される。


これらの数を持ったグループが一斉に加わることで、「高市総裁の無投票再選」という争点を潰す。それが彼らの思惑だと大室記者は分析する。「国力研究会」の幹部は「抱きつき作戦だ」と困惑の表情を見せた。


逆に、石破茂前総理、森山裕前幹事長、岩屋毅前外務大臣、村上誠一郎前総務大臣らは不参加を貫いた。村上氏は国会で記者団に「なんであんな大政翼賛会みたいな会をやる必要があるの?もう全くナンセンスだよね」と語った。参加しないこと自体が、明確な意思表示となっている。


「幹事会」が実質的な“高市応援団”に? 注目は「外された人」

では、国力研究会は今後どう動くのか。


その行く先について大室記者は「今検討されているのは、テーマごとに憲法・皇室・外交・安全保障などの分科会を作り、関心のある議員が集まる形に切り替えること」だと解説する。
そして今後、「国力研究会」の動向を見る上で鍵となるのは、20~30人規模を想定した「幹事会」である。「幹事会が今後の国力研究会の中心になる」と幹部は語っている。


しかしここにも新たな難問が待ち受ける。幹事会のメンバーに誰を選び、誰を外すか。その選別が「第二の政局」を生む可能性があると大室記者は指摘する。武田氏や林氏の処遇をめぐって、さらなる駆け引きが水面下で続くことになりそうだ。


半年をかけて準備してきた「国力研究会」の初会合は、“寝た子を起こした”結果となり幕を下ろした。高市総理自身も出席を希望していたとされるが、周辺の助言により欠席。関係者によると、高市総理に近い議員がグラス大使の講演の内容を共有しようとしたところ、「既にグラス大使の講演は見ました」と話していたという。2027年秋の総裁選に向けた党内の水面下の動きは、この日を境に新たな局面へと入ったのかもしれない。


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