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“人為的にバズらせる” SNS操る「農場」ビジネスを取材 「テスト」と書かれただけの投稿が6分で100万回表示… 選挙で悪用の懸念も【報道特集】

国内
2026-06-27 20:37

SNSのインプレッション(表示回数)やいいねの数を買うことができるという「農場」ビジネス。関係者を取材すると、「テスト」と書かれただけの投稿が、わずか6分で100万インプレッションに到達した。いわゆる「バズる」状態を人為的に作り出すことができるこのビジネスが、選挙で悪用されるとどんな懸念があるのだろうか?


【画像で見る】「テスト」だけの投稿が6分で100万回表示…SNS操る「農場」ビジネスとは?


6分でインプレッション100万回 SNSの闇…“スマホ農場”とは

「SNSの闇」として、「スマホ農場」という言葉を解説するYouTube動画がある。


【「農場」を解説するYouT​ube動画より】
「ユーザーからの反応、高評価とか再生数の数値のことだな。これが売られているのだが」
「わかったわ、その増やす方法が『農場』ってやつなのね」


「農場」とは何か。このチャンネルのプロフィールに記載されているサイトを見ると、Youtubeの再生回数や、Xのインプレッションなど、SNSのさまざまな数値を買うことができるという。


取材を依頼すると、「農場運営者」だという人物から返信があった。
セキュリティ上設備は見せられない、撮影NGなどの条件でインタビュー取材に応じるという。


約束の日にTBSに現れたのは、農場運営者の代理人だという男性。都内の難関大学に通う18歳の理系の学生だという。


村瀬健介キャスター
「実際に、取材を受けてくれている方が、『農場』といわれる組織の関係者であるのか、これから実験をしてみたいと思います。

こちらに今日新たに開設したXのアカウントがあります。ここに『テスト』と書いただけの投稿をします。この投稿のインプレッション(表示回数)を『農場』の組織で引き上げられるということなので、実際にそれをやってもらおうと思います」


男性は、インプレッションを増やす指令を「農場」に出すとして、こう告げた。


「農場」関係者(18)
「(インプレッション)50万やるつもりだけど、もし余裕があったらもうちょっと増やすかもしれません」

投稿から、約5分後。


村瀬キャスター
「49万回表示ってなってますね。数分前の『テスト』という投稿が、すでに49万回表示されています。これが『農場』の効果ですね」
「これすごい、あっという間にインプレッションが100万回に到達しました」


「テスト」と書かれただけのポストを、6分で100万人が見たことになった。さらに、「農場」関係者の男性が、「いいね数も増やしましょうか」と告げた。すると…


村瀬キャスター
「いいね数もリアルタイムで増えてきてる。40まであがりました。どんどん上がってますね」


その後、投稿からわずか30分で1000以上の「いいね」がついた。


村瀬キャスター
「ただ『テスト』と書いているだけの投稿が、ものすごくバズってることになっています。こんなのアリですかね、本当に」


男性は、「農場」をこう表現した。


「農場」関係者(18)
「SNSって、数字を持っている人が力を持つみたいなところがあって、それが可視化されて、さらに勝ちやすくなる循環がある。その構造において最適化したブースター、加速器を提供しているにすぎません」


SNSを操る「農場」 衆議院選では選挙関連依頼も

「SNSの加速器」だという「農場」。男性がホワイトボードに描いたのは、その概略図だ。

これを基に、取材を重ねCGで再現した。


電波などを遮断する二重扉のシールドルーム内に、実際の農場のように60のラックが並んでいるという。


一つのラックには144個のボックスが並び、ボックスの中には12枚のスマホの基板がある。さらに、基板を冷却するためにパイプから特殊な冷却液が供給されているという。


シールドルーム内にある基板は約10万枚。同様の施設が茨城県内に4つあり、かかった費用は数十億円規模だとしている。


依頼内容に応じて、「いいね」や動画の再生回数などを増やしているという。


――年間何件の依頼があるんですか?

「農場」関係者(18)

「数千万から数億件です。じゃんじゃん来てると。売り上げは非公開なんです。支払いがドルとか仮想通貨とかありますから。利益はだいたい45億円くらいかな、年間」


依頼の多くは、海外のサイトやダークウェブなど様々なルートで届き、そのほとんどをプログラムが自動で対応しているという。


2026年の衆院選では、候補者の陣営から「投稿が多くの人に高く評価されている」と見せかける依頼が複数来ていたと話す。しかし、法律に違反する可能性などを考慮し、選挙関連とみられる依頼は、AIなどを使って「弾く」ようにしたという。


「農場」関係者(18)
「全部見るのは不可能で、ランダムでチェックしています。万が一見つかった場合は、キャンセル扱い、返金もせずという対応をしています」


依頼内容によっては、誹謗中傷やデマの拡散に加担している可能性もあることになる。


――社会を歪めている感じはしませんか?

「農場」関係者(18)

「多少なりあると思いますけど、でもそれは結果論であって、それを防ぐのは何かと言ったら、規制するとか、プラットフォームの責任。責任転嫁になりますけど」


「農場」を使った「いいね」などSNS数値の操作。主要なプラットフォームを取材すると、削除などの対応を行っていると回答した。


SNS空間は、人為的に操作されている可能性を前提にする必要があると東京大学大学院の鳥海教授は指摘する。


――選挙期間中にこういったことが行われると、非常に大きな影響力を持ってしまう

東京大学大学院 工学系研究科 鳥海不二夫 教授

「『今の時代はそういう選挙戦になっている』という認識をまず持つべき。今見ている情報が、誰がどうやって作って、なぜ自分の手元に来ているのか、ちゃんと理解しないで利用するのはリスクがある」


AIで巧妙化 見抜けない偽投稿 トランプ政権で対策さらに後退

SNSの情報操作は世界中で見られる。

2010年、アメリカの中間選挙では、「ボット」と呼ばれる自動化されたプログラムが、ある候補者に好意的な投稿を1日何万回も拡散していたとされる。


これまでの「ボット」は、語りかけても対話が成立せず偽のアカウントだとすぐに見抜くことができた。

だが今は、AIによってリアルな対話が可能となり、「ボット」だと見抜くことが困難になっていると専門家は指摘する。


インディアナ大学ソーシャルメディア観測所 フィリッポ・メンツァー所長
「この技術により、偽の投稿やアカウントを大量に、極めて低いコストで作れるようになりました。しかも見破ることはほぼ不可能です。大接戦となった選挙では、ボットや組織的なキャンペーンを通じた世論操作が多数の有権者に影響を与え、投票行動を変えてしまう可能性があります。選挙結果に影響を及ぼすかもしれません」


「農場」で作り出される架空の世論。誰しも気づかずに影響を受けているかもしれないとメンツァー教授は警鐘を鳴らす。


インディアナ大学ソーシャルメディア観測所 フィリッポ・メンツァー所長
「こうしたアカウントは、別々の人間ではなく、一つの組織がコントロールしています。多数派の意見であるかのような状況を作り、同調圧力を生み出します。これが世論を操る方法です」


トランプ政権が対策を進めるどころか後退させていると懸念を示した。


インディアナ大学ソーシャルメディア観測所 フィリッポ・メンツァー所長
「残念ながら、アメリカを拠点とする大手プラットフォームは、ここ数年、ユーザーの信頼と安全からかけ離れた状態となっていて、政府の政策がそれを助長しています。例えば、選挙期間中の政治的なコンテンツについて、AIによって生成されたものだと明示することを(州によって)義務付ける規制もありますが、連邦政府がそれを撤廃させようとしています。大きな影響があるでしょう」


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