世界各国で子どもへのSNS規制が進むなか、EUが踏み込んだ措置を取るようです。そして、日本の取り組みは。
「依存性の高い仕組みを構築」メタ社に約9.5億万円の賠償命じる
子どものSNS利用をめぐっては、2026年3月、アメリカで象徴的な評決が下されました。
自分を醜いと思い込んでしまう「醜形恐怖症」や「うつ病」を発症したという女性。その原因は、InstagramやYouTubeの使用だとして、運営元のメタ社などを訴えました。
裁判では、こうした症状を招く依存性の高い仕組みを運営が意図的に構築したと認定。9億5000万円の損害賠償を命じましたが、メタ社は控訴しています。
9歳からInstagramをはじめたという原告の女性は、容姿を美しく見せる「フィルター機能」で自分の写真を加工するうちに、現実の自分の外見を受け入れられなくなったといいます。
他にもSNSには、タップすれば延々とコンテンツが表示され続ける「無限スクロール」や視聴履歴をもとにパーソナライズされた「おすすめ機能」などが備わっています。こうした機能に依存性があるとされているのです。
「トゥイーン(8歳から12歳)を取り込むことに積極的に投資を」メタ社の内部文書では、こうした10歳前後の子どもを意図的に引き込もうとしていたことを示すやり取りも明らかにされていました。
日本で進まぬ年齢制限の議論…背景に『子どもの居場所』?
なぜSNS企業はユーザーを画面に釘付けにしようとするのでしょうか。
最大の理由は、SNSを利用した巨大な広告ビジネス。世界の広告支出の約4分の1に当たる2770億ドルがSNSなどのソーシャルメディアが占めているとみられます。
この莫大な広告収入を手にするため、プラットフォーム側はユーザーの滞在時間を1秒でも⻑くしようとします。その結果、「無限スクロール」のような際限なく動画を見続けてしまうシステムが用いられてきたのです。
2025年12月、オーストラリアが世界に先んじて16歳未満のSNS利用を禁止しましたが、今回EUが講じたのが、年齢ごとの段階的なSNSの利用制限です。
【EUでの年齢による段階的制限】
3歳未満:スクリーンへの接触を全面禁止
13歳未満:保護者の監督下などに利用を限定
EUは、「無限スクロール」や「おすすめ機能」は、スマホ画面を無意識にスワイプさせ脳を「自動操縦モード」にしていると問題視していました。さらに、SNSをスクロールしていると差し込まれる「広告」については、すでに強い規制を設けています。
ユーザーの閲覧履歴を分析して広告を表示させるターゲティング広告。これを未成年に対して行うことを、法律で禁止しており、違反企業には前年度売り上げの6%という巨額の制裁金を科しているのです。
翻って、日本では年齢制限の議論は本格化していません。
子どものSNS利用に詳しい兵庫県立大学の竹内和雄教授は、「EUなどの積極的な対策は評価できる。日本も必要な規制はすべきだが、海外の対応をそのまま日本にあてはめるのは危険。一律の制限は、不登校の子どもなどが拠り所とする『SNSの居場所』を奪いかねない。子どもの利用実態に応じた対策のため、冷静で慎重な議論が必要」と指摘しています。
「一律禁止」か「無制限」かという極端な二択を避け、日本の現状に合わせた柔軟なルール作りが求められています。
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